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fragment 13
「貴方は、とても優しい子なのね」
その顔は、まるで絵から抜け出て来た女神のようだった。
僕の頭からは、女性の顔をじっと見たら失礼だという知識とか、片目の園丁の言った事とか全部が消し飛んでしまった。
(こんな綺麗な人が魔女なら、きっと……間違っているのは皆の方なんだ……)
身体の震えは、いつの間にか治まっていた。
僕は、母鳥に抱かれる雛鳥のような心持で、魔女を見ていた。
「これから結ぶ契約はね、魔女の魂そのものを使う契約なのよ」
「魔女の……魂……?」
僕の言葉に魔女は頷く。
その拍子に、金色の髪の毛が一房、頭巾か、はらりと零れ落ちる。
「この世界には魔女が何人もいるけど、この契約の儀を行えるのは、もう私だけになってしまった……」
その声はどこか寂しげだった。
「私達魔女が人間の命を扱えるのはね、人間が魔女の■■■だったからなの」
僕には分からない言葉だった。
ただそれは皆が知らない方がいいのかもしれない意味を持つのだと、頭のどこかでぼんやりと思った。