表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/120

#093「紋切典型」

舞台は、寮の自室。

登場人物は、山崎、吉原、渡部の三人。

「週末は、お疲れさまでした」

「普段は出来ない体験が出来たから、楽しかった」

「緊張したけどね」

「フフッ。私も、面白い経験が出来ました」

「それにしても、渡部の父ちゃんって、凄い人だよな」

「プラチナ・カードを生で見たのは、あれが初めてだよ」

「ブラック・カードに比べれば二流ですよ?」

「キャッシュ・カードの審査に通るだけでも、大したものなのに」

「次元が違うよね」

「父いわく、祖父の七光りなのだそうです。私は、祖父と父とで、十四光りといったところですね」

「そこは、足し算じゃなくて掛け算じゃないか?」

「四十九光りってこと?」

「そこまで眩しいものでしょうか?」

「後光が射してる」

「日頃の感謝を込めて、拝んでおこう」

「やめてくださいよ。恥ずかしいじゃありませんか」

「下品な話かもしれないけど、お金って、あるところにはあるんだなぁ」

「貯めようと思っても、貯まらないのにね」

「お金は、有意義に使ってこそ価値があるものですよ。溜め込んでいても、懸念材料になるだけです」

「考えかたが、下々の者とは百八十度違うな」

「一度で良いから、そういうことを言ってみたいものだよねぇ」

「贅沢な悩みかもしれませんが、父も、人知れず苦労しているようです。税金を減らす措置を取れば、法律上違反してなくても白い目で見られかねませんし、多額の寄付をすれば、売名行為だと言われかねませんから」

「僻み、やっかみ、妬み、嫉み」

「そういう感情を持つ人間は、自分が貧乏であることを合理化するために、金持ちを悪者扱いしたいんだろうね」

「小説でも映画でも、たいてい資産家は、性格が捻じ曲がった悪役ですよね」

「そうでなきゃ溜飲が下がらないんだよなぁ、これが」

「たとえ現実には、渡部くんみたいな良い人が多いとしても、ね」

「何とか、マイナス・イメージを払拭することは出来ないものでしょうかね」

「離れたところから、向かい合って睨んでるうちは無理だろうな」

「隣に立って、同じほうを向かなきゃね」

「サン・テグジュペリの『夜間飛行』ですか?」

「誰だ、その人?」

「『星の王子様』の著者だよ。手に入れたお金を全額、自分のためだけに使おうと考えている人間の下には、大金は舞い込んで来ないように出来てるんだろうね」

「使い慣れない大金を手にしても、つまらないことで費消してしまいそうですね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ