#063「陽画陰画」
舞台は、廊下。
登場人物は、山崎、吉原、渡部、源田、杉並の五人。
「土曜日は、三人で楽しんだようですね」
「面白かったぜ。バットに額を付けて、十回、回ってから叩き割るんだけど、これが全っ然、当たらないんだ」
「三半規管が混乱してる証拠だね」
「情報に錯綜されますものね」
「何とか標的に向かって歩くんだけど、左右にブレてばかりでさ。にわか酔拳使いの、一丁上がりだ」
「注文してないよ、大将」
「フフッ。あっ、あの二人は」
「一人は、園芸部の杉並だな」
「もう一人は、美術部の源田くんだね」
「おそらく、部長会議の帰りですね。こちらを気にしている様子ですけど」
「何を話してるんだろう?」
「仲が良さそうだね」
「話に花が咲いてるみたいですよね」
「また雑用を押し付けられてしまったね、未来くん」
「仕方ないよ、日向くん。上級生には強く言えないもの」
「園芸部って、暇に見えるのかなぁ?」
「運動部みたいに、活動実績がわかりやすければ良いんだろうけど」
「試合も無ければ、訓練もない」
「そこだよね」
「美術部は、文化祭の展示があるから、まだ分かりやすいだろう?」
「園芸部だって、植え替えとか、水遣りとか、毎日やることがあるじゃないか」
「その苦労が、書面で伝われば良いんだけどねぇ」
「まぁねぇ。でも、日向くんがいるから助かるよ」
「大して役に立ってないけどね。むしろ僕のほうが、未来くんに頼りっぱなしで」
「そんなことないよ」
「それで、手始めに何をするかが鍵ですね」
「帰宅部としての活動実績かぁ」
「そもそも、活動内容が不明瞭すぎるよ」
「問題は、そこですよね」
「運動部みたいな分かりやすさが無いもんな」
「大会がある訳でもないし」
「トレーニングをする訳でもありませんものね」




