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温室

「でも……っ、強い魔術式を使えば負担がかかる身体だって、分かってて出撃させたのは貴方でしょ?」

「じゃあどう答えれば満足なんだ? アレは幼稚園児ではないし、私は保父ではないんだぞ? ラボで大事にお世話をしてあげるために造ったとでも思ってたのか!?」


 男と私は睨み合った。


「あのね? あの子は二度と元に戻らなかったかもしれないのよ?」

「……ああ、それも織り込み済みだ」


 アンソニーは眼鏡を指で押し上げ、温室を見回した。


「……昔はここの薬草を使って調合された門外不出の秘薬が富裕層には人気だったそうだ」

「そんなの知ってるわよ……薬欲しさに全財産を差し出した貴族も多かったんでしょ? 売り上げは法王庁の隠し財産になったって話も、ここの魔女は皆知ってるし」


 私は足元の薬草達を眺める。

 どの株も年中花と果実を絶やさず、毎日摘み取られても枯れる事はない。

 でも、それはこの温室の中に生えている限りは、という条件付きだ。


「……ただし、そのお金は私達の所には一リラも入らなかったけどね」


 私の嫌味を男は聞き流す。

「そうなると欲を出す馬鹿はどこにでもいて、例えば、ここから薬草を持ち出して自分達で勝手に秘薬を作ろうなんて奴等もいた訳だ」

「それは初耳だわ……法王庁に離反した庭師がいたって事? しかも複数で……? あれ? ちょっと待って……私達一体何の話をしてるの……?」


 頭の中が混乱し始めて、私は話を遮ろうとする。

 だが、構わずに男は独り言のように話を続けた。

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