#103「仮装茶会」
舞台は、渡部家。
登場人物は、山崎、聡司、吉原、渡部、清美、愛実の六人。
「孝志さんが狼男で、聡司さんはキョンシーね」
「どちらも満月の夜に凶暴になりますね。愛実のあの格好は、デビルですか?」
「そうよ、博巳。それで、あたしはドラキュラ」
「吉原は、フランケンシュタインだな」
「正確には、フランケンシュタイン博士の怪物だよ」
「あの化け物の名前が、フランケンシュタインじゃないのか?」
「違うの、お兄ちゃん?」
「よく誤解されてますけど、怪物に名前はありませんよ」
「でもフランケンで通じるんだから、それで良いじゃない」
「渡部は、何の仮装なんだ?」
「魔法使いだよね?」
「えっ、俺は占い師か手品師だと思ってた」
「魔女はウィッチだけど、魔法使いは?」
「ウィザードです。――タルトの様子を見てきますね」
「胡散臭さは認めないとね。――行ってらっしゃい」
「この手袋を外して良いか? 蒸れるし、何も掴めない」
「良いと思うよ。聡司くんも、お札を剥がしたら?」
「そうだな。あっ、前髪にも張り付いてる」
「あと、牙も外したほうが良いわ」
「そうね。あたしたちも外しましょう」
「ほふひほひいはおひはは」
「取りながら喋らないでよ」
「痛てて。フゥ。視界が明るい」
「パイとタルトは、何が違うの?」
「パイは英語。タルトはフランス語です。タルトの語源は、ラテン語のトルテから来ているとされています。例外はありますが、具材を生地で包み込んだものがパイ、型に乗せたものがタルトです」
「南瓜の一口タルトが六個ね」
「小麦の良い匂いだなって言ったんだ」
「外してから言ってよね」
「一人一個だな」
「お兄ちゃん。まさかとは思うんだけど、今年も?」
「もちろんですよ。盛り上がりますから」
「確率は、三分の一から六分の一になったわね」
「パイに、何か仕掛けがあるのか?」
「女性陣の反応からすると、あまり好ましいものではなさそうだけど」
「毎年、恒例なのか?」
「そうなの。わたしのアイデアだったんだけど、まさか続けるとは思わなくて」
「ハロウィンらしい遊び心ですよ」
「用意したんなら、始めるしかないわね」
「何が始まるんだ?」
「詳しい説明が欲しいね」
「勿体付けずに、早く教えてくれ」
「お兄ちゃんからルールを言ってあげて」
「わかりました。皆さんは、ロシアン・ルーレットはご存知ですね?」




