承章:第七幕:裁き
承章:第七幕:裁き
「……ミコト。昨日の質問の答えを聞く前に、話がある。とある「人物ら」からの願いと私個人の恩から、貴様は死罪ではなくなった。……両腕の切断刑だ」
昨日話し合いを行った部屋に案内され、席に着いた俺にアルフィーナはそう口にした。昨日よりも微かに顔色が良いのは自らが人を殺めなくて良いと思ったからだろうか。
ディーネは昨日アルフィーナがしていたように、壁に背を預けただ事の成り行きを見守っていた。
それにしても両腕の切断刑、か……。もはや死罪と何ら変わらない気がする。それでも直接死を渡されるよりかは遥かに良いのだろうか。
でも、身寄りもない身としては両腕を断たれれば、後は死ぬのを待つだけな気がする。
それにココを抜け出した後はきっと身投げの場所でも探すんだろうな。
「それじゃあ答えを聞かせてくれないか?ミコト。……両腕を断たれるか、私の旅に同道するか、だ。……悪いが昨日も言ったように、あまり時間を設けてやることもできん。今、答えを聞かせてくれ」
「一つ質問がある」
「なんだ?」
「もし俺が切断刑を望んだ場合、俺は今日にもココから解放されるのか?」
「……あぁ。本来なら、切断面の処置、縫合などの理由から様子を見るべきだろうが、私が切り落とし、魔法で癒す。それで良いのであれば、今日にでもお前を自由にすると約束しよう……」
そういうアルフィーナはどこか「私にそれをやらせるな」とでも言いたげに、真っすぐ俺の瞳を見据えていた。
その眼を睨むでもなく、ただ同じように見据え返すと、やがてディーネに視線を移した。
「……ディーネ、君から何かミコトに言う事があるか?」
「いえ、何も。私は「お優しい」ミコト様を信じております。……そんなミコト様であれば、正しい決断を下せると、知っていますから」
「一体君の何が、俺をそこまで信用させるのか解らないな……」
「私はミコト様が思っている以上に、ミコト様の事を存じております。ですから私には「知っている」としか申せません。「お優しい」ミコト様は正しい判断が出来る、と」
そう何度も「お優しい」を付けられると、理解に苦しむ。
昨日初めて顔を合わせた人間を何故そこまで信用できるのか。
確かに昨日彼女には弱い面を見せてしまったかもしれない、だからと言って彼女がここまで信用しる理由がわからないし、昨日の話し合いの時には彼女を殺めかけた。
「……話は以上だ。それでミコト。答えを聞かせてくれないか?」
「アルフィーナ。お前、本当にこの話を俺が受ける、と思っているのか?一日も間をおかずとも解るだろう?……それに、アルフィーナの旅に同道している間に俺が裏切るとは考えないのか?」
「そうだな……。確かにミコトの言う通りだ。――だけどな」
アルフィーナは俺の言葉に瞑目し、一度頷くとテーブルに数十枚も重ね綴られた紙を置いた。
「嘆願書だ。「ミコトを極刑にするな」とな。……誰からか、などは聞かずともわかるだろう?」
言われ、一番上の紙面に目を走らせると、そこには小さく整った字で、
『ミコト・オオシバが犯した罪状について、三人の人命を奪った、と聞かされました。ですが、上記の者は当村の亜人の命を救い、同領地における被害の元とも言える結晶竜を殺め、多くの人命を救った人物です。その人物が三人の命を奪った事で命まで奪われては、理に反すると愚考いたします。重ね彼の者は同じ過ちなど二度と起こさないとココに名を連ねた者一同、その身、その命を持って保証し、それゆえにココに嘆願をいたします』
ミルフィール・トゥーヴェ。
フィリッツ・アストル。
ラスティル・アストル。
キーナ・アストル。
ガルム・クォークス。
ビルクァス・アルフィー。
そこには、アスール村でお世話になった人達や中には知らない名前までもが記されていた。その何れも筆跡から別人が書いた事が解る。
「本来なら、一部の村民の嘆願など、聞き要られる事などまずもって有り得んが、例外とした理由が、この人物の名だ」
アルフィーナは最後尾の紙を見せ、一つの名前を指さす。
ニィナフェルト・ウィル・グレイシス。
アスール村の長にして、イダの友人。魔大戦での英雄の一人。
「彼の三大英雄の一人、ニィナフェルト。さらに七枝の一人、ビルクァス。このお二方の嘆願が提出されたとあっては、アプリールの騎士団では荷が重いだろうな……。それどころか、お前の身柄を即刻アスール村へと引き渡そうとしたくらいだ……」
「……なんで、本人が名を書いた、って思うんだ。別人かもしれないだろう」
「確かにな。最初は誰しも英雄の名を用いた悪戯だろう、と思ったさ。……だがな、この嘆願書と共に一通の手紙が添えられていた。そこには、お前がニィナフェルトの命を救った事、その恩人の命も救った事が記されていた。さらにはニィナフェルト本人と一部の人間しか知り得ない、三大英雄の一人、女神オルヴィアの現所在について記されていた。……これについては私が保証した。つまりこの手紙と、嘆願書に記されたニィナフェルトは間違いなく本人であろう」
ひとしきり説明した後、アルフィーナは深いため息をしてから、続けた。
「私個人を裏切るのは容易いだろうな。だが一度、信を得た相手をお前は裏切れるのか?この嘆願書を受理した時点で、お前が同じ罪を犯せばココに名を連ねた人物も同じ罪に問われるんだぞ?」
「――それは……」
無理だ。自らのせいで、無関係の人の命まで天秤に乗せられない。
「無論コレがあるからと言って、無条件で信頼した訳じゃない。悪いがお前には旅に同道すると決めたら、ある種の呪を受けてもらう。私の意に反せないというだけのものだが、別段私も厳しい条件を突きつけるつもりはない。ただ一つ「人を傷つけるな」という条件をあげさせてもらう」
「……必要ない」
「なぜだ?」
「こうするからだ」
俺は両手の繋がれたまま、右肩をアルフィーナに向け、脇を開くようにして腕の付け根を差し出す。
「今日にでも開放されるのなら、皆に感謝を伝えてから、身投げする場所でも探すさ。悪いがアルフィーナの旅には同道できない」
その言葉をアルフィーナは静かに聞き入れ、しばらく何事かを思案していたんだろう。
数十秒間を置いてから、椅子から立ち上がり、腰に吊っている銀の剣の柄に手を添えていた。
「……本当に良いんだな?」
「あぁ。やってくれ」
アルフィーナが歩を進め、俺が腰かける椅子の横に立つと、静かに剣を抜き上段に構える。
俺はただ、瞑目しいずれくる痛みに耐えようと、奥歯を噛みしめた。
「……恨んでくれて良い。お前の未来を断つのは私なんだ……」
「違うさ。アルフィーナはただ、刑を執行するだけだ。悪いのはお前じゃない」
俺の言葉が終わると同時にシッと風を切る音が耳に入った。
それは恐らく、俺の右腕を切り落とさんとする一迅の風で、やがて肌を骨を断ち、ゴトリと、石の床に重たい何かが落ちる音が響いた。
続いて動脈を断ち切った故だろう、勢いよく液体が噴き出る音が響き、違和感を感じた。
ディーネの存在だ。昨日、アルフィーナが俺に刃を突きつけた時、これでもかと言う程、慌てふためいたディーネが全く気に留めた様子も無く、何よりも痛みが「全く無かった」。
それどころか、右手の「指が動くし、肘が曲がる」。
覚悟していた事とはいえ、瞑目していた眼を開き己の右肩を見つめると、そこには確かに腕があり、上段に構えていたアルフィーナの銀の剣が肩を通り抜け、脇と二の腕の間で止まっていた。
意味が解らず、剣の持ち主のアルフィーナを見上げると、そこには信じられない物でも見たかのように怯え、顔を青くしてある一点を見つめているアルフィーナの顔があった。
その一点を、アルフィーナの視線を辿るようにして、見た先には、右腕が無く肩口から噴き出す血液を左手で押えるようにして、壁に背を預けるディーネの姿があり、彼女の足元には切り落とされた右腕が一本、二度と動くことも無く血の海に転がっていた。
-登場人物-
大柴 尊:おおしば みこと:
出水高等学校2年。男子。17歳。グレインガルツでは「ミコト・オオシバ」と名乗っている。1歳の時、火事で両親と死別。DT。精霊を見る事が出来る。精霊魔法が得意。12月6日生まれ。料理、特に菓子作りが得意。イニェーダとの死別。アルフィーナに意識を奪われた後、アプリールの監獄で目を覚ます。ディーネとアルフィーナから真実を告げられる。アルフィーナの怒り片鱗に触れてしまう。独房にて明日を迎えようとして、ディーネに眠りの魔法をかけられ、深い眠りへと堕ちてしまう。ディーネと共に独房で夜を明ける。アルフィーナの旅に同道出来ない事を告げ、刑を受けるために大人しくしていたが、アルフィーナがはなった斬撃で飛んだのはミコトの腕ではなかった。
アルトドルフ:
尊が装備している右手全体を覆うガントレットについているクロスボウ。腕部分に固定されており、状況にわけて手甲を回す事で三段階まで広がり、飛距離、威力を調整できる。非展開時は菱形の金属の板に見えるため、バックラーとしての役目も果たせる。小さい物であればなんでも矢弾にすることが出来る。イダ製作。現実世界の英雄「ウィリアム・テル」が住んでいた地名から命名。
ヴィルヘルム:
尊の左肩に吊っている、クフィアーナの大樹の枝から削りだした八十cmの弓。弦はなく、使用時に尊が魔力により弦をはる。矢弾は魔力弾<タスク>を使用し、尊の正確なイメージ力に応じ、脅威の威力を発する。フェリアの指導を受け、尊自身が製作。現実世界の英雄「ウィリアム・テル」のウィリアムの別名、「ヴィルヘルム」から命名。
イニェーダ・ルミル・アリシュ:(イダ)
蒼い目、黒髪、長髪。魔王ベルザフィードの娘?顔のタトゥは群青色。○18歳?肌が病的なまでに白い。魔法薬師。故人。
アルフィーナ・バルディール:
銀髪を後ろで結っている。少女。銀目。神々の天恵、破邪堅装<アーヴェリック>を有する。アルフィーナにとって「害」となる魔法を強制的に無効化できるため、事象改変魔法や阻害魔法を含め強制的に無効化できる。銀旋騎士団の団長。王令を受け、旅立ち、ミコトと出会う。ミコトの発言に沸点へと至ってしまい、殺めようとする。ディーネと初めて会った時、ひどくあいまいな存在だという事を理解していた。ミコトの右腕を切り落とすべく、銀の剣で素早く切り裂くが、ミコトではなく、ディーネの右腕が床に落ち、理解できずにいた。
ディーネ・フォーミュラー:
エルフ。リンファ族。ベージュ色の髪を宿し、顔全体を漆黒のヴェールで隠し、表情が全く見えない。腰にはレイピアと、付呪剣と呼ばれる宝石の刀身を持つ短い曲剣を持っている。アプリールとアスール村とを繋ぐ街道の外れ、森の中に倒れていた。アルフィーナの計らいで、アスール村へと送り届けられる。アルフィーナにとって妥協せざるえない言葉を多く持っている。アルフィーナと共に独房の中で会話をして、己が感じている事を吐露する。ミコトと同じ独房で夜を明けた時、彼に与命式を行っていた。
フェリア・ムーア:
碧眼、金髪、短髪。魔族<アンプラ>。顔のタトゥは深緑色。脳も筋肉でできているほど強い(自称)褐色系の肌で活発そう。イダよりも身長が高い。イダと対称的に、動きやすい服装を好み、羽織っている。エクスカリバー(※ただの鉄のダガー)の保有者。尊に対し、わかりやすすぎる敵意を向け、殺意も隠さない。恐らく魔法が使える。尊を亡き者にしようと、暗躍する。料理などは物を「焼く」だけならできる程度で、イダの家に居るときは基本、イダが料理を行う。イダの料理に毒物を混ぜ、尊に提供するが、悉く失敗。最終的に幻術魔法を使用してイダに扮装し、尊に接触。信頼させ、劇薬を盛り意識を奪う事に成功する。とみせかけて、実は尊の考えで飲んでおらず、口に含んだ程度だった。お脳みその出来がよくなく、かなり純真。世界の真実をイダから教わり、しばらく立ち直れなかった。ミコトが最初に作ったアイスクリームを毒味と称し全部食べてしまい、イダから怒りを買う。以降三日口をきいてもらえず、歩く屍と化していた。ミコトの戦闘技術を評価し、イダには正直に話すが、ミコト本人には言わず「ゴミ」「人間もどき」などと暴言を吐く。褒められるという行動に弱い。尊に毒され、尊の現実世界の軍隊用語を覚えつつある。長年愛用していた馬車をイダに粉砕されたが、新調した荷馬車で深海都市ティルノ・クルンへ用事をこなしに向かい、帰ってくる時にミーミクリーを倒す。イダの家につくが二人が居らず、気配と残り香からアスール村へと歩を進める。イダの現状を見聞きし、涙を流す。ミコトの帰還時、なんと声をかければよいのわからず、ニナに尋ね、己の想いを口にする。ミコトの事を家族として受け入れ、その身に宿した契約を聞き出す。イダが庭先で眠りこけていたのを知り、あえてスルーしていたことを、ニナに注意され、怒られている。ミコトにイダの引きこもりっぷりを再確認させ、紋について聞いてこないミコトを一層身近な存在だと認識するようになる。ミコトの契約を果たすために、竜の卵を携え、炎兵都市アルディニアへと赴く。
ニナ・ルナディア:ニィナフェルト・ウィル・グレイシス
赤瞳、赤髪。魔族<アンプラ>。顔のタトゥは深紅色。女性。アスール村の村長。ナイスバディ。ドS。イダ同様にどこか、高位な感じがする女性。元・兵士らしく、フェリアの上官だった。私兵でもあるミルフィを溺愛するあまり、ラスティルと協力して「可愛く着飾る」のを趣味としている。ミルフィに紋を有している事を見られるが、彼女に受け入れられる。魔大戦での大英雄、炎神ニィナフェルト本人。イダが庭先で眠りこけていた所を発見し、原因を作ったミコト、フェリアを怒っている。ミルフィールに「お母さん」と呼ばれたことで、頭のネジが飛んだ。かなりの心配性。雪狼騎士団の要求をはねのけようと奮闘するが、ミィコの登場に古傷が開く。ミルフィに疑問を投げかけられ、イダとミコトの関係を思い出し、同じようになれればという想いを持つ。ミルフィールに対し、魔大戦の理由を説明する。かつて魔王ベルザフィード率いる軍勢の将として戦っていたが、イニェーダの計らいでフェリアと共に暗黒大陸ルカーシャを脱し、人間勢へと加勢した過去を持つ。アスール村に張り巡らせていた結界を、尋常ならざる気配の存在が原因で破壊される。アルフィーナと対峙するが、その容姿はいつもとはかけ離れ、深い悲しみを背負っていた。感情の制御が出来ず、体内魔力が暴走へと至り決壊しかけていた。ミコトが放った魔力針<ファントムダート>で魔力を一時的に奪う事で暴走へ傾いていた魔力を抑える事に成功する。意識不明の重体。ミルフィとビルクァスに託す。
ミルフィール・トゥーヴェ:
灰色の髪。オレンジ色の瞳。狼タイプのドゥーギー(犬人間)。20歳。見た目は12歳前後。ニナに心酔している様子。「兎のしっぽ亭」が怖いようで、近づくにつれ欝々真っ盛りになる。ラスティルの魔の手が終わり、キーナと湯浴み後、ゴシックドレスしか衣類がない事に絶望しつつ、身に着け皆の前に姿を現す。自らを人同様に優しく接してくれるミコトに微かな恋心を抱く。ミコトの代わりように少し恐怖する。イニェーダとニィナフェルトに紋がある事に戸惑う。元は炎兵都市アルディニアにて最も危険な灰と煤の掃除を行っていたが、赤宝<ベルク>の暴走により、辺り一面火の海と化した現場でニナが救い、生還した唯一の人物。引き取り手が居なかった事で、ニナが名乗りを上げ、ミルフィール(太陽)・トゥーヴェ(二つ)と名付ける。大きな火を前にすると、立ちすくんでしまう。人の焼ける臭いが苦手。ニナから事前に準備されていた魔霊銀<ハイ・ミスリル>のピアスを受け取る。ニナの生い立ちを知り、身体が弱い理由を知り、「母」として認識するようになる。ミコトを「兄」として慕う事の許可を求め、「二度と自らを卑下しない」という条件のもと了承される。ニナを「お母さん」と呼んだだけで、明らかに別人になったかのようになり、その様子を見て恥ずかしがってしまう。ミコトが雪花祭<アンリージュ>の存在を知らない事に驚く。同時に、雪花祭<アンリージュ>に一緒に行きたい人が確実に自分出なかった事に若干ショックを受ける。兄が姉になった様子を見ており、「女として負けた気分です……」と言葉を残した。イニェーダを白の森の入口まで送り届ける。アスール村へと帰ってきてから、ニナにある疑問を投げかける。ニナから魔族<アンプラ>の話を聞く。ミコトが無事だったことに嬉しくなり、ニナの言いつけ通り料理を作りに行く。ニナの状況を見聞きし、涙をながし、火の海に飛び込もうとするミコトを止めようとする。
フィリッツ・アストル:
茶髪、ラヴィテイル(兎人間)、赤眼。男性、25歳。料亭「兎のしっぽ亭」のマスター。ラスティルの兄。人間種を嫌っている訳ではないが、亜種のみの憩いの場を作りたいという目的から、「兎のしっぽ亭」を開く。ラヴィテイルの中でも珍しい、垂れ耳をしている。キーナの事が好き。雪花祭<アンリージュ>に向け、キーナとアスール村の仕立て屋へ赴いていた。ミィコの存在に若干心を奪われる。
ラスティル・アストル:
白髪、ラヴィテイル(兎人間)、赤眼。女性、20歳。料亭「兎のしっぽ亭」の料理番。フィリッツの妹。自分の加護と同じ、水属性の精霊が見える。自分にだけ見える異様な光景に、驚いている。ミルフィさんをレ○プしているとしか思えない。ミコトからシチューの作り方を習う。ミコトが雪花祭<アンリージュ>の事を知らなかった事で、ミコトと「野生児」だと認識する。と、同時に自分達獣人を人として接する理由を理解する。雪花祭<アンリージュ>についてミコトに説明する。ミィコの誕生に一枚かんだ。「私は恐ろしい物を生み出した……」というのが本人の言葉。
キーナ:
女性。赤眼。ショートヘアー。フィリッツの想い人であると同時に、キーナ自身もフィリッツの事を好いている。フィリッツからの手紙を受け取り、なんとしても村へ帰るという思いを大きく膨らませる。聴力がかなり高い。無事に村へ帰る事が出来た。「兎のしっぽ亭」で働く事になった給仕係。ミルフィは木のみを売って生計を立てて居た頃からの知り合い。雪花祭<アンリージュ>に向け、フィリッツとアスール村の仕立て屋に赴いていた。ラスティルと一緒にミィコの誕生に携わり、ラスティル同様に自らが生み出した者を理解し恐れ、女性としての自信を若干失う。
ガルム・クォークス:
濃い茶髪。髭を携えた、ドワーフ。308歳。アスール村一番の鍛冶師。人間嫌い。人間を信用しないと誓いを立て生きていたが、ビルクァスや、ミコトと邂逅することで、もう一度人を信じようと心に決め、その想いをミコトに伝える。
ビルクァス・アルフィー:
黒髪、人間。31歳。灰色の目。七枝の一人。七宝玉の一つ、赤宝<ベルク>の加護を受けた剣士。それ故に魔剣ベルク・アインの所有者に選ばれる。アスール村の自警団、団長。主に村内の治安維持を目的とした団体で、門の警備なども担当している。三か月ぶりにミコトと再開する。炎兵都市アルディニアの元剣闘士であり、魔大戦において三大英雄たるニナ達が現れる前に戦線を維持していた英雄の一人。ミコトの行動に感謝しつつ、ミィコとは若干距離を置きたい気分。
ザキマ:
青髪。青目。銀旋騎士団の副団長。人間。アルフィーナに過去半殺しにされた経験がある。
クィンス・リーベリア
金髪、青目、人間。男性。初老。雪原都市アプリールの長にして、アリアーゼ城の主。アルフィーナが情報を求め来たことに対し、依頼をこなせと押し付ける。それを拒否したアルフィーナに怒りを向けている。アルフィーナからの要請に応じ、ミコトを雪原都市アプリールへ招集することを承諾する。と、同時に、アルフィーナに雪花祭<アンリージュ>に出るよう申しつける。
リュス・ヴィスヴァーク:
金髪。人間。男性。二十代後半。雪狼騎士団の団長にして、真正のクズ。部下の技能にイラつきを見せる。弓の名手。名弓・白亜の魔弓を持ち、人の生命力を糧に召喚できる「魔鏡」を使った魔力弾<タスク>による精密狙撃が得意。ミコトに対し、発言の撤回を求めるために決闘を申し込む。拒否権があるようにみせかけるが、その発言から実際にはない事を語る。ミコトから精霊を用いた拘束を使われ、身動きが出来なくなったとき、部下が言っていた「呪術」が使える。と言われたことを思い出し、若干恐れる。ミコトに対し、全く知らないであろう決闘を挑み、明らかに有利な状況で決闘を開始する。自分の眼前で起きた事象に理解が出来ていない。
布部 紘:ふべ ひろ:
出水高等学校2年。女子。16歳。1月17日生まれ。尊のクラスメイトであり、同じ部活、さらに同じ療育児童センターで育った。尊にとって妹のような存在。本人は姉のつもり。現実世界を離れてから、同じ月日が経ち未だあきらめずに尊を探している。
謎の男:
尊を異世界へと転移させた、謎の人物。
少女:
リュスとの決闘に使われた森に居た少女。魔族<アンプラ>。リュスの矢を受け、事切れる。




