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今そこにある危機

『まぁ、つまりそういう事だ……カーラは名前こそ電算式魔術支援システムだが、実際にはアレの情操教育も担ってきたんだ』

『確かに、情操教育とか貴方には担えそうもないわよね』


 肩の上の白いカラスと無言で揉み合いになっている私を、メリッサは不思議そうに見上げた。

「どしたの? 遊んでるの?」

「うふふ……何でもないですよお嬢様」

 少女には笑顔を向け、私は引き続きアンソニーとの念話に戻る。


『で、これまでの経緯は分かったけど、私は具体的に貴方達にどんな協力をすればいいの?』

『たいした事じゃない……アレと一緒に勉強したり、遊びに付き合ってやればいいだけだ』

 

 いや、私にとっては結構たいした事なんですが。


『もちろん、ラボでは一通り試してみた……携帯ゲームなんかも与えてみたが、すぐに飽きてしまう。誰彼となく話したがるが、いつ脳神経をやられるか分からない相手と平常心で会話をできる人間はいない』

『つまり、魔女には魔女を……という事ね』


 結局は魔女に頼るしかないという事なのだ。

 この男もそれを分かってここまで来た(来てはいないけど)のだろう。


『これまでのラボでのデータと今回の初任務のデータから推測して、モルガナの器になるにはアレの人格の成熟が必要だという結論に至った』

 

 白いカラスは私の肩から羽ばたき、メリッサのソファの背もたれに着地した。 

『脳のシナプスの伝達が未熟だと、霊素拘束が不安定なうえに解放後の再拘束ができなくなるのだ』

「どうしたの? チョコ食べたいの?」

 何も知らない少女は箱からチョコレートを摘み、カラスの目の前に差し出した。

「カァ!」

 大きく口を開けて、カラスは私に向かって羽を広げる。

その口の中の鮮やかな赤がどこか不吉で、私は唇を噛んだ。


『早い話が、ここでの情操教育を失敗すると、モルガナの再臨ができないままコレが消滅する……!』

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