#073「贈答進物」
舞台は、仙台。
登場人物は、山崎、吉原、渡部、遊佐の四人。
「こっちに来てから、しょっちゅう目に入るから、気になってるんですけど」
「言ってごらん」
「小野寺って表札が多いなぁと」
「気付いたか。この辺では、ポピュラーな苗字なんだ」
「おじさんの苗字も、初めてですけど」
「これも、俺の地元では、割と多い苗字なんだ」
「地元は、どちらで?」
「大崎。気仙沼に行くときに、通過したところだ」
「おーい、吉原」
「お待たせしました」
「うわぁ。いっぱい買ったんだね」
「妹と姪に頼まれたんだろう?」
「おじさん、ビンゴ」
「すみません。山崎さんまで、持たせてしまって」
「僕も持つよ」
「ずんだ餅に、笹かまぼこに、どれも定番の土産物だな」
「これぞ宮城、って土産のほうが良いんだと」
「質より量を採りました」
「帰りの飛行機が大変だ」
「三人分ってことにしておけば、大丈夫だろう」
「吉原は、心配しすぎだ。行きの飛行機だって、荷物が届かなかったらどうしようって」
「それは、初めて乗るとなれば、不安にもなりますよ」
「父が飛行機嫌いでなければ」
「まぁ、そう親を責めてやるな。親も一人の人間なんだから。――それじゃあ、気を付けて帰れよ」
「お世話になりました」
「楽しい旅行になりました。ありがとうございます」
「貴重な体験が出来ました」
「こっちに来ることがあったら、連絡してくれ。またな」




