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#037「白亜校舎」

舞台は、教室。

登場人物は、山崎、吉原、渡部の三人。

「この前、中学の時の同級生に会ったんだ」

「それは良かったね。――渡部くん、文は書けた?」

「あと三行ほどです」

「おぅい。俺の話を聞いてくれ」

「手を動かしてもらえると助かるんだけど」

「五時間目に使いますから、急いで作らないといけませんね」

「ほとんど出来てるじゃないか。十分、間に合うだろう」

「出来たら、発表の分担もしないといけないんだよ、山崎くん」

「書けましたよ、吉原さん」

「もう、勝手に話すぞ。そいつとは、小学校から同じだったんだが、仲は良くなかったんだ」

「この表をグラフにすれば、良いんだよね?」

「そうですね。円グラフが良さそうです」

「敵愾心ってものは、卒業後に距離を置くと、案外に薄らぐもんだな」

「重要なデータは、赤として、他は黒で良いかな?」

「違いが分かるように、青、緑、紫あたりで囲うほうが良いと思います」

「何が嫌だったのか、何が原因だったのか、一度、箱庭の外へ出てしまえば、分からなくなってしまう」

「よし。模造紙は、これで良いね」

「あとは、どこを誰が発表するかですね」

「完全に無視か。鉄のカーテンが敷かれてそうだな。――俺は、なるべく簡単なところにしてくれ」

「それじゃあ、山崎くんは民主化から崩壊までね。渡部くんは、どっちが良い?」

「ロシア革命から第二次大戦までのほうにします」

「革命とは、自分が持っていないものを持っている相手に八つ当たりで、結果として、何の解決にもならないと思ってるんだが、それで良いか?」

「大雑把な認識としては、それで良いよ。相手が、自分より良い思いをしていることへの、僻み根性」

「どうせ自分は、相手と同じようにはなれないという、居直り」

「一度は自分も、相手と同じように好き勝手したいという、幼稚な欲求」

「こうした逆恨み精神を、いくら理論武装したところで」

「社会が好転することはないですよね」

「外から見たら、ただの席替えだな」

「中にいる人間にとっては、一大事だけどね」

「長く一緒に居ると、嫌な面が見えてくるものですよね」

「何だ。俺の話も聞いてたのか」


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