#084「殉職警視」
舞台は、山崎家。
登場人物は、山崎、敦史、聡司、吉原、渡部の五人。
「進学もしないで、バイクで放浪してたのに」
「鈑金工場の工場長とは、知りませんでしたね」
『しっかりしたもんだな、孝志』
「いつまでもフラフラしてる訳にはいかないって。その点、二人は偉いな」
「僕はともかく、渡部くんは凄いよね。シンガポールに進学して、大学院に進んで、今では立派な国際弁護士だもの」
「吉原さんだって、堅実ですよ。地元の大学を首席で卒業して、尾道市役所の助役にお勤めなんでしょう?」
『真面目が取り柄だからな』
「吉原は、高校時代から努力家だったよな」
「それほどでもないよ。そうそう。お好み焼き屋のほうは、聡司くんが継いだんだね」
「ここに来る前に、立ち寄って来たんです。小奇麗になりましたね」
『ボロ家にも程があったもんな』
「改装したんだ。さすがに、ガタが来てたし、それに、……過去を一掃したかったんだ」
「この度は」
「敦史さんのことは」
『ん? ちょっと待て』
「警察官だったからな。こういうことは、覚悟の上だ」
「後味の悪い事件だったよね」
「犯人の自殺で、幕を閉じましたからね」
『俺は、ここにいるぞ』
「忙しいだろうに、わざわざ、すまないな」
「こういうことでもないと、集まる機会もないし」
「お兄さんには、生前に、お世話になりましたから」
『聞こえてないのか? おぉい。無視するな』
「んはっ。はぁ、夢か。……嫌な夢だった。警察や自衛官になるのは、考え物だな。進路を検めるべきだろうか?」
「あっ、敦史兄ちゃん」
「聡司だけか。孝志は?」
「二階に居なかったのか?」
「居たら、先に気付いてる」
「それじゃあ、知らない。バイクの音は聞こえなかったから、どっか、その辺にいるんじゃないかなぁ」
「そうか。あぁ、それにしても、寝覚めが悪い」
「他人の顔に落書きなんかするから、罰が当たったんだ」
「夏の話を蒸し返すな、このっ」
「いってぇなぁ。暴力反対」
「どうにも、縁起が悪い夢だったなぁ」
「キャストが大根だったのか?」
「その演技じゃない。でも、まぁ、聡司は偉かったな」
「ちょっと、やめて。髪がグチャグチャになる」
「褒めてやってんだから、喜べ」
「無茶言うなって」




