表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/120

#097「秋雨前線」

舞台は、教室。

登場人物は、山崎、吉原、渡部の三人。

「遠足が終わったと思ったら、今度は中間考査か」

「三日から七日の五日間だね」

「教科日程は発表されてますから、しっかりと対策を練って、好成績を修めましょうね」

「俺が校長なら、真っ先にテストを廃止するけどなぁ」

「仮に校長になれたとしても、一学校長に、そんな権限はないよ」

「文部科学省の大臣になったとしても、実現は難しそうですね」

「うぅ。そこはかとなく胃が痛くなってきたような」

「さっきの体育で、あれだけ元気に走り回ってたのに」

「試験の話をした途端に、すぐに体調を崩すんですから。まるでパブロフの犬ですね」

「俺は人間だぞ?」

「そういう意味じゃないよ。条件反射だねってこと」

「テストへのマイナス感情は、根が深そうですね。よほど嫌な思い出が詰まってるものとみえます」

「誰だって、テストで嫌な思いはしてるもんだろう?」

「だからって、逃げ切れるものではないんだから」

「乗り越えられないほど肥大化してしまう前に、克服してしまいましょう」

「わかった、わかった。大人しくやるよ。やれば文句無いんだろう?」

「そう、喧嘩腰で言わないでよ」

「まぁ、この長雨では、気持ちが晴れませんよね」

「ジメジメとして嫌な気分だよ、まったく」

「不安定な秋の空模様は、よく女性心理に譬えられるよね?」

「変わりやすいのは、女性ばかりではないと思いますけどね」

「秋茄子は嫁に食わすなっていう奴か?」

「それは、また別の諺で、美味しい秋の茄子は、もったいないから嫁には食べさせるなという、姑の嫁いびりの言葉だよ」

「反対に、茄子は体を冷やしますし、種が少ないというのもあって、子供ができないといけないから、お嫁さんには食べさせてはいけないという、お嫁さんを大切に思うお姑さんの言葉だとする説もありますよ」

「嫁サイドからのカウンター・アタックとしては、姑にユッケを食わせることだな」

「老化した胃腸に、消化の悪い食べ物を送るんだ。陰湿だね」

「せめて、加熱しましょうよ。サルモネラ菌による食中毒が心配です」

「ビフテキとか、唐揚げとか?」

「ビフテキは古いよ、山崎くん」

「昭和の大衆食堂のメニューといった趣きですね」

「何だよ。サーロイン・ステーキとでも言わなきゃ駄目なのか?」

「いや、部位は、どこでも良いよ」

「シャトー・ブリアンとか、ティー・ボーンとか、リブとかロースとかランプとか、色々ありますからね。焼き加減は、ウェルダンでしょうか?」

「俺は、アルデンテが好き」

「ミディアムのこと? レアとウェルダンのあいだだけど」

「あいだといえば、中間考査の話ですけど」

「うっ。腸がチフスにやられた」

「腸チフスは、そんな急に症状が出る病気じゃないよ」

「仮に本当だとしたら、夕食は控えないといけませんね。ちなみに、今日のメニューは、和風ハンバーグです」

「ぐっ。それは、捨てがたい」

「二つに一つだよ、山崎くん。試験勉強をして、夕食を食べるか」

「保健室に寄って、明日の朝まで部屋で安静にするか、ですね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ