#091「時間旅行」
舞台は、寮の自室。
登場人物は、山崎、吉原、渡部の三人。
「夕刻、異国風情の若い独身男性が三人、たずねてきた」
「その内の二人は、言葉が不自由で、片方は、珍妙な眼鏡を掛けている。――おそらく、僕のことだね」
「残る一人が通訳に挟まり、会話が進む。――こちらは、私のことでしょうね」
「応接間に案内し、主人の指示を仰ぐ」
「主人より、丁重にもてなすよう申し付けられ、それに従う」
「饗宴ののち、寝室に案内する」
「翌朝、朝食を届けに行くと、忽然と姿を消していた」
「昨夜、水を運んだ時までは、たしかに部屋にいたのだが」
「屋敷の怪奇現象として、移築前に、ここに記す」
「まさか、俺たちのことが書き残されてたとはなぁ」
「この記録で、いくつかの謎がはっきりしたね」
「私たちが見た建物は、以前、この土地に建てられていたものであるということ」
「俺たちが会った人たちは、昔、ここに住んでいたことがあったこと」
「それから、建物は別のどこかに移されたということ」
「どうやら、私たちが体験したのは、タイム・トラベルだったようですね」
「間違いないな」
「このこと、三好さんにも伝えたほうが良いのかなぁ?」
「辺野古さんには、解読内容を伝えませんでしたからねぇ」
「何となく、秘密にしておかなきゃいけないと思ってしまったんだよなぁ」
「あまりにも突飛な話だからねぇ」
「何となく、言うのが憚られますね。頃合いを見計らって、後日、お伝えするとして、当面は、他言無用としましょうか?」
「賛成」
「三人だけの秘密だね」




