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#027「推理無用」

舞台は、寮の裏手。

登場人物は、山崎、吉原、三好の三人。

「どうだい、吉原。何か、分かりそうか?」

「手掛かりは無さそうだよ、山崎くん」

「あら。二人して、こんなところで何をしてるの?」

「あぁ、食堂のおばちゃん」

「上った先に何も無い、この三段だけの階段と、その上にある、この庇の意味を探っていたんです」

「たしかに、今となっては、どちらも無用の長物ね」

「こういうものを、トマソンって言うらしいんだ」

「何の実用性も持たない建造物のことを、昔、助っ人として呼ばれながら、試合の役に立たなかった野球選手に準えて、そう呼ぶそうです」

「この階段も、この庇も、十数年くらい前までは意味があったのよ」

「理由を知ってるんだ」

「差し支えなければ、教えてください」

「良いわよ。種を明かせば、何てこと無いわ。ここには、焼却炉があったのよ。ダイオキシンの関係で使わなくなって、しばらく放置されてたんだけど、冗談半分で悪戯する生徒が多かったものだから、武藤さんが撤去したの」

「何だ。真相は、平凡なものだな」

「あっさり謎が解けて、拍子抜けだね」

「推理するほどのことじゃなくて、がっかりしたかしら、少年探偵さん?」

「修行不足だったな、吉原」

「出直さなきゃね、山崎くん」

「落胆すること無いわ。この角を曲がった先に、もっと興味深いものがあるのよ。ちょいと、ついてらっしゃい」

「何だろう?」

「何ですか?」

「これよ。ここで働き始めたときから、ずっとここにあるんだけど、何でこんなものがここにあるのか、誰も知らないの」

「これは、鳥居?」

「それにしては、横の梁が寸足らずのような」

「漢字の円から、中の一画を抜いたような形でしょう? 建物からは用具倉庫が目隠しになって死角になるんだけど、こうして裏手のこっち側に回ると、嫌でも目に入るものだから、長いこと気になってるのよ。どう? 面白そうでしょう」

「素材は、金属か」

「中は空洞みたいだね」

「三人寄れば、文殊の知恵よ。渡部くんも呼んで、調べてみたら?」

「そうだな。渡部は、目の付け所が変わってるもんな」

「よし。呼びに行こう」


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