承章:第二十一幕:最初の歪VII
承章:第二十一幕:最初の歪VII
「今更自己紹介など必要ないのだろうが……、私としては知らない「顔」が「二人」居るのが気になります。誰なのですか?アルフィーナ様」
「白々しい。後ろの兎人族から名は明かされているだろう」
「えぇ、まぁ。聞かされてはいるのですが、眼で捉えたのは初めてなので。……お聞かせ願えますか?」
リュスが居た部屋に案内され、促されるままソファに腰掛けた僕らと、テーブルを一つ挟みリュスが座る。
リュスが腰掛けたソファの後ろには、この部屋まで案内をしてくれた兎人族<ラヴィテイル>のミゥさん。反対側に誰なのかさえ解らない魔族<アンプラ>の女性が一人。
ミゥさんはどこか落ち着かない様子でソワソワしていたが、赤い瞳は時折主でもあるリュスへと向き、慌てて逸らすというなんとも解りやすい行動を取っていた。
反対に名も知らない魔族<アンプラ>の女性はただ静かに立っているだけで、何故かめっちゃ見つめられていた。視線を交わすと微かに微笑むだけで、それ以上の事はない。
「フェリアーニより、私事にてアプリールまで旅を続けていました。ディーネ・フォーミュラーと申します。以後、お見知りおきを」
リュスの促しにより、先に自らを名乗ったのはディーネだった。
僕としては彼女と初めて知り合った時に補足された、「リンファ族である」という説明が無かった事に一瞬疑問が生じたが、彼女の出で立ちをこの世界の住人が見れば、一目で「リンファ族」という答えに行き着けるからだろう。
「……フォーミュラー……、もしやフェリアーニの統治を任されている、ラディクス・フォーミュラーのご息女ですか……?」
「はい。ラディクスは私の父です。が、一つ訂正をさせていただくならば、フェリアーニの民としては「統治」という言葉を嫌いますので、以後控えてもらえれば幸いです」
いつもよりやや棘あるようなディーネの発言に、正直理解が追いついておらず、ただ隣に腰掛けていたアルフィーナに視線を向けると、ため息と共に補足が入る。
「フェリアーニは酒場で話していた通り、少し「特殊」なのさ。何よりも「自由」を重んじる都市だと思えば良いだろう」
「……そうでしたね、長い事一つの都市に身を寄せるとどうしても疎くなりますから。謝罪いたします」
そう言い、テーブルの向うで頭を下げるリュス。
その姿が、なんとも似つかわしくないうえに、「亜人種であるディーネに頭を下げるリュス」というのがどこか信じられなかった。
そして数秒の間を置いてから、顔を上げたリュスの眼が捕らえたのは言うまでも無く僕だった。
「それで、「君」は誰なのですか?どこか顔立ちから以前、決闘した相手にも見えるが、どこか様子が違う。特に……、そう特に頬にある紋だろうな」
「……久しいな、「クズ」――」
たった一言。
リュスの琴線に触れたくて放った言葉は、意外な事に後ろに控えていたミゥさんの琴線に触れてしまったらしく、乙女モードはどこへやら。
一瞬にして携えていた直剣を素早く抜き放ちながら、突進でも計るかのように腰を落とすが、その姿勢のまま身動き「しなくなる」。
僕が止めても問題は無かったのだろうけど、こういう場合「真っ先」に動いてしまう「誰かさん」がミゥさんの身動きを封じた結果に終わる。
つい先刻、酒場で見たそれと同じく、霧を発生し続けている刃をミゥさんの首筋にあてがって。
その結果にリュスは苦笑し、ミゥさんは悔しそうに奥歯をかみ締め、名も知らない魔族<アンプラ>の女性は目を丸くして驚き口元に手をあてがっていた。
ちなみにアルフィーナは出されたお茶を啜って、なんともご満悦だった。
「……ミゥ?さんでしたっけ?……今のは我が主の言が行き過ぎた物と理解しています。必要とあらば、私が謝罪します。ですので、可能なら刃をお納めください」
なおも刃をあてがったまま、淡々と語るディーネはミゥさんが軽くにらみつけ、剣を収めるまでミゥさんに刃を宛がい続けた。
ミゥさんが剣を納めてからは何食わぬ顔、否「何考えてるかわからない顔っていうかヴェール」で再びソファに腰を下ろした。
ミゥさんと言えば、不忠者でもある僕を罰する事が出来なかったのが悔やまれるのか、ピンと立っていた耳がどこぞのロップイヤー兎(男)のように垂れていた。
その様子を汲み取ってか、リュスが立ち上がりニ、三度頭を撫ぜてやると、顔を真っ赤にして恥ずかしがりながらも、なされるがままになっていた。
その様子を見ていたディーネが「不忠者を罰してやりました!褒めてください!」と、言わんばかりに頭を撫ぜやすい位置に持ってきたが、スルー。
「……ごめんね、ミゥさん。今のは……その決して悪気があったわけじゃないんだ。ただ、亜人種に優しくしてる「ソイツ」が本当に僕の知ってる「リュス」なのか確認したくてさ」
「酷い言われようだ……」
「ソレくらいの事をしてたんだ。当然だろう?……ったく。ミコトだよ。可能なら二度と顔をあわせたくなかったんだがな」
恐らくミゥさんは「前」のリュスを知らないんだと思う。知っていれば、今その頭を撫ぜている手を払ったのか、それとも嫌々されるがままになったか。
現に隣の魔族<アンプラ>は過去のリュスを知っているのだろう、僕の発言に対し何度も頷いていた。
「まぁ否定しないさ。――それで、その顔は?まさか魔族<アンプラ>だった、っていう落ちじゃないんだろう?」
「……リュス、お前本気で聞いているのか?彼の処遇に対してどうなったか手紙にして渡したじゃないか……」
「あぁ、すみません――でしたら、あの中にありますね……」
そう言いリュスが指差した先には先ほどまで彼がいた机の木箱に大量の書簡と共に手紙が乱雑に入れられていた。
「多くの内容が「調査」に関する騎士団への依頼書です。その中にまぎれてしまったようですね」
「ったく……。――烙印だよ。私が彼に従属の烙印を刻んだ」
「おおよその予想はしていましたが、それにしたって「顔」を選ぶとは……。止めなかったので?」
「止めて聞くような相手だったら、そもそもコイツは罪を負っていないだろうな」
「僕の話はもう良いです。それで、そっちの紹介もしてくれるのでしょう?」
「勿論だ。――私はリュ「あ、お前は良いよ。出来れば隣の可愛らしい兎人族の女性、ミゥさんからお聞きしたいです」」
リュス顔真っ赤。ミゥさん別の意味(主を侮辱されて)顔真っ赤。ミルフィもニナさんの事になるとこんな感じなんだろうな。
ちなみに僕。両太ももを左右両方から伸びてきた手によって抓られ、おそらく皮膚真っ赤。
「……ミゥ。雪狼騎士団の見習い騎士。魔族<アンプラ>は嫌いだ」
そう睨まれつつ、乙女モードじゃない所謂敵対モードで語られる言葉の最後に、思わずリュスを挟んで反対側に立っていた魔族<アンプラ>に眼を向けるが、気にした様子も無くただ眼が合って微笑むだけ。その優しさや、肌の色も相まってどこか、イダの様な印象を受けてしまい、ここはどんなに両者に抓られようとも、最大限の賛辞と共に声にするべきだと、至る。
「では、そちらに居られる立っているだけで、まるで白百合が咲き乱れたかの様な印象を与える大変見目麗しい、貴女様のお名前は?」
そう皆にも聞こえるように、なおかつ舞台役者のように手振りまで付け加えた。
手を差し伸べた魔族<アンプラ>の女性は最初は目を見開き驚いていたが、やがてクスクスと笑みをこぼし、一通り終えると、小さく口が動く。
が、「声」は聞こえず、ただ口の形が三文字の母音を告げる。「あ・い・あ」と。
一瞬意味が解らなかったが、数秒の間を置いて、周囲の異変に気が付く。
誰しも、魔族<アンプラ>の女性を見ていない。
皆が見ているのは僕であり、僕が手をさし延ばした先の「何か」を探し、やがてまた僕へと帰ってくる。
しばらくして最初に口を開いたのは、リュスの困惑している顔で告げられた。
「……誰か見えているのか?……「精霊騎士」殿」
先ほどまでとはまるで違う、ふざけた印象を受けないリュスの声を耳にして、やっと魔族<アンプラ>の名前に思い当たる。
なおも微笑んで、リュスの後ろに控えている「皆には見えていない」魔族<アンプラ>。
――、恐らく……アリアだ。
-登場人物-
大柴 尊:おおしば みこと:
出水高等学校2年。男子。17歳。グレインガルツでは「ミコト・オオシバ」と名乗っている。1歳の時、火事で両親と死別。DT。精霊を見る事が出来る。精霊魔法が得意。12月6日生まれ。料理、特に菓子作りが得意。イニェーダとの死別。アルフィーナに意識を奪われた後、アプリールの監獄で目を覚ます。ディーネとアルフィーナから真実を告げられる。アルフィーナの怒り片鱗に触れてしまう。独房にて明日を迎えようとして、ディーネに眠りの魔法をかけられ、深い眠りへと堕ちてしまう。ディーネと共に独房で夜を明ける。アルフィーナの旅に同道出来ない事を告げ、刑を受けるために大人しくしていたが、アルフィーナがはなった斬撃で飛んだのはミコトの腕ではなかった。ディーネから、与命式を行われており、自らの傷=ディーネへの被害となる事を理解する。アルフィーナの旅に同道する決意し、彼女に技量を示すよう言われる。アルフィーナに烙印を施す場所を聞かれ、双頬を選ぶ。アルフィーナとの試合において勝利を収める。アルフィーナの旅に同道するために、身をたてる証として冒険者ギルドに所属する道を選ぶ。持ち運びやすいように、15cmものさしか、かゆい所に手が届く30cmものさしか悩んでいる。
アルトドルフ:
尊が装備している右手全体を覆うガントレットについているクロスボウ。腕部分に固定されており、状況にわけて手甲を回す事で三段階まで広がり、飛距離、威力を調整できる。非展開時は菱形の金属の板に見えるため、バックラーとしての役目も果たせる。小さい物であればなんでも矢弾にすることが出来る。イダ製作。現実世界の英雄「ウィリアム・テル」が住んでいた地名から命名。
ヴィルヘルム:
尊の左肩に吊っている、クフィアーナの大樹の枝から削りだした八十cmの弓。弦はなく、使用時に尊が魔力により弦をはる。矢弾は魔力弾<タスク>を使用し、尊の正確なイメージ力に応じ、脅威の威力を発する。フェリアの指導を受け、尊自身が製作。現実世界の英雄「ウィリアム・テル」のウィリアムの別名、「ヴィルヘルム」から命名。
イニェーダ・ルミル・アリシュ:(イダ)
蒼い目、黒髪、長髪。魔王ベルザフィードの娘?顔のタトゥは群青色。○18歳?肌が病的なまでに白い。魔法薬師。故人。
アルフィーナ・バルディール:
銀髪を後ろで結っている。少女。銀目。神々の天恵、破邪堅装<アーヴェリック>を有する。アルフィーナにとって「害」となる魔法を強制的に無効化できるため、事象改変魔法や阻害魔法を含め強制的に無効化できる。銀旋騎士団の団長。王令を受け、旅立ち、ミコトと出会う。ミコトの発言に沸点へと至ってしまい、殺めようとする。ディーネと初めて会った時、ひどくあいまいな存在だという事を理解していた。ミコトの右腕を切り落とすべく、銀の剣で素早く切り裂くが、ミコトではなく、ディーネの右腕が床に落ち、理解できずにいた。魔族を殺めるのに特化しており、反面人を殺める事を躊躇してしまう。今回は断罪という名目で、ミコトに対し剣を振るったが結果ディーネの傷へと至ってしまい覚悟が出来ておらず、心を揺さぶられる。ミコトの言動に恥ずかしさが頂点に達し、武力を持って黙させる。ミコトに負ける。
ディーネ・フォーミュラー:
エルフ。リンファ族。ベージュ色の髪を宿し、顔全体を漆黒のヴェールで隠し、表情が全く見えない。腰にはレイピアと、付呪剣と呼ばれる宝石の刀身を持つ短い曲剣を持っている。アプリールとアスール村とを繋ぐ街道の外れ、森の中に倒れていた。アルフィーナの計らいで、アスール村へと送り届けられる。アルフィーナにとって妥協せざるえない言葉を多く持っている。アルフィーナと共に独房の中で会話をして、己が感じている事を吐露する。ミコトと同じ独房で夜を明けた時、彼に与命式を行っていた。別室にて、アルフィーナがドアを吹き飛ばした音を聞き、びっくりする。加護<リウィア>の扱いに長け、アルフィーナに教示する。……老眼?
フェリア・ムーア:
碧眼、金髪、短髪。魔族<アンプラ>。顔のタトゥは深緑色。脳も筋肉でできているほど強い(自称)褐色系の肌で活発そう。イダよりも身長が高い。イダと対称的に、動きやすい服装を好み、羽織っている。エクスカリバー(※ただの鉄のダガー)の保有者。尊に対し、わかりやすすぎる敵意を向け、殺意も隠さない。恐らく魔法が使える。尊を亡き者にしようと、暗躍する。料理などは物を「焼く」だけならできる程度で、イダの家に居るときは基本、イダが料理を行う。イダの料理に毒物を混ぜ、尊に提供するが、悉く失敗。最終的に幻術魔法を使用してイダに扮装し、尊に接触。信頼させ、劇薬を盛り意識を奪う事に成功する。とみせかけて、実は尊の考えで飲んでおらず、口に含んだ程度だった。お脳みその出来がよくなく、かなり純真。世界の真実をイダから教わり、しばらく立ち直れなかった。ミコトが最初に作ったアイスクリームを毒味と称し全部食べてしまい、イダから怒りを買う。以降三日口をきいてもらえず、歩く屍と化していた。ミコトの戦闘技術を評価し、イダには正直に話すが、ミコト本人には言わず「ゴミ」「人間もどき」などと暴言を吐く。褒められるという行動に弱い。尊に毒され、尊の現実世界の軍隊用語を覚えつつある。長年愛用していた馬車をイダに粉砕されたが、新調した荷馬車で深海都市ティルノ・クルンへ用事をこなしに向かい、帰ってくる時にミーミクリーを倒す。イダの家につくが二人が居らず、気配と残り香からアスール村へと歩を進める。イダの現状を見聞きし、涙を流す。ミコトの帰還時、なんと声をかければよいのわからず、ニナに尋ね、己の想いを口にする。ミコトの事を家族として受け入れ、その身に宿した契約を聞き出す。イダが庭先で眠りこけていたのを知り、あえてスルーしていたことを、ニナに注意され、怒られている。ミコトにイダの引きこもりっぷりを再確認させ、紋について聞いてこないミコトを一層身近な存在だと認識するようになる。ミコトの契約を果たすために、竜の卵を携え、炎兵都市アルディニアへと赴く。
ニナ・ルナディア:ニィナフェルト・ウィル・グレイシス
赤瞳、赤髪。魔族<アンプラ>。顔のタトゥは深紅色。女性。アスール村の村長。ナイスバディ。ドS。イダ同様にどこか、高位な感じがする女性。元・兵士らしく、フェリアの上官だった。私兵でもあるミルフィを溺愛するあまり、ラスティルと協力して「可愛く着飾る」のを趣味としている。ミルフィに紋を有している事を見られるが、彼女に受け入れられる。魔大戦での大英雄、炎神ニィナフェルト本人。イダが庭先で眠りこけていた所を発見し、原因を作ったミコト、フェリアを怒っている。ミルフィールに「お母さん」と呼ばれたことで、頭のネジが飛んだ。かなりの心配性。雪狼騎士団の要求をはねのけようと奮闘するが、ミィコの登場に古傷が開く。ミルフィに疑問を投げかけられ、イダとミコトの関係を思い出し、同じようになれればという想いを持つ。ミルフィールに対し、魔大戦の理由を説明する。かつて魔王ベルザフィード率いる軍勢の将として戦っていたが、イニェーダの計らいでフェリアと共に暗黒大陸ルカーシャを脱し、人間勢へと加勢した過去を持つ。アスール村に張り巡らせていた結界を、尋常ならざる気配の存在が原因で破壊される。アルフィーナと対峙するが、その容姿はいつもとはかけ離れ、深い悲しみを背負っていた。感情の制御が出来ず、体内魔力が暴走へと至り決壊しかけていた。ミコトが放った魔力針<ファントムダート>で魔力を一時的に奪う事で暴走へ傾いていた魔力を抑える事に成功する。意識不明の重体。ミルフィとビルクァスに託す。
ミルフィール・トゥーヴェ:
灰色の髪。オレンジ色の瞳。狼タイプのドゥーギー(犬人間)。20歳。見た目は12歳前後。ニナに心酔している様子。「兎のしっぽ亭」が怖いようで、近づくにつれ欝々真っ盛りになる。ラスティルの魔の手が終わり、キーナと湯浴み後、ゴシックドレスしか衣類がない事に絶望しつつ、身に着け皆の前に姿を現す。自らを人同様に優しく接してくれるミコトに微かな恋心を抱く。ミコトの代わりように少し恐怖する。イニェーダとニィナフェルトに紋がある事に戸惑う。元は炎兵都市アルディニアにて最も危険な灰と煤の掃除を行っていたが、赤宝<ベルク>の暴走により、辺り一面火の海と化した現場でニナが救い、生還した唯一の人物。引き取り手が居なかった事で、ニナが名乗りを上げ、ミルフィール(太陽)・トゥーヴェ(二つ)と名付ける。大きな火を前にすると、立ちすくんでしまう。人の焼ける臭いが苦手。ニナから事前に準備されていた魔霊銀<ハイ・ミスリル>のピアスを受け取る。ニナの生い立ちを知り、身体が弱い理由を知り、「母」として認識するようになる。ミコトを「兄」として慕う事の許可を求め、「二度と自らを卑下しない」という条件のもと了承される。ニナを「お母さん」と呼んだだけで、明らかに別人になったかのようになり、その様子を見て恥ずかしがってしまう。ミコトが雪花祭<アンリージュ>の存在を知らない事に驚く。同時に、雪花祭<アンリージュ>に一緒に行きたい人が確実に自分出なかった事に若干ショックを受ける。兄が姉になった様子を見ており、「女として負けた気分です……」と言葉を残した。イニェーダを白の森の入口まで送り届ける。アスール村へと帰ってきてから、ニナにある疑問を投げかける。ニナから魔族<アンプラ>の話を聞く。ミコトが無事だったことに嬉しくなり、ニナの言いつけ通り料理を作りに行く。ニナの状況を見聞きし、涙をながし、火の海に飛び込もうとするミコトを止めようとする。イニェーダを一人で帰らせた事、結果ミコトが人間を殺めてしまった事にふさぎ込む。ミコトの嘆願を行い、アスール村中を走り回って署名を募った。
フィリッツ・アストル:
茶髪、ラヴィテイル(兎人間)、赤眼。男性、25歳。料亭「兎のしっぽ亭」のマスター。ラスティルの兄。人間種を嫌っている訳ではないが、亜種のみの憩いの場を作りたいという目的から、「兎のしっぽ亭」を開く。ラヴィテイルの中でも珍しい、垂れ耳をしている。キーナの事が好き。雪花祭<アンリージュ>に向け、キーナとアスール村の仕立て屋へ赴いていた。ミィコの存在に若干心を奪われる。
ラスティル・アストル:
白髪、ラヴィテイル(兎人間)、赤眼。女性、20歳。料亭「兎のしっぽ亭」の料理番。フィリッツの妹。自分の加護と同じ、水属性の精霊が見える。自分にだけ見える異様な光景に、驚いている。ミルフィさんをレ○プしているとしか思えない。ミコトからシチューの作り方を習う。ミコトが雪花祭<アンリージュ>の事を知らなかった事で、ミコトと「野生児」だと認識する。と、同時に自分達獣人を人として接する理由を理解する。雪花祭<アンリージュ>についてミコトに説明する。ミィコの誕生に一枚かんだ。「私は恐ろしい物を生み出した……」というのが本人の言葉。
キーナ:
女性。赤眼。ショートヘアー。フィリッツの想い人であると同時に、キーナ自身もフィリッツの事を好いている。フィリッツからの手紙を受け取り、なんとしても村へ帰るという思いを大きく膨らませる。聴力がかなり高い。無事に村へ帰る事が出来た。「兎のしっぽ亭」で働く事になった給仕係。ミルフィは木のみを売って生計を立てて居た頃からの知り合い。雪花祭<アンリージュ>に向け、フィリッツとアスール村の仕立て屋に赴いていた。ラスティルと一緒にミィコの誕生に携わり、ラスティル同様に自らが生み出した者を理解し恐れ、女性としての自信を若干失う。
ガルム・クォークス:
濃い茶髪。髭を携えた、ドワーフ。308歳。アスール村一番の鍛冶師。人間嫌い。人間を信用しないと誓いを立て生きていたが、ビルクァスや、ミコトと邂逅することで、もう一度人を信じようと心に決め、その想いをミコトに伝える。
ビルクァス・アルフィー:
黒髪、人間。31歳。灰色の目。七枝の一人。七宝玉の一つ、赤宝<ベルク>の加護を受けた剣士。それ故に魔剣ベルク・アインの所有者に選ばれる。アスール村の自警団、団長。主に村内の治安維持を目的とした団体で、門の警備なども担当している。三か月ぶりにミコトと再開する。炎兵都市アルディニアの元剣闘士であり、魔大戦において三大英雄たるニナ達が現れる前に戦線を維持していた英雄の一人。ミコトの行動に感謝しつつ、ミィコとは若干距離を置きたい気分。
ザキマ:
青髪。青目。銀旋騎士団の副団長。人間。アルフィーナに過去半殺しにされた経験がある。
クィンス・リーベリア
金髪、青目、人間。男性。初老。雪原都市アプリールの長にして、アリアーゼ城の主。アルフィーナが情報を求め来たことに対し、依頼をこなせと押し付ける。それを拒否したアルフィーナに怒りを向けている。アルフィーナからの要請に応じ、ミコトを雪原都市アプリールへ招集することを承諾する。と、同時に、アルフィーナに雪花祭<アンリージュ>に出るよう申しつける。
リュス・ヴィスヴァーク:
金髪。人間。男性。二十代後半。雪狼騎士団の団長にして、真正のクズ。部下の技能にイラつきを見せる。弓の名手。名弓・白亜の魔弓を持ち、人の生命力を糧に召喚できる「魔鏡」を使った魔力弾<タスク>による精密狙撃が得意。ミコトに対し、発言の撤回を求めるために決闘を申し込む。拒否権があるようにみせかけるが、その発言から実際にはない事を語る。ミコトから精霊を用いた拘束を使われ、身動きが出来なくなったとき、部下が言っていた「呪術」が使える。と言われたことを思い出し、若干恐れる。ミコトに対し、全く知らないであろう決闘を挑み、明らかに有利な状況で決闘を開始する。自分の眼前で起きた事象に理解が出来ていない。
ミゥ:
兎人族<ラヴィテイル>の女性。リュス直属の部下にして、試験的に導入された新しい亜人種の騎士団員。種族補正に恵まれており、跳躍力がずば抜けて高い。元は下水道の処理業務をしていた所、ミコトとの決闘で考え方を改めたリュスによって救われる。そのリュスに対し、恩を感じており、亜人種なかでも獣人族における「主を得る」という事で得られる幸福感を抱いている。
布部 紘:ふべ ひろ:
出水高等学校2年。女子。16歳。1月17日生まれ。尊のクラスメイトであり、同じ部活、さらに同じ療育児童センターで育った。尊にとって妹のような存在。本人は姉のつもり。現実世界を離れてから、同じ月日が経ち未だあきらめずに尊を探している。
謎の男:
尊を異世界へと転移させた、謎の人物。
少女:
リュスとの決闘に使われた森に居た少女。魔族<アンプラ>。リュスの矢を受け、事切れる。




