#033「四割打者」
舞台は、教室。
登場人物は、山崎、吉原、渡部の三人。
「いよいよ、試験時間割が貼り出されたな」
「初日が、数学二科目と政治経済で」
「二日目が、英作文と物理と日本史」
「三日目は、地学と、英語の読解と聴き取り」
「四日目が、生物と古典と世界史」
「最終日が、現代文と地理と化学ですね」
「盛りだくさんだな」
「期末考査では、情報と家庭科と保健もあるんだよねぇ」
「美術、音楽、体育みたいに、実技で評価する訳にはいきませんものねぇ」
「単元ごとに小テストをしてるんだから、定期試験をしなくたって良いじゃないか。何で、二回も覚えなきゃいけないんだ」
「山崎くんみたいに、一回で忘れる生徒がいるからだよ」
「入試までは、覚えておかないといけませんよ、山崎さん」
「嫌になるなぁ。飲むだけで知識が得られる薬とか、寝てるあいだに勉強が済む機械とかないものかな?」
「馬鹿が治る薬が無いのと同じで、頭が良くなる薬も無いよ」
「学問に王道なし、です。まぁ、定期試験の場合は、出題者のひととなりについて、よく知っていますから、ある程度の傾向と対策はできますし、その分だけ入試よりも簡単ですから、一緒に頑張りましょう」
「赤点だは、何としても免れたいからなぁ」
「体育以外は低空飛行だよね、山崎くん」
「体育が無かったら、五段階評価かと思うような成績ですよね」
「最低、四十点以上取れれば、それで良いんだ」
「もう少し、上を目指そうよ」
「せめて、六割は欲しいところですよね」
「プロ野球選手でも、三割。テレビでも、四割だぞ?」
「打率や視聴率は、比較の対照として間違ってるよ」
「こういう例えはすぐに出てくるのに、どうして公式や用語は出てこないんでしょうね」
「日頃使わないから、引き出しの奥に眠ってしまってるんだろうな。おっ、森先生だ」
「ホーム・ルームの時間だね」
「席に着きましょうか」




