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俺たちは今地下五階にいた。あの後俺達三人で地下三階と地下四階の魔物を一匹残らず経験値へと変えた。しかし進化して劣化したこともある、それは聴覚と嗅覚だ。勿論人間よりはずっと優れているが、それでも野良犬であった頃に比べると少し劣っている。だが俺の場合は精霊魔法が有る為敵の位置もわかるのでカバーできている。
因みに今のステータスはこんな感じだ。
名前:――
種族:コボルト
スキル:『精霊魔法(地水火風限定)』『テイム』『魔物牧場』『鑑定』
称号:『???』
特殊従属:<><><>
従属:<ホブゴブリン×1><ウルフ×1>
幼体が取れて成体になれたようだ、だがスキルは得ることが出来なかった……残念。
ゴブリンはホブゴブリンに進化し、身長は人間と同じか少し低いくらいまでに伸びた。野良犬はウルフへと進化し、体がしなやかに毛並みも少し艶やかになった。
だがゴブリンがホブゴブリンになってしまい、機動力が一番低いのが俺になったため、今は俺がウルフの背中に乗せて貰っている状態だ。
五階層は他と同じくレンガの迷路であったが、階層が下がるごとに魔物の数が増えるため進軍速度は遅くなる。そして俺達はある問題に直面した。
……腹が減るのだ。
そう、お腹が減ってしまうのだ。なのでどれだけ不味くてもゴブリンや野良犬の肉を食らうしかなかった。そのため、話し合いの結果地下五階は階段までの道のりにいる魔物だけを斃してさっさともう少しましな魔物がいるであろう地下へと移ろうというのだ。ホブゴブリン達も、ダンジョンの支配を受けていた頃はダンジョンに存在する魔素で体が動いていたようだが、俺がテイムし外の理に適応されたため腹が減るようになった。
そして道なりに進む事地下五階の約半分。そこは通路ではなく少し大き目の部屋になっており、真ん中にはゴブリンが五体、野良犬が五体、そしてホブゴブリンが一体存在していた。
ボス部屋というのを見たことが無いので分からないが、多分であるが中ボスのような存在ではあるがボスではないような気がした。ボスならきっと扉の向こうに居を構えていて欲しいという俺の勝手な願望が混じっているのだが。
それはおいておくとして戦闘である……戦闘であるが、俺が初っ端ホブゴブリンの首を斬って始末。二人は各々同族? の元へと駆けて行った。流石に五体はきついかと思ったが、二人ともうまく各個撃破に持ち込めている。……相手の知能レベルが低いからこそできる芸当ではあるが、それでも完勝には違いない。
「よくやったな!」
「ありがとうございます!」
「余裕だ」
その後地下五階は何事もなく攻略して地下六階へと降り立った。
地下六階では今までとは違う敵がいた。先ず遭遇したのはゴブリンとホブゴブリンの混成部隊、しかもホブゴブリンの一部は魔法を使って来た。地下五階と六階ではあまりにも難易度が違うので驚いて目の前にいた敵を直ぐに殲滅してしまった。
どうやら五階層ごとに出てくる敵が変わるらしい、これはまだ推測ではあるが十階と十一階には気を付けないといけないだろう。
ゴブリンたちに関しては、基本魔法を使うホブゴブリンは俺が先に風の刃で瞬殺している。威力はかなりしょぼいのだが、それでも看過してしまうと何が起こるか分からなくて怖いからだ。後のホブはホブが相手をして、残った雑魚は俺が牽制しつつウルフが狩る、そしてホブを斃したうちのホブが迎撃に入るという形だ。
野良犬もウルフへと進化した敵が現れ、野良犬とウルフの混成軍で出会う。その場合も俺が最後尾の敵を何体か斃しつつ牽制を行っている。
更に、この階から新たに出てきたのはスライムだ。見た目は本当におもちゃのスライムのような粘り気の有りそうな見た目だが、中心部のコアを破壊すると死ぬ。色は水色が多いが、この先もしかしたら属性などによって色の違うスライムが出てくるかもしれないという淡い期待を持っている。
因みに初見の魔物だったので取り合えずテイムしてみた。方法としては先ずは周りの水色の部分を切り取りコアだけにする、コアだけだと切り離したスライムの体がコアに吸い寄せられるように動いているが、一定距離コアを破壊しないように蹴って離すと流石に動かなくなった。ホブゴブリンにずっと見ていてもらったからな。
とまぁそんな感じでスライムをテイムし、今はホブゴブリンの腰回りに巻き付いている。そう言えば、ゴブリンの巻いていた腰みのがそのままホブゴブリンの大きさに適応されているのも、進化の謎と言えば謎だ……気にしても仕方ない事だけどな。
地下六階でスライムをテイムしたので、此処でスライムの経験値稼ぎも並行して行う。スライムは内部に取り込み溶かす事が攻撃方法になるので、俺が達磨にした敵の頭に取りついている、こういう死に方はしたくないな。頭が溶けるのと窒息だからな……。
……此処までなら俺の想像していたスライム像なんだが。
「じゃあ後はスライムに頼む」
「イエス、マイマスター」
めっちゃいい声なんだが、なんといえばいいのだろうか、ハードボイルドな感じと言えばいいのだろうか、お前のそのスライムです! という見た目からは全く想像できないボイスが俺の精神を襲う。
ってか俺を含めて四人とも雄だなそう言えば、むさくるしいとは思わないが気分的に気にするとちょっとだれるな……だからと言って何か魔物の雌が仲間に入って欲しいわけでは無いので何とも言えないのだが。取り合えずこの件は気にしたら負けだろ、うん。
そんなこんなで地下六階では各種進化した先であったり、スライムはスライムとして出てきた。そして勿論殲滅して次の階へと進む。食事の改善もしたいが、経験値が旨そうなので仕方なくだ。
だがそのおかげで地下七階に入って直ぐ、俺は次の進化を迎えることが出来た。幼体から成体になる時の変化はせいぜいが身長が少し伸びた程度であり、分岐のようなものは感じられなかった。しかし今回は頭の中に二種類の選択肢を感じた。それは前衛か後衛かである。
俺は精霊魔法という後衛の力は持っているが、前衛での力は持っていない。なので此処は前衛を選ぶ。器用貧乏と言われようとも、自分が生き残れる可能性を考えれば出来ることが多いに越したことは無いだろうという短絡的な考えだが、自分の育成ミスったら配下を強くして守ってもらうとしよう。
名前:――
種族:コボルトウォーリアー
スキル:『精霊魔法(地水火風限定)』『テイム』『魔物牧場』『鑑定』『――』
称号:『???』
特殊従属:<><><>
従属:<ホブゴブリン×1><ウルフ×1><スライム×1>
おぉ、戦士になったらしい。更に身長も伸びた、と言っても人間の子共くらいだが。そして体もひょろっとした感じから少しだけ肉付きが良くなった。
更にステータスの欄に新たな表記がある。これに意識を集中させると、どうやらいくつかの候補の中から前衛のスキルを選べるようになっているようだ。これは今後俺にだけ起こりうるのか、それとも他の魔物にも起こりうるのかしっかりと調べないといけないな、なにせランダムか否かで育成方法が違ってくる。
まぁ俺は適当に槍術でいいかな。剣だと間合い的に不利そうだしな。という事でこうなった。
名前:――
種族:コボルト
スキル:『精霊魔法(地水火風限定)』『テイム』『魔物牧場』『鑑定』『槍術』
称号:『???』
特殊従属:<><><>
従属:<ホブゴブリン×1><ウルフ×1><スライム×1>
後は何処で槍を手に入れるかだが、最悪倒した敵の骨でも削るしかないだろうな。使わないと育たないだろうし、今後は積極的に使っていきたくはある。
そのまま地下七階を探索していたが、やはり槍らしいものが運よく宝箱に入っていることもなく……というかダンジョンなのに宝箱もトラップも無いのが少し不思議だがな。もしかしたらダンジョンマスター的な存在がいて、人が来ないからトラップも宝箱も出すのが面倒で設置してないのかもしれないな。
まっ、最奥まで行けば分かるだろ。
無いものは仕方がないので、でてきた ホブゴブリンを斃して切り刻んで骨を回収し戦端を尖らせるという蛮族的な槍? が完成した。もっと地下に行けば槍を持っている敵がいるかもしれないし、それまではこいつに頑張ってもらうとしよう。
とか一人で悦に入っていたらこの戦闘でホブゴブリンとウルフが進化を迎えた。彼らは二回目の進化だ。
ゴブリンの方は俺と同じくゴブリンウォーリアーとなった。そして持っていた棍棒が剣になっている。
……それはちょっとずるくないだろうか。
「お前は剣を選んだのか?」
「いえ! 前で戦いたいとは思いましたが、剣でとは考えていませんでした」
成る程、という事はランダムの可能性が高いな。もし経験だとするならば『打撃』のスキルも関係して棍棒や斧なんかになる可能性が高いしな。
つまり、俺はランダムではなくスキルを選択できるが装備は自前、普通はランダムだが初期装備が支給されるのか。この差は転生なのか、それとも俺は野良犬からコボルトに進化した故なのか分からないが、この疑問は頭の片隅に置いておこう、今考えても分からないしな。
因みにしっかりと『剣術』のスキルを習得していたので、使い物にならなくなることは無いだろう。
ウルフの方はブラックウルフという種類に変わっていた。鑑定で見てみれば、闇魔法という物が増えていたので、後衛を選んだのかと聞いてみれば首を横に振られた。
「選択肢は無かった」
「つまり気が付いたら闇魔法が使えるようになったと」
「その通りだ」
ウルフの正当な進化は魔法もありきという事か。
「今後は積極的に使っていけよ」
「分かった」
スキルは使った分だけ伸びる、だから俺ももっとテイムをしないといけないのだろうが、なんとなく今は一種類ずつ集めて行こうかなという気分である。




