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#050「邯鄲夢枕」

舞台は、食堂。

登場人物は、山崎、吉原、渡部、三好の四人。

「料理名とかは忘れたけど、すごく凝った料理が出てさ。絶品だった」

「内容は覚えてないけど、館の主人と奥さんから聞いた話も、面白かったね」

「上質なひとときを過ごせましたよね」

「あの鳥居モドキは、どこかに繋がる入り口だったのね」

「ご馳走を鱈腹食べたあとは、スベスベの布団をかぶって、フカフカのベッドで横になって」

「目が覚めたら、寮の部屋に居たんだよね」

「時計を見たら夕食前で、山崎さんを探しに行った時間から、五分と経っていなかったんです」

「一炊の夢みたいな話ね」

「あれだけ食べたはずなのに、起きたときには空腹だったんだよなぁ」

「でも、三人揃って同じ夢を見るとは思えないんだよね」

「考えたんですけど、あの鳥居モドキは、浮世と常世を結ぶ結界のような役割をしているのではないかと思うんです」

「おや。迷い家みたいな話になってきたね」

「マヨイガ?」

「山の中にある、訪れたものに富をもたらす家のことだよ」

「柳田國男の『遠野物語』に収録されている話が有名ですね」

「夕暮れ時ってところが、いかにも、それらしいわね」

「あんまり遅くまで表で遊んでると、暗がりから出てきた鬼に攫われるよって、俺の母ちゃんがよく言ってたなぁ」

「日が暮れるまで、三人で遊んでたんだね」

「微笑ましい光景ですね」

「おおかた、晴れた日に家の中にいたら、邪魔者扱いされたってところじゃないこと?」

「おばちゃんの言う通り。家が狭いから、しょうがないんだけどさ」

「まぁ、親に養われてるあいだは、親の都合に振り回されるのは仕方ないね」

「それにしたところで、ずいぶん勝手で、乱暴な話ではありませんか?」

「やんちゃな男の子が三人も居れば、一人一人細やかな気配りをしていられないわよ。家が商売をやってるとなれば、尚更ね」

「三人で何とかする癖がついたことは、結果として良かったと思ってる。――ごちそうさま」

「相変わらず、食べるのが早いね、山崎くんは」

「一口が大きいのと、噛む回数が少ないのが、早さの元凶ですね。よく噛んで食べないと、また消化不良を起こしますよ?」

「山崎家は、三人揃って早食いなのね」

「ちんたら食べてたら、怒られたんだ。食卓が片付かないからって」

「家庭環境って大事だね」

「育つ家次第ですね」

「氏より育ちね」

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