#039「人口増減」
舞台は、寮の自室。
登場人物は、山崎、吉原、渡部の三人。
「鎌倉幕府成立時点では、七百五十七万人」
「これは、一一九二年で良いのか?」
「最近は、一一八五年としてますけど、この資料では一一九二年として扱ってますね」
「室町幕府成立時点では、八百十八万人」
「室町時代って、何年からだ?」
「一三三八年からです」
「江戸幕府成立時点では、千二百二十七万人」
「関ヶ原は、一六〇〇年だったよな。江戸時代は、そこからか?」
「違いますよ。一六〇三年からです」
「享保改革期が、三千百二十八万人」
「享保改革って何だっけ?」
「江戸八代将軍、徳川吉宗が、江戸時代の中期に行った幕政改革です。寛政の改革、天保の改革と並んで、江戸時代の三大改革の一つと呼ばれています」
「一七一六年から一七四五年だよ。覚えてね」
「覚えられたらな」
「覚える気は無さそうですね」
「明治維新時点では、三千三百三十万人」
「明治時代は」
「一八六八年からです」
「日露戦争期が、四千七百八十万人」
「日清戦争の前か?」
「そのあとですよ。日清戦争が、一八九四年から一八九五年。日露戦争が、一九〇四から一九〇五年です」
「第二次大戦の終戦時点では、七千百九十九万人」
「さすがに終戦の年は覚えてる。一九四五年だろう?」
「正解です」
「二〇一〇年が、一億二千八百六万人。この記録にあるのは、ここまで」
「あとの数字は何だ?」
「推計ですよ。これから百年もしないうちに、人口が半減すると予測されているということです」
「半減したって、明治時代より多いんだよね」
「それなら、問題無いんじゃないか? 住むところは広くなるし、混雑は解消されるし、失業率も減りそうだし、食糧問題やエネルギー問題だって解決しそうな気がするけど」
「税収が減るとか、高齢者の割合が増えるとか、社会保障の面でのデメリットがあるんだよ」
「でも、このまま人口が増え続けたら、地球に住めなくなりそうな気がしませんか?」
「人口が減れば、必要なお金も減るし、高齢者が、みんな定年退職して、みんな介護が必要になるとは限らないぜ?」
「そうならないとも、限らないよ」
「どちらにしても、計算通りにはいかないでしょうね」




