表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
160/381

小さな嵐

「私が貴女を好きになるかどうかなんて、分かんないわよ」


 乱れてしまった髪を手櫛で整え、私も椅子から立ち上がる。

「それに……そんなに好きになってもらいたかったら、それこそ『力』でも何でも使えば簡単にできるんじゃないの?」


 言ってから、さすがにこれは言い過ぎたかも、と少し反省する。


 (あー、マズったかな……子供だし、どこまでが本気か分からないとはいえ、好意を持ってくれている相手に言うべき言葉じゃないわよね……)


 思った通り、少女は呆れたような、憐れむような眼をして私を見上げた。


「……そんなんで好きになってもらっても嬉しくなんかないでしょ?」


 突然の正論である。

 これでは私が単なる悪くて嫌な大人のようだ----まぁ、半分くらいは合ってるけど。


「と、とにかく……あまり大人をからかうものじゃないわよ……っ!」


 私は少女に背を向ける。

 言いたい事はこんなんじゃないのにと思いながらも、ではどんな態度を取れば良いのかが見当も付かなかった結果、私は部屋に戻る事にしたのだ。


(……ダメダメだな、私)


 こっそり吐き出した溜息と共に扉を開けた途端、


『お取込み中失礼します!』


 扉の間から、白いカラスが翼をバッサバッサとはためかせながら乱入、いや、入室してきた。


「カーラβだ! いつものやつ持ってきてくれたの!?」

 メリッサが両手を上げて飛び跳ねている。

 秒速で機嫌が変わるのは掴みどころがないというか、正直羨ましい。


『温室の入口に置いてあります』

「やったぁー!」

 少女は長々と歓声を上げながら、そのまま廊下へ走り出て行った。


アンソニーも来ているのかと一瞬身構えてしまったが、他に人の気配はない。


「いつものやつ、って?」

『先日お話ししたご褒美のチョコレートですよ、貴女の分も用意してあります』


 カーラβは、ついさっきまで私が腰かけていた椅子の背もたれに着地して羽繕いを始めた。

 何度見ても、白いカラスという珍しさ以外は、普通のそこら辺にいるような鳥の仕草だ。


『それと私の止まりバッテリーも一緒に搬入されていますので、寝る前に下ろしてこちらのラボに設置をお願いします』

「……はい?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ