#014「初回限定」
舞台は、寮の自室。
登場人物は、山崎、吉原、渡部の三人。
「吉原。プッキー・ゲームしようぜ」
「嫌だね。何が悲しくて、男同士でそんなことしないといけないのさ?」
「ノリが悪いな。こういうのは、楽しんだ者勝ちだよな、渡部?」
「そうですね。でも、プッキー・ゲームって不公平ですよね」
「何でだ?」
「ポリッツならまだしも、プッキーでは片方にチョコレートが付いてません」
「はぁ。確かに、そうだな」
「そういう次元の問題かなぁ」
「ゲームに参加する気がない人間に、とやかく言われたくはないな。ほい、渡部」
「はい、山崎さん」
「勝手にすれば良いよ」
「んぐっ。あぁ、折れちまった」
「引き分けですね。今度は、私から。はい、山崎さん」
「ほい、渡部」
「二人とも、よくやるよ。……ん? ストップ」
「だっ。何するんだ、吉原」
「急に顔の前で手刀を切ったら危ないですよ、吉原さん」
「いやいやいや。二人こそ、何を考えてるんだよ」
「何を慌ててるんだ、吉原?」
「そんな風に声を荒げる必要はないと思いますよ、吉原さん」
「十分、必要があるよ。だって」
「ハッハーン。さては吉原。ファースト・キスが、まだなんだな?」
「それは、そのぅ」
「顔が真っ赤ですよ」
「そういう二人は、どうなんだよ?」
「俺は、中学生の時に、兄ちゃんの彼女と」
「私は、小学生の時に、姉の友人と」
「そんな、しれっと言うなよ」
「勿体つけるほどのことか?」
「欧米圏では、挨拶ですよ?」
「もう、いい」
「待てよ。機嫌、直せって」
「からかい過ぎましたね。調子に乗って、ごめんなさい」
「ついて来ないで」
「悪かったって。吉原」
「吉原さん、許してください」
「……分かったよ。でも、しばらく一人で考えさせて」




