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夕食

「ひゃ……っ!?」


 突然膝の上に掌の感触を覚えて、私は思わず声を出していた。

「ほら、また他の事考えてた……っ!」

 プリプリと怒りながら、メリッサが私の太腿に乗っかって来る。

 

「ごめんごめん……!」

 私は慌てて意識から追憶を振り払った。

 メリッサは、さも当然と言うように私の首に両腕を回し、首元に顔を埋めた。

 「もう……ッ、アイリスのバカ……!」

 可愛らしい呪詛の声と共に温かい吐息が首筋に当たって、くすぐったい。

「……ねぇ、早くごはんちょうだい……?」

 そして、当然のように私の唇に、自分の唇を当てる。


 くちゅ……ッ。


 そんなはずはないのに、唇が小さく動くたびに水音が食堂中に響いているような気がして----。


「んッ……んん……っ……や……ッ、ダメ……もっと、んッ、静かに……」

「だって……んッ、アイリスがちゃんと口を……開けないから……ッ」


 抗議をしたせいで、却って唇を強く吸われてしまった。


「んくッ……んん……ッ!?」


 ちゅッ、くちゅ……くちゅくちゅ……!


 離すものかとばかりに腕に力を込められ、唇を押し付けられて、私はまた貪られてしまう。


「……んっ、はぁ……ッ……はぁ……ッ……」


 やっと解放された時には、私は椅子の背もたれに身体を投げ出すようにして息を弾ませていた。


(……よかった、これで、今夜は終わり……)

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