魔女の時間
『元素拘束、解放完了』
AIの声は淀みない。
『魔女への鉄槌効力中和作業完了……引き続き霊素拘束の解放を……』
『ちょっと待ってよ……! メリッサはこのまま消えてしまうの!?』
もう形を留めていない少女の金色の輪郭の中心で、緑色の淡い光が瞬いている。
その光こそがメリッサの肉体に拘束されていた魔女モルガナの魂なのだとしたら、ではメリッサの魂は一体どこにあるというのか。
自分でも不思議なほどに、私はその答えを知りたいと切実に願っていた。
『メリッサはまだそこにいます……ですが、霊素拘束の解放後に再構成できる可能性は……』
聞かない方がマシだったと思うほどに低い確率を私に告げ、AIは淡々とカウントダウンを始めた。
『カウントダウン終了と同時に通信が途絶します……作戦終了後、回収班がそちらに向かいます』
そうだ。
私達は備品なのだ。
それなのに、こんなにも胸が苦しくなるのはどうしてなのだろう?
『アイリス、ここからは貴女方魔女の時間です』
「ングルゥゥゥ……ッ……」
ジェヴォーダンの獣が怯えた唸りを漏らす。
『貴女方に主の御加護がありますように……』




