#017「平和主義」
舞台は、寮の自室。
登場人物は、山崎、敦史、吉原、渡部の四人。
「おやつは週に五百円までって、納得がいかないと思わないか?」
「これじゃあ、小学生の遠足と同じだよね」
「平等主義、事なかれ主義なんでしょうね」
「何だよ、それ」
「公平感がないよね。どうしても管轄したいなら、一個百円以内でいくつでも持ってきていいけど、持ってきたお菓子は一旦、担任が回収して再配分する制度にすべきだよ」
「税金と同じシステムですね。でも、お金と違って、物によるバラつきが出ませんか?」
「好き嫌いもあるぜ」
「だから、どうしてもって言っただろう?」
「しないに越したことはありませんね。――新しいお菓子を開けますね」
「おやつぐらい、好きに食べさせろってな。――俺も、ポテト・チップスを開けよう」
「僕も、自由裁量で良いと思うよ。――僕は、クッキー・レーズンを」
「でも、いざ自由って言われると、いつもと同じ物を買ってしまうんだよなぁ」
「その気持ちは、分かります」
「食べたことが無いと、買うのを躊躇うんだよね」
「俺の定番は、えび煎餅、ポテト・チップス、じゃがスティックだな」
「カル・ビタの商品ですね。私は、アル・ポート、ホワイト・ロール、ルーマンあたりでしょうか」
「ハプスブルグ贔屓だね。僕の場合は、コーン・キャラメル、クッキー・レーズン、塩ビーンズだね」
「どことなく、おつまみっぽいチョイスな」
「鳩印製菓ですね。どこか通好みのラインナップですよね」
「ハプスブルグは、高級感のある西洋菓子が多いよな」
「チョコレートが多いよね。冬場は、良く売れてそうだ」
「夏場は、クッキーやビスケットにシフトするのでしょうか?」
「もしくは、アイスとかグミとかだろうな。おや?」
「誰だろう?」
「私が出ますね。今、開けます。……こんにちは。孝志さんに用事ですか?」
「そうだ。邪魔するぜ」
「何だ、兄ちゃんか」
「こんにちは」
「お兄さんも、お一ついかがですか?」
「気持ちはありがたいが、急いでるんだ。こいつを借りていくぜ?」
「襟を掴むな。苦しいだろうが」
「どうぞ、持って行ってください」
「山崎さん。また、あとで」
「それじゃあ、失礼。ほら、さっさと歩け」
「いってぇ。尾てい骨を蹴るな。暴力反対」




