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#012「好天快晴」

舞台は、教室。

登場人物は、山崎、吉原、渡部の三人。

「山崎家は、上から敦史、孝志、聡司で、シで終わる名前に統一してあるんだね」

「漢字は違うけどな。女なら、シじゃなくて、子をつけるつもりだったらしい」

「敦子、孝子、聡子ということですね。渡部家は、三人揃ってミで終わる名前です」

「大学生のお姉さんと、中学生の妹さんがいるんだよね」

「何て名前なんだ?」

「お伝えしてませんでしたっけ? 姉が、清く美しいと書いて、清美。妹は、愛娘の愛に木の実の実で、愛実です。吉原さんは、名前に何か法則性があるのでしょうか?」

「僕は、両親から一文字ずつ受け継いだんだ。敏生の敏は、母の敏子から。敏生の生は、父の一生から。書けば、こういうことだよ」

「はぁ、なるほどな。女なら、一子だったかもしれないのか」

「ご両親の情愛深さを感じますね」

「そうかなぁ? 単純だと思うんだけど」

「ちっとも単純じゃねぇよ。よく考えられてるぜ」

「そうですよ。どうでもよければ、子供に同じ字を付けようとは思いません」

「それなら、そういうことにしておくよ。――良い天気だね」

「そうだな。絶好の洗濯日和になったな」

「これなら、今朝洗ったカバーやシーツが、よく乾きますね」

「これが家なら、庭で布団を干してるところだよ」

「吉原は、布団派なのか。俺は、兄弟三人で二段ベッドと布団を使ってる。上段、下段、布団の順で、早い者勝ちなんだ」

「それで、上段が良いんですね。私は、一人一部屋で、一台ずつロフト・ベッドがあります」

「それなのに、下段が良いんだね」

「下段のほうが、落ち着かないと思うけどなぁ」

「何となく、不安なんです」

「人それぞれだよ、山崎くん。僕の家は和室だから、ロフト・ベッドなんか置いたら、畳が傷むよ。三人で一部屋って、狭くない?」

「一階が店舗と水回りで、二階が和室二間とベランダ。二階の一間は、物置と両親の寝室を兼ねてるし、店舗やベランダで寝る訳にもいかないだろう?」

「お店を経営されていると、簡単には、お引越しできませんものね。私の家は、四エル・ディー・ケーで、別に倉庫と駐車場があります。でも、ベランダがあるのは羨ましいですね」

「駐車場があるから良いじゃないか。僕の家は、一階が客間と台所と水回りで、二階が子供部屋と書斎だよ。庭はあるけど、車は止められないんだ」

「庭があるのは良いな。狭いプランターを並べるより、ずっと色んなことができる」

「そうですね。ガーデニングの幅が広がります」

「草むしりとか、害虫駆除とか、維持するのも楽じゃないよ」

「あぁ。それは、面倒だな」

「楽しいことばかりではありませんね」


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