#043「孟母断機」
舞台は、寮の自室。
登場人物は、山崎、吉原、渡部の三人。
「この関数のグラフだけど」
「ここにある、十グラムってのは、何だ?」
「ログだよ。対数の単位」
「それが、こっち式と、どう繋がってるんだ?」
「指数を対数に書き換えただけだよ。この数字が、ここ。こっちの数字は、これに対応してるんだよ」
「何で書き換えたんだ?」
「式を変形しないと、すぐ次の問題に使えないからだよ」
「面倒だなぁ。どっちかに統一しておいてくれよ」
「テスト勉強は進んでますか?」
「よし。渡部が来たから、休憩だ」
「まだ、一問も解いてないのに」
「もう少し、時間が掛かりそうですね」
「どれだけ勉強したって、ちっとも理解できないんだ」
「すぐに結果を求めないでよ。成功曲線は、二次関数なんだから」
「こういうグラフですよ。ある時点までは、スタートとあまり変わりませんが、ゴールの直前になると、急成長するんです」
「地道に経験値を貯めて行けば、一気にレベルが上がっていくんだな?」
「そういうこと。上がる直前でやめたら、もったいないよ」
「ここまでの努力が、無駄になりますからねぇ」
「頑張りを無にするのは、忍びないな。一問は解けるようになろう」
「そうこないとね」
「指数と対数のグラフですね。山崎さん。どうして、指数を対数に書き換えるのだと思いますか?」
「理由があるのか?」
「理由もなしに、二つの関数を定義しないよ」
「実際に書いてみれば、理由が分かりますよ。縦軸と横軸の数字を書き出しますから、プロットしてくださいね」
「〇が一、一が二、二が四、三が八、四が十六、ちょっと待った。もう、書けないぜ?」
「底が一以上の指数だと、すぐに数字が大きくなるのは、これで理解できたね?」
「ここまでは、何とかな」
「今と同じことを、対数で書くと、こうなります」
「ほぅ。こっちのほうが、見やすいな」
「何で対数に書き換える必要があるか、これで分かったね?」
「一目瞭然だな。どうやって書き換えるんだ?」
「良い質問ですね。道具の利便性が理解できたところで、使いかたを教えますね」




