成功の条件
目の前の少女についての説明だと頭では理解しているのに、私は相槌も打てないまま、非常な言葉の羅列を聞いている。
『かといって、次も無事この姿に復元できるかどうかは分からん……エーテル体とアストラル体の放出が激しかったせいで、五体満足に見えてはいるが、霊素レベルでは継ぎ接ぎの状態だ』
少女を見やった白いカラスは、いや、司祭枢機卿は溜息を吐いて見せる。
アストラル体にエーテル体。
神智学で用いられるはずの言葉を魔女の棲家で口にしているこの男は、本当のところは一体何者なのだろうか----?
私の疑念は、また少し深まった。
『当初の我々は、モルガナの再生には『器』さえあれば良いと考えていた。極論すれば白痴でも構わないと……むしろ安全対策としては、敢えて知性は低く抑えるべきという方針だったし、事実、最初の数体は己の名前さえ分からない状態だった』
『……その方が貴方達には扱いやすいものね』
いつになったらこの陰鬱な話は終わるのだろう。
神の名のもとに行われてきた生命への冒涜を、私に長々と聞かせて、この男は、まさか告解でもしているつもりなのだろうか。
(冗談じゃないわよ……こんな事まで聞かせて、私に何をさせるつもりなのよ……?)
『だが違ったんだ……モルガナを宿し、それを再びこの世界に発現させるには、脳梁を通常より成長させ、シナプス結合を強化するのが不可欠なのだ』