表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/120

#034「容量不足」

舞台は、寮の自室。

登場人物は、山崎、吉原、渡部の三人。

「聞いた、覚えた、書いた」

「古代ローマ皇帝の名言みたいになってるよ、山崎くん」

「カエサルが言った、ウェーニー・ウィーディー・ウィーキーですね」

「もう駄目。脳味噌が、シュール・レアリズムの時計みたいになってる」

「テーブルの上で溶けたチーズみたいになってる、あの絵画だね」

「ダリの『記憶の固執』ですね」

「これ以上、何か詰め込んだら、鼻や口から出てくるかもしれない」

「そうなったら、もはや怪現象だよ」

「病院ではなくて、研究所に連れて行かれてしまいますね」

「ん? 渡部は、本を読んでたのか」

「今さらだね。気付いてなかったの?」

「テストが終わった解放感で、緊張の糸が緩んだんでしょうね」

「試験が終わったところだっていうのに、物好きだな。あぁ、いや。本好きか。それで、何の本なんだ?」

「文庫本だね」

「心理学の入門書ですよ。癖や仕草の原因や対処法について、色々と分かりやすく解説されているので、調べてみようと思ったんです」

「何を調べてるんだ?」

「何か、困った癖でも?」

「私、時々、笑ってはいけないところで笑いそうになることがあるんです。そこまで深刻に悩んでる訳では無いんですが、症状の名前でも分かればと思いまして」

「俺も、やっちゃいけないと思うと、やりたくなる気持ちは分かる。絶対に押すなってボタンがあったら、無性に押したくなるもの」

「得てして、そういうボタンは赤色なんだよねぇ」

「どうやら、そういう症状は、心理学ではカリギュラ効果と呼ぶそうです」

「カリ、何だって?」

「カリギュラ効果」

「以前、そういうローマ帝国の皇帝、カリグラをモデルにした映画が作られ、その内容のあまりに過激さに、一部地域で公開が禁止されたのですが、そのことで、かえって世間の注目を集めて話題になったことから、そう呼ばれるようになった、とのこと」

「吉原。俺の鼻から、脳漿が出てないか?」

「ギリギリ、セーフ。狂言にも、似たような演目があったような。附子って言ったかな?」

「あぁ。甕の中身はトリカブトだからと言われたけれども、それは嘘で、本当の中身は水飴だと知っているから、更に嘘で対抗する話ですね?」

「吉原。俺の耳から、白子みたいなのが出てないか?」

「あぁ、ちょっと、はみ出しそうかな。何とか、表面張力で持ちこたえてるよ」

「それでは、この辺にしておきますね。続きは、日曜日の夕方以降にしましょう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ