#074「鹽竈神社」
舞台は、飛行機内。
登場人物は、山崎、吉原、渡部の三人。
「無事、予定時刻に間に合いそうだね」
「そうだな。それで、さっきの話の続きだけどさ」
「読めるけれども書けない漢字、ですね」
「顰蹙とか、憂鬱とか」」
「薔薇や檸檬も、書けそうにないな」
「四字熟語も、難しいものが多いですよ。魑魅魍魎とか、跳梁跋扈とか」
「駅名や地名も、書けなかったり、読めなかったりするよね」
「気仙沼に行ったときに思ったんだけどさ、陸前何とかって駅が多いよな」
「旧国名ですからね」
「戦前の書籍に多いけど、字体が古いと、それだけで読めないことがあるよね」
「俺に同意を求めないでくれ。そうなのか、渡部?」
「旧字体は、読むのが骨ですよね。ちょっとクイズを出しましょう」
「クイズ?」
「簡単なのにしてくれよ」
「この漢字、宮城県の地名なんですけど、読めますか?」
「一文字目は、監督の監と、石鹸の鹸を足したような字だね」
「二文字目は、上が空みたいな字で、下が縄の右側みたいな字だな」
「ここは機内ですから、スマートフォンで調べないでくださいね」
「日本の地名だって聞かなかったら、台湾かベトナムにありそうだよね」
「もしくは、昔の中国の偉人だな」
「漢字は、東洋文化ですからね。ヒントを出しましょうか?」
「待って。自力で辿り着きたい」
「凝り性だなぁ。あぁ、マズイな。じっと見てたら、変な気分になってきた」
「ゲシュタルト崩壊ですね、山崎さん」
「あっ、思い出した。二文字目は、へっついだ」
「ヘッツイ? あぁ、かまどのことか」
「近いですよ。その調子です」




