#071「二千年代」
舞台は、仙台。
登場人物は、山崎、吉原、渡部、遊佐の四人。
「吉原が鶴を折れるのは、広島県民だからか?」
「そこは、それほど関係ないよ。広島市じゃなくて、尾道市だから」
「そういえば、昨日のニュースは、平和祈念特集でしたね」
「昨日が広島で、九日が長崎で」
「十五日が終戦」
「学術の平和活用が望まれますね」
「正直な話、十一日を山の日にするくらいなら、この三日を祝日にすればいいのに」
「あと、六月にも祝日が欲しいよね」
「六月十日を時の記念日として、正式な祝日にするというのは、どうでしょう?」
「何で、その日が記念日なんだ?」
「天智天皇が初めて時刻を測った日が、西暦に直すと六六〇年の六月十日にあたるからだよ」
「もしくは、六月の第二月曜日としても良いかもしれません」
「ハッピー・マンデーか」
「成人の日、海の日、敬老の日、体育の日と同じだね」
「それぞれ、一月十五日、七月二十日、九月十五日、十月十日だったんですよね」
「俺たちが生まれて間もない頃の話だけどな」
「みどりの日が昭和の日になったのは、何となく覚えてるけどね」
「小学生の頃の話ですからね」
「でも、昭和って言われても、ピンと来るものがない」
「僕たちは、平成生まれだからねぇ」
「昭和生まれは、俺だけか」
「あっ、伯父さん。お久しぶりです」
「こんにちは」
「はじめまして」
「こちらこそ。博巳の伯父で、遊佐照久といいます。二人のことは、博巳から聞いてるよ。――裏口が開けっ放しだったぞ、博巳」
「ごめんなさい。閉めたはずだったんですけど」
「あっ、それ、たぶん俺だ」
「無用心だよ、山崎くん」
「ということは、こっちが吉原くんか」
「顔と名前が一致したようですね」
「誰かさんが写真を嫌がらなきゃ、会う前に一致してたんだろうけどな」
「悪かったね、写真嫌いで」




