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第三部  白い部屋

 (無音)


 (無音)


 (無音)


 圧倒的な静寂の中で、私は目を覚ました。

 

 身体のあちこちに包帯が巻かれているのを感じながら、私はベッドに横たわったまま、落胆と安堵を同時に噛み締めた。


(……まだ生きてる)


 口には出していないはずのその呟きを、まるで聞き取ったかのように、私の周囲で機械が一斉に動き出す。


 ピッ、ピッという規則正しい電子音。

 身体のあちこちから伸びている数十本の線。

 慌て気味に入って来たかと思うと、抑え気味の声で何かを囁き交わしている白衣の男達。

 

 白い天井。

 白い壁。


 窓のない部屋----。


 ここは、たぶんラボだ。


 「メリッサは……どうしたの……?」


 尋ねているのに、忙しく動き回る白衣の人間達はまるで私の声が聞こえていないかのようだ。

 魔女の相手ができる階級の人間は、ここにはいないらしい。

 私は溜息を吐く。


『……カーラ、メリッサはどうしたの?』


 間髪を入れずにAIが教えてくれる。

『別室で検査を受けています。意識はまだ回復していません』

『そう』

 それだけ聞けば十分だ。

 私はまた眼を閉じる。


 起き上がろうと思えば起きられそうだったが、なんだかひどく疲れているうえに、投げやりな気分になっていた。

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