不安と枕
部屋に戻ると、私は着替えもせずにベッドに飛び込んだ。
「……ふぅぅ……っ……」
抱えた枕の下に頭を入れて深呼吸すると、ズキズキする不快感が少しずつ和らいでいくのが分かる。
(……あぁ……びっくりした……)
別に枕は頭に載せなくても良いのだが、もしや自分の思考が外に漏れ出てしまっているのではないかという、子供じみた妄想がどうしても治まらない。
(大丈夫……アネモネだけよ……意識だけ侵入させるとか、あんな器用な真似できるのは……)
頭に枕をぎゅむぎゅむと押し付けて、私は何度も自分に言い聞かせる。
バカげているとは思いながらも、何かせずにはいられない。
じっとしていたら叫びだしてしまいそうなほどに、動揺していたのだ。
(でも……ホントにびっくりした……)
「カーラ! どうしよう! アイリスがカメさんになっちゃってる!」
案の定、追い掛けて来たメリッサが私を見ながら素っ頓狂な声を上げている。
「どうしたの!? 誰かに意地悪されたの!?」
すごい心配されている。
ちょっと心苦しくなるくらいに。
「大丈夫大丈夫……ちょっと横になってるだけだから、気にしないで」
「メリッサ、私があちらで何かお話しを聞かせてあげましょう」
ありがたい事に、何かを察したカーラが部屋から連れ出してくれる。
こういうカラスなら、一家に一羽いると便利かもしれない。
「ちゃんと寝ててね」
「はいはい」
----バタン。
扉が閉まると、静寂が私を包んだ。