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#015「二律背反」

舞台は、教室。

登場人物は、山崎、吉原、渡部、森の四人。

「森先生って、鳥取県民だったんだな」

「イントネーションが違いますよね」

「ニセ関西弁を話す、エセ関西人だね」

「他人のこと言えないぜ、吉原」

「でも、お二人は瀬戸内海側ですから」

「日本海側よりは、関西に近いよ。あいだに中国山地が無いもの」

「あれ。鳥取は島根の右だっけ? 島根が鳥取の右?」

「鳥取県は島根県の東側ですから、北を上にした場合は、右側ですね」

「むしろ、岡山の上って言ったほうがいいと思う」

「宍道湖や石見銀山があるのは、どっちだっけ?」

「どちらも島根県です」

「あと、松江城や出雲大社も島根だよ」

「鳥取は?」

「鳥取砂丘、因幡の白兎、二十世紀梨あたりが有名ですね」

「あとは、浦富海岸、大山、境港、智頭宿あたりかな」

「鳥取砂丘って、何で砂漠状態なんだ?」

「砂漠と砂丘は違いますよ、山崎さん」

「降水量が少なくて乾燥してるせいで、植物が育たない状態が砂漠。どこかから砂が運ばれてきて、丘状に堆積したのが砂丘だよ」

「それじゃあ、鳥取砂丘には植物が生えるのか?」

「放置しておけば、草原化しますよ」

「景観を保護し、観光資源を守るために、除草作業が行われているの」

「あっ、森先生」

「でも、砂地を確保するために、草を抜いて回るって、おかしくないか?」

「緑化を阻止してる訳ですから、環境には悪そうですね」

「雑草の大半は外来種で、日本古来の風景が侵食されてるとしても?」

「それでも、人間側の勝手な都合だと思います」

「そうだ。作り物だ。子供騙しだ」

「やがて失われていくのも、自然の摂理の一環として捉えるほうが、より本物らしいと思います」

「外来植物を持ち込んだのは、人間よ?」

「外来生物の渡来で、動植物の生態系が変化するのは、よくあることでは?」

「適者生存が、自然の掟だ。それを実感させてこそ、本当の教育ってものだ」

「未熟な子供だからといって、甘く見積もったり、甘やかしたりしてはいけないと思います」

「トラウマや、弱い者いじめに繋がるとしても、そう言えるかしら?」

「自然界の法則と、人間社会の規則を一緒にするのは、よくありません」

「別物だ。分けて考えるべきだ」

「自然を管理して、すべて支配しようとするのは、人間の思い上がりだと思います」

「あらあら。これは、弱ったわ」


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