起章:第三十三幕:雪花祭<アンリージュ>-I
起章:第三十三幕:雪花祭<アンリージュ>-I
ニナさんのネジが飛んでから、一週間をアスール村で過ごしていた。
その間、イダさんはニナさんから絶対安静を言い渡され、治療を受け続けいた。イダさん本人は日常生活は全く問題ないと言うが、ニナさんはそれを良しとしなかった。
イダさんもイダさんで、事あるごとにニナさんに目を盗んでは部屋を抜け出そうとしては、ニナさんに見つかるという行動をとり続けていた。
リアは僕への警戒心が解けたから、という理由もあるだろうが、完全に毒気が抜け面倒くさがりの「姉」になりつつあった。はっきり言えば、僕以上に食っちゃ寝して過ごし、完全にニートと化していた。
ミルフィは屋敷での仕事をこなしつつ、僕に料理の教えをこうたり、買い出しを一緒に行ったりと、何を行動するにしても付いて回るようになり、それがどこか僕も嬉しくはあったが、ミルフィが付いて回るたびに、その様子をニナさんがハンカチを咥えながら血涙を流して見つめてきて、怖かった。
そして、一週間もアスール村を拠点に生活すると、いくつか見えてきた事があった。
「………さん、…………」
まず第一に、「人」が少ない。
ビルクァスさんは言うまでも無く、「人」なのだが、いつだったかキーナさんの森の中で助けた時、アスール村の住人は三百人だと言っていた。
その通りで、正確には三百四人らしい(ニナさん談)。その中にいる「人」はたったの十五人で、いずれも自警団所属なうえに、ビルクァスさんの元部下らしい。
残りの二百人強は、「亜人」と呼ばれる「人ではない種」が占めていた。
両者の関係はアスール村内部に限って言えば「良好」らしく、ミルフィが自らを卑下する事を考えると、アスール村外での両者の関係は想像するのが簡単だった。
第二に、「イダさんは引きこもり体質」。
決して部屋から出ないタイプの引きこもりではなく、家から出ないのだ。
厳密に言えば、「屋敷の敷地内」は出るけど、一緒に街の中まで買出しに行こうとしても拒否し、兎のしっぽ亭で食事をしないかと声をかけても苦渋の決断をしいたような顔でさらに半ば泣きそうな表情で「行かない」と言われたり、ある程度わかっていた事だったが「イダさん」は僕達以外とはあまり関わろうとしなかった。
それをなんで、とも聞けず、ただ気が変わったら一緒に行こうとは声をかけているが、極力屋敷の中でイダさんと過ごす時間も増えていった。
「……いさん、……すか?」
そして第三に、村とは関係ないのだが、どうやら僕は「強い」らしい。
竜を狩る前に森で出会った男性の事を、皆に話した時、イダさんはなにか特徴になるものは無いか、と驚きの表情を隠さぬまま攻め寄った。
ボロいローブの下に光り輝く甲冑を纏っていた事、引き抜いた剣は銀色に輝き、ガードには銀の風を象徴するような装飾が施されていた事。
そこまで話すとイダさんは長いため息の後、真剣な表情で話してくれた。
銀旋騎士団の存在と、その目的。魔族を狩るのに特化した、戦闘集団。そのうちの一人であり、銀髪という特徴から「アル・バルディール」という人物であるという事。
なんでも、銀旋の長にして神族を象徴する銀髪を宿した「人」である、と。「彼」に適う魔族は居らず、「彼」が派遣された地に住まう魔族は根絶やしになるらしい。
それ自体は良いことなのだ、と苦笑しながらイダさんは説明してくれた。
そしてその「アル・バルディール」という人物を、拘束して逃げた僕の技量はかなりのものらしく、打ち解けたというのもあるのだろうが、リアが僕を褒めてくれたのは少し、いやかなり嬉しかった。
「兄さん!」
左側から聞こえた大声に、目線をそっちに向けると頬を膨らませたミルフィが居た。目が合うと、膨らませていた頬を小さくして、そっぽを向くが、そのしぐさも愛らしい。
ミルフィと一緒に兎のしっぽ亭に来て、新メニューとなった「兎肉の牛乳煮」を食べていた時に考え事にふけってしまったせいだろう、どこか機嫌が悪そうだったが、頭上の耳はかすかにピクピクと動いていた。ミルフィのその仕草は、「頭を撫ぜろ」のサインであり、それに応じると目を細め、尻尾をパタパタと振るのだった。
最近気付いたのだが、ミルフィは頭を撫ぜられるのは好きだけど、誰でも彼でも触れて良いわけではないらしく、ニナさんと僕は良いのに、リアやイダさんが触れようとすると苦笑しつつ離れていく。それがイダさんはかなりショックだったらしく、二日ほど寝込んだ。
特に触れるのにタイミングなどなく、気が向いたときにクシャクシャと頭を撫ぜてやると目を細め尻尾を左右にパタパタと振ってくれる。
感謝を伝える時なども言葉でのみ伝えると、どこか寂しそうな表情をして、撫ぜてやるとご機嫌になりさらに張り切るといった状況が続いている。
「ヘンターイ・止まれ!」
ピタッ!
「って、止まるわけないじゃないですか。誰が変態ですか、誰が……。っていうか、ラスティルさんには言われたくないです……」
「いやいや?だってミルフィちゃんに「お兄ちゃん」と呼べって言ってるんでしょ?変態以外の何があると?」
否定しません。
いや、ちょっと待って?「お兄ちゃん」は呼んでないよね?「兄さん」だから。そこにはマリアナ海溝とアゾフ海くらいの差があるからね?
ていうか、音も無く厨房から出てこないでください。可愛い妹がびびってます。
「んで、どうかな?前、ミコトさんが作ってくれたのより美味しいでしょ?」
「えぇ。とっても。ラスティルさん「一応」は料理人なんですね。メインジョブはてっきり「幼女狩り」の人かと……」
冗談を交えつつ、本音を語ると、笑顔でもこめかみに筋が浮かび上がっているラスティルさんにカウンター越しに頭を小突かれた。
「く、悔しいですが……料理の腕はラスティルさんの方が上です……。私も兄さんみたいにいろんな料理を覚えないと……」
頭を撫ぜてからというもの、ミルフィは匙を握りシチューに夢中だった。
「そういえば、今日はキーナさんとフィリッツさんは居ないんですね」
店に入ってからの疑問だったのだが、そこにはいつもいるロップイヤーこと、フィリッツさんと、その恋人キーナさんの姿が無かった。
「あーほら、もうすぐであの日だからねー。兄さんと義姉さんはソッチに夢中」
「あの日?」
「兄さんはご存知ないのですか?」
ご存知もなにも、この世界のいろはさえ、最近わかったばかりなのに、「あの日」といわれて出てくるのは、「女の子の日」くらいなもので、でもフィリッツさんが入っている以上それも違うだろうし。
いや、ちょっと待て……。フィリッツさんたちはラヴィテイル。つまりは兎である。つまりその……、年中発情期なわけで、……「あの日」ってのはつまり……。
「兄さん……。なんか、今の兄さん……嫌です……」
「いや、ちょっとまってミルフィさん。まだ何も言ってないよね?」
「言わずとも、顔に出るタイプなんじゃない?ミコトさん。ちなみに何を想像したのかは知らないけど、違うよ?」
何を想像したのか知られていないのに、否定された。
「アンリージュ、だよ」
そう、ラスティルさんはカウンターに両肘を着いて、教えてくれた。
が、当然意味が解ってない。その先の説明もあるのだろう、と勝手に期待し、じーっとラスティルさんの赤い瞳を見つめていると、数度瞬きをした後、驚いた表情をした。
「え?!ミコトさん、アンリージュわからないの!?」
その発言に隣に座っていたミルフィも驚きを隠せない様子だった。
「い、いったいどこの野生児なの……?アンリージュ、だよ……?本当に知らない?」
「すみません、生まれてこの方白の森を出た事が無かったもので」
もちろん嘘だが、そういわざる得ない気がした。
「……そういう、事だったのか」
ラスティルさんは嘘を信じてくれたのか、何か別の理由でそういう「疑い」を持っていたのだと思う。すんなりと受け入れてくれた。
隣に座っていたミルフィもどこか思うところがあるのか、何かを納得した様子だった。
「……、それでアンリージュってなんなんですか?」
「雪花祭<アンリージュ>。アプリールで開かれるお祭りの事だよ。恋仲同士で参加して、会場でもらえる一輪の茎に雪の花が咲くと、最高の相性なんだってさ」
え?なにそのリア充イベント。無縁以外の何物でもないんですけど?
いや、一緒に行きたい人は居るよ?イダさんとか、イダさんとか、イダさんとか、イダさんとか。
でも、あの人確実に引きこもってると思うわけですよ?誘っても、「他の人と行くと良いんじゃないかな……?」とか言って泣きそうな顔をすると思うわけですよ?
でもそれはそれで、「一緒に行きたい」っていう思いが少しでもイダさんの中にあるっていうわけですよね?
それならそれで、ありな気がしないでもないわけで。
「……ラスティルさん。兄さんはもう一緒に行きたい相手まで決まってるみたいです」
「あーうん。こんな緩んだ顔の「騎士」を私は見たくなかったかな……」
「はい。私も少し「兄さん」から「ミコトさん」に戻そうと思いました」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「おぉ、戻られたか!アルフィーナ殿!聞いているぞ、貴殿が処理してくれたのだろう?!あの忌々しい、羽の生えたトカゲを!」
玉座の間にて、精霊の槍<エピルフィア>を放った主の情報を求め訪れた時と同じように、アルフィーナは拝跪して顔を伏せていた。
対してクィンスは悩みの種でもあった竜が死んだ事により満面の笑みで玉座から立ち上がり、アルフィーナへと歩み寄っていた。
「クィンス様。今回、私は何もしていません。彼の結晶竜を殺めたのは――いえ、契約したのは、アスール村という集落に居るとされる「騎士」です」
「む?あの汚らしい村には我が兵は派遣していないぞ?」
「違います。エルフの世界における「騎士」です。魔霊銀<ハイ・ミスリル>を左耳に吊っていた者でした」
「ふむ……、あの村に居るとなれば、シェイダ……いやフェスタか?」
アルフィーナは顔を左右に振り、それを否定する。
「主の姿を見たわけではありません。……さらに付け加えるのなら、「騎士」の顔を見た訳でもありません……。ただ、左耳の魔霊銀<ハイ・ミスリル>のピアスと、黒い髪。そして女性という情報しかわかりません……」
「ふむ……。それで、貴殿から願いがある、と聞いているが何をすれば良いのだ?」
アルフィーナはクィンスの問いに、顔をあげ、クィンスを視界に納めはっきりと己の意思を口にする。
「彼の騎士と話がしたい。クィンス様のお力で、雪原都市アプリールへと招集して頂きたいのです。竜と契約を果たした功績、とでも称して」
「良かろう。かの集落に居る長の顔だけは知っている。使者でも向かわせよう」
「感謝いたします」
アルフィーナは再度頭を下げ、感謝を伝えてから。立ち上がり玉座の間を出ていこうとする。
「あぁ、待ちたまえ。アルフィーナ殿。一つ私から条件を出してもいいだろうか?」
「条件、ですか?」
「城を代表して雪花祭<アンリージュ>に出てくれぬか?」
「は?」
-登場人物-
大柴 尊:おおしば みこと:
出水高等学校2年。男子。17歳。グレインガルツでは「ミコト・オオシバ」と名乗っている。1歳の時、火事で両親と死別。DT。精霊を見る事が出来る。精霊魔法が得意。12月6日生まれ。料理、特に菓子作りが得意。部活帰りのある日、駅で謎の男性に異世界に転移させられる。異世界グレインガルツに飛ばされ、イニェーダ、フェリアと出会う。あと少しでフェリアに穢れを知らない息子を切られる所だった。ゲームや漫画などが好きで、特にRPG物が好物。初めて訪れたアスール村で、フィリッツ、ラスティル、ビルクァスからの依頼で赤の森と呼ばれる森へ赴き、キーナを助ける。イニェーダを救うため、竜の討伐へ赴く途中で、アルフィーナと出会うが、彼女をいきなり斬りかかってきたことから、男だと思っている。結晶竜を発見し、竜晶石を得るために立ち向かう。アリュテミランの涙を用い、言葉のやり取りを重ねられるようになる。竜とある条件を交わし、竜晶石を得てアスール村へと帰る。竜の加護<リウィア>を受け、「鱗を持つ生き物の声」を聴くことが出来るようになる。イダが助かると解った後にも、竜の殺めたことを悔いている。けが人であるイダと、屋敷に庭先で眠りこけてしまい、朝になってニナに見つかり怒られる。兎のしっぽ亭で雪花祭<アンリージュ>の事を教わり、イダを誘ってみようと心に決める。
アルトドルフ:
尊が装備している右手全体を覆うガントレットについているクロスボウ。腕部分に固定されており、状況にわけて手甲を回す事で三段階まで広がり、飛距離、威力を調整できる。非展開時は菱形の金属の板に見えるため、バックラーとしての役目も果たせる。小さい物であればなんでも矢弾にすることが出来る。イダ製作。現実世界の英雄「ウィリアム・テル」が住んでいた地名から命名。
ヴィルヘルム:
尊の左肩に吊っている、クフィアーナの大樹の枝から削りだした八十cmの弓。弦はなく、使用時に尊が魔力により弦をはる。矢弾は魔力弾<タスク>を使用し、尊の正確なイメージ力に応じ、脅威の威力を発する。フェリアの指導を受け、尊自身が製作。現実世界の英雄「ウィリアム・テル」のウィリアムの別名、「ヴィルヘルム」から命名。
イニェーダ・ルミル・アリシュ:(イダ)
蒼い目、黒髪、長髪。顔のタトゥは群青色。○18歳?肌が病的なまでに白い。魔法薬師。黒いフード付きのローブを羽織って、尊が目を覚ますのを見守っていたエルフの少女。尊に対し友好的。料理が上手。フェリアの事を「リア」と呼ぶ。尊同様に精霊を見る事ができ、声も聞く事が出来る。感情がすぐ顔に出てしまう。強引に物事を運ぶためには「笑顔」で対応する。精霊さえも強引に頷かせる眼力+圧力オーラを有する。甘い物が大好きで、かなり純真。フェリアに幻術で化け、ミコトに騎士の位を授ける。その事をフェリアにばれ、怒られていた。フェリアと一緒にミコトがアスール村へ行った事で、自らも行きたくなり行動に出るが、恐怖心に勝てないでいた。フェリアにミコトを異性として見ているだろう、と問われる。ミコトのケガを治す。ミコトが風呂覗きをしていたことをフェリアから聞かされる。赤の森での事件以降、ミコトに甘えるようになり、フェリアを悩ませる。フェリアが深海都市ティルノ・クルンに赴いており、居ないため代わりにお使いをミコトに頼む。採取中ディアブロに絡まれるが瞬殺する。最後にミコトに扮装したディアブロと出会い、抱きしめられた際に魔封じの刃<スペルベイン>を突き立てられる。命尽きようとしている。ニナの事をニィナフェルトと呼び、親しい間柄の様子。幻術を解き、再び意識を失う。施術そのものは成功し、ミコトが持ち帰った竜晶石のおかげで、後は目が覚めるのを待つだけとなった。無事に目覚め、傷口の痛みは残すものの好調と言える状態だった。自らの手で、竜の命を絶った事を少なからず悔いているミコトに言葉をかける。ミコトと庭で眠りこけていた事をニナに発見され、怒られている。
アルフィーナ:
銀髪を後ろで結っている。少女。銀目。神々の天恵、破邪堅装<アーヴェリック>を有する。アルフィーナにとって「害」となる魔法を強制的に無効化できるため、事象改変魔法や阻害魔法を含め強制的に無効化できる。銀旋騎士団の団長。王令を受け、旅立つ。目的地はアプリール。人間。雪原都市アプリールの長、クィンスの助力を得るためにアプリールのアリアーゼ城へ赴く。金銭感覚に疎い。尊に男だと思われ、逆に尊を女だと思っている。ミコトの拘束<?>を解かれ、竜の咆哮が聞こえた方角へ歩みを進め、一体の竜の死骸を見つける。傷口から、強引に命を奪ったわけではない事を知り、祝福を捧げ、竜の爪の間に埋められていたフィクスィの花の芽に気づき、目を細める。クィンスに頼みがあり、アリアーゼ城へ赴き願い出る。が、代わりに雪花祭<アンリージュ>に出るように言われる。
フェリア・ムーア:
碧眼、金髪、短髪。顔のタトゥは深緑色。脳も筋肉でできているほど強い(自称)褐色系の肌で活発そう。イダよりも身長が高い。イダと対称的に、動きやすい服装を好み、羽織っている。エクスカリバー(※ただの鉄のダガー)の保有者。尊に対し、わかりやすすぎる敵意を向け、殺意も隠さない。恐らく魔法が使える。尊を亡き者にしようと、暗躍する。料理などは物を「焼く」だけならできる程度で、イダの家に居るときは基本、イダが料理を行う。イダの料理に毒物を混ぜ、尊に提供するが、悉く失敗。最終的に幻術魔法を使用してイダに扮装し、尊に接触。信頼させ、劇薬を盛り意識を奪う事に成功する。とみせかけて、実は尊の考えで飲んでおらず、口に含んだ程度だった。お脳みその出来がよくなく、かなり純真。世界の真実をイダから教わり、しばらく立ち直れなかった。ミコトが最初に作ったアイスクリームを毒味と称し全部食べてしまい、イダから怒りを買う。以降三日口をきいてもらえず、歩く屍と化していた。ミコトの戦闘技術を評価し、イダには正直に話すが、ミコト本人には言わず「ゴミ」「人間もどき」などと暴言を吐く。褒められるという行動に弱い。尊に毒され、尊の現実世界の軍隊用語を覚えつつある。長年愛用していた馬車をイダに粉砕されたが、新調した荷馬車で深海都市ティルノ・クルンへ用事をこなしに向かい、帰ってくる時にミーミクリーを倒す。イダの家につくが二人が居らず、気配と残り香からアスール村へと歩を進める。イダの現状を見聞きし、涙を流す。ミコトの帰還時、なんと声をかければよいのわからず、ニナに尋ね、己の想いを口にする。ミコトの事を家族として受け入れ、その身に宿した契約を聞き出す。イダが庭先で眠りこけていたのを知り、あえてスルーしていたことを、ニナに注意され、怒られている。
ニナ・ルナディア:ニィナフェルト・ウィル・グレイシス
赤瞳、赤髪。エルフ。顔のタトゥは深紅色。女性。アスール村の村長。ナイスバディ。ドS。イダ同様にどこか、高位な感じがする女性。元・兵士らしく、フェリアの上官だった。私兵でもあるミルフィを溺愛するあまり、ラスティルと協力して「可愛く着飾る」のを趣味としている。ミルフィに紋を有している事を見られるが、彼女に受け入れられる。魔大戦での大英雄、炎神ニィナフェルト本人。イダが庭先で眠りこけていた所を発見し、原因を作ったミコト、フェリアを怒っている。ミルフィールに「お母さん」と呼ばれたことで、頭のネジが飛んだ。
ミルフィール・トゥーヴェ:
灰色の髪。オレンジ色の瞳。狼タイプのドゥーギー(犬人間)。20歳。見た目は12歳前後。ニナに心酔している様子。「兎のしっぽ亭」が怖いようで、近づくにつれ欝々真っ盛りになる。ラスティルの魔の手が終わり、キーナと湯浴み後、ゴシックドレスしか衣類がない事に絶望しつつ、身に着け皆の前に姿を現す。自らを人同様に優しく接してくれるミコトに微かな恋心を抱く。ミコトの代わりように少し恐怖する。イニェーダとニィナフェルトに紋がある事に戸惑う。元は炎兵都市アルディニアにて最も危険な灰と煤の掃除を行っていたが、赤宝<ベルク>の暴走により、辺り一面火の海と化した現場でニナが救い、生還した唯一の人物。引き取り手が居なかった事で、ニナが名乗りを上げ、ミルフィール(太陽)・トゥーヴェ(二つ)と名付ける。大きな火を前にすると、立ちすくんでしまう。人の焼ける臭いが苦手。ニナから事前に準備されていた魔霊銀<ハイ・ミスリル>のピアスを受け取る。ニナの生い立ちを知り、身体が弱い理由を知り、「母」として認識するようになる。ミコトを「兄」として慕う事の許可を求め、「二度と自らを卑下しない」という条件のもと了承される。ニナを「お母さん」と呼んだだけで、明らかに別人になったかのようになり、その様子を見て恥ずかしがってしまう。ミコトが雪花祭<アンリージュ>の存在を知らない事に驚く。同時に、雪花祭<アンリージュ>に一緒に行きたい人が確実に自分出なかった事に若干ショックを受ける。
フィリッツ・アストル:
茶髪、ラヴィテイル(兎人間)、赤眼。男性、25歳。料亭「兎のしっぽ亭」のマスター。ラスティルの兄。人間種を嫌っている訳ではないが、亜種のみの憩いの場を作りたいという目的から、「兎のしっぽ亭」を開く。ラヴィテイルの中でも珍しい、垂れ耳をしている。キーナの事が好き。雪花祭<アンリージュ>に向け、キーナとアスール村の仕立て屋へ赴いていた。
ラスティル・アストル:
白髪、ラヴィテイル(兎人間)、赤眼。女性、20歳。料亭「兎のしっぽ亭」の料理番。フィリッツの妹。自分の加護と同じ、水属性の精霊が見える。自分にだけ見える異様な光景に、驚いている。ミルフィさんをレ○プしているとしか思えない。ミコトからシチューの作り方を習う。ミコトが雪花祭<アンリージュ>の事を知らなかった事で、ミコトと「野生児」だと認識する。と、同時に自分達獣人を人として接する理由を理解する。雪花祭<アンリージュ>についてミコトに説明する。
キーナ:
女性。赤眼。ショートヘアー。フィリッツの想い人であると同時に、キーナ自身もフィリッツの事を好いている。フィリッツからの手紙を受け取り、なんとしても村へ帰るという思いを大きく膨らませる。聴力がかなり高い。無事に村へ帰る事が出来た。「兎のしっぽ亭」で働く事になった給仕係。ミルフィは木のみを売って生計を立てて居た頃からの知り合い。雪花祭<アンリージュ>に向け、フィリッツとアスール村の仕立て屋に赴いていた。
ガルム・クォークス:
濃い茶髪。髭を携えた、ドワーフ。308歳。アスール村一番の鍛冶師。人間嫌い。
ビルクァス・アルフィー:
黒髪、人間。31歳。灰色の目。アスール村の自警団、団長。主に村内の治安維持を目的とした団体で、門の警備なども担当している。三か月ぶりにミコトと再開する。魔剣ベルク・アインの所有者で、炎兵都市アルディニアの元剣闘士。
ザキマ:
青髪。青目。銀旋騎士団の副団長。人間。
クィンス・リーベリア
金髪、青目、人間。男性。初老。雪原都市アプリールの長にして、アリアーゼ城の主。アルフィーナが情報を求め来たことに対し、依頼をこなせと押し付ける。それを拒否したアルフィーナに怒りを向けている。アルフィーナからの要請に応じ、ミコトを雪原都市アプリールへ招集することを承諾する。と、同時に、アルフィーナに雪花祭<アンリージュ>に出るよう申しつける。
布部 紘:ふべ ひろ:
出水高等学校2年。女子。16歳。1月17日生まれ。尊のクラスメイトであり、同じ部活、さらに同じ療育児童センターで育った。尊にとって妹のような存在。本人は姉のつもり。
謎の男:
尊を異世界へと転移させた、謎の人物。




