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王女に「信頼」を教える。

「これからど、どうされるんです?」


 オルミアは控えめで繊細な声でおずおずと尋ねかけた。周囲をを走り回るヒナタとピニャを目で追いながら俺は考える。

 帰る? どこに? 今や俺はお尋ね者だ。

 オルミアもそうだろう。戻るとあの見習い騎士はいなかった。どう話すか知らないが良い展開にはならないだろう。

 俺たちはどこに行くともなく歩いている。


「どうするかな? おそらくどこに行こうと王国領内だとすぐに見つかるんだろ?」


 辺境の村のちょっとした反逆に数日中に騎士を送り込む国だ。何かしらの情報網が発達しているばかりか、隅々まで統治が行き届いているらしい。


「ええ、その通りです。お、表の方法ではどうにもならないでしょう」

「かといって裏社会にあいつらを連れて行きたくはないな」


 じゃれ合うヒナタとピニャを見つめる。


「何もしなければまず脱獄囚のオルミアが改めて捕まるよな。ヘルヴィスティアについて尋問され、ここ数日の出来事を話す事になる。オルミアはどうしたい? 騎士に戻りたいか?」

「はい。で、出来る事なら王女様に汚名返上したいです」

「そうか。それは協力してやりたいがなあ」

「無理ですよビンセント兄様! 無理無理です」


 ヒナタが口を挟む。ピニャを背負っている。


「何だよ。そりゃ難しいだろうけど」

「この人守るべき人を置いて逃げたんですよね? 信頼が回復する訳がないじゃないですか」

「いや、まあそうなんだけどさ」


 オルミアは何も言えなくなっている。今度はピニャが口を挟む。


「そんにゃ事にゃいぞ! ヒにゃタはあたしのこと嫌いだったけど今は遊んでくれるんだ。ピニャー・ハント・ミディって名前にゃまえも貰った」

「待て待て。名前が変わってるぞ」俺はピニャの顔を覗き込む。


 代わりにヒナタが返事をする。


「汚水を捨てる者という意味です」

「元に戻しなさい」

「はい」

「まぁ、でもピニャの言う通りだ。信頼を取り戻すのは難しいだろうけど無理じゃあないさ」


 どかどかと多数の足音がやってくる。真昼間から通りの真ん中を歩いていては仕方ない。山ほどの騎士達に囲まれてしまった。まったく。

 どうやら王宮に連行されるようだ。王の前に引っ立てられるらしい。


 やはり青いタイルに彩られた謁見の間に召しだされる。優美な曲線の白大理石の柱、壁画天井画は仄赤く、金銀細工で造られた玉座、その背後に据えられたスタンドグラスはこれまた寒色が多い。どうやらこの謁見の間は海の世界を表現しているようだ。そういえばまだこの世界の海を見た事がない事に思い当たる。

 玉座に座る老人もまたどこか深海魚を思わせる骨ばった顔のギョロつく目で少し高い壇上から俺を見下ろしている。


「ええと。何だっけ?」とその老王は言った。


 それに対して誰も返事をしない。俺に言ったのか?


「ビンセントと申します。陛下。迷惑をおかけしました」

「ああ、そうなの? 何したの? 君」

「ええと、奴隷を逃亡させ、その罪で捕まり、脱獄し、騎士ヘルヴィスティアの正体であるところの動く鎧と、この王都を悩ませていた汚臭の原因である鼠の化け物を倒しました」

「ふむ。二つの罪と二つの功績だね」

「その通りです。しかし俺は自分のやった事に一切後悔はありません。俺を罰するのがこの国の法律だというのなら甘んじて受けましょう」そう言って俺は後ろの女達を指さす。「しかしこの者達は私に命じられて事を起こしたのです。どうかお許しくださいませ」

「なるほどね。まあいいでしょう。大した罪でない割に功績は大きい。君と君の連れは無罪放免としよう」

「ありがとうございます。陛下」

「だけどオルミアは駄目だね」


 俺は目を見開いて老王の生気のない顔を見る。


「何故でございますか。陛下」

「何故って王族を背にして敵前逃亡は罪が大きすぎる。王女も怪我を負ってしまったしね」

「オルミアはどうなるのでしょう?」

「うーん。初めは死刑だったけど王女がどうしてもって言うから減刑したんだよね。だけどその王女の優しさを足蹴にして今度は脱獄したわけだろ? じゃあ死刑になるな」


 俺の声は自然上ずってしまう。


「そんな! そこをなんとか! 陛下、俺が代わりに何でもします。オルミアの死刑を回避できるなら」


 そこへどこからか、いかにも高貴な容貌の女が現れた。


「わらわもお願いいたします。お父様。オルミアは誰よりも優しいのです。人を傷つける仕事には向いていなかっただけで、何なら侍女として召し使っても構わないの」


 どうやらオルミアが仕えていたという王女のようだ。麗しく巻かれた金の髪はあまりにも豊かで全身を覆うように広がっている。


「アーレ様……」


 オルミアのすすり泣くような涙声が耳朶を打つ。


「アーレは優しいね。さすが私の娘だよ。分かった」と老王は感心したように言う。「オルミアの事はアーレに一任しようじゃないか。勿論騎士爵は剥奪したままだし、名誉の回復は一切ないよ」

「ありがとうございます」俺とオルミアとアーレ王女、それによく分かっていないだろうけどピニャがそう言った。


 しかし俺たちの希望はまだお預けだった。


「ただし」と老王は付け加える。「奇妙な炎事件の解決に取り組んでもらうよ。既に被害者は貴族にも及んでいる現象だ」

「奇妙な炎? それは一体」


 俺の言葉に老王は手を振って去るように指示する。


「詳しい事は騎士隊長に聞いてくれ。私は忙しい」


 何か割れる音がした。次の瞬間玉座が爆発した。ステンドグラスが弾け飛び、青く煌くガラスが雨のように降り注ぐ。俺はすかさずヒナタとピニャとオルミアに覆いかぶさろうとするが、オルミアが王女の方へ飛んで行ったせいで三人とも爆風に吹き飛ばされる事になった。



 気が付いた時、どこかの豪華なベッドに俺は寝かされていた。そばにはヒナタもピニャも寝かされていた。オルミアはいない。

 おそらくここは王城のどこかなのだろう。忙しそうにメイドが立ち働いている。幸い大した怪我はしていないようだ。起き上がり、ヒナタとピニャの寝かされているベッドに行こうとするとメイドに押し留められた。


「ビンセント様。お医者様の許可なしにお起きにならないでくださいませ」

「ヒナタとピニャは大丈夫なのか?」

「お二人に関しては擦り傷すらありませんわ。ただ驚いて気絶してしまっただけだそうです」

「オルミアと王女様は?」

「アーレ殿下もお怪我はありません。オルミア様がお庇いになったからですわ。オルミア様も多少火傷を負われましたが、別段酷い怪我はないそうです」

「王様は?」


 ほとんど希望はないが尋ねた。


「王様は亡くなられました」

「そうか。残念だ。あの爆発はなんだったんだ?」

「バクハツ? 皆さんは、それに陛下は奇妙な火に遭われたとお聞きしましたが」

「奇妙な火……? 爆発の事だったのか。わかった。それで医者とやらはどこにいるんだ? 少し動きたいんだけど」

「今呼んで参りますわね


 メイドが呼んできた医者と話をする。どうやら丸一日が経過したらしい。

 許可を得て、騎士団長とやらの元に行く。その場所は騎士団の詰め所だ。

 しかしこの騒ぎだ。上も下も騎士が走り回っている。詰め所には代わりにオルミアがいた。


「どうした? オルミア。こんな所で何をしているんだ?」

「ビ、ビンセント様。実は見習いとして、ま、また騎士をさせてもらえる事になりました。王女様、いえ女王様が許可をくださったのです」

「おいおい。昨日の今日だろ。どうしてそうなったんだ?」

「陛下が奇妙な火によって亡くなられたので、ゆ、唯一の王位継承者であるアーレ様が今陣頭指揮を執っておられるのです。そ、それに人手がいくつあっても足りない状態ですからわたくしもお手伝いする事になったのです」

「そうか。それもそうだよな。国家元首が暗殺されたんだもんな」

「暗殺! どういう事ですか!? ビ、ビンセント様は何かご存じなのですか?」

「い、いや。爆発なんて唐突に起きたりしないだろ?」

「バ、バクハツ? そうなのですか? あれは人為的な現象なのですね?」

「ああ、そうだよ。それは間違いない。確か何かしらの鉱石を使って作られるはずだ。俺のいた世界と同じとは限らないけどな」

「す、すぐに隊長に知らせてきます」


 対応は迅速だった。もちろん初めは俺の話など眉唾物だと思われていたが、オルミア、そして女王様を介して早速各鉱山街や薬師が調べられることになった。

 しかし何一つ火薬や爆薬の存在を発見する事は出来なかった。


「これは由々しき事態ですぞ女王様。これだけの人員を割いてまでビンセント、オルミアの情報に振り回されて一か月。何一つ国王陛下が暗殺されたなどという証拠は見つかっておりません」


 謁見の間で間に合わせの玉座に座った女王アーレの元に騎士団長が熱弁をふるう。剣に槍に弓に馬、ありとあらゆる武芸を修めた強者だという。

 俺とオルミアはそれを聞いていた。ヒナタとピニャはどこかそこら辺で遊んでいる。

 ステンドグラスはまだ修理されず外の景色が一望できる。そこから見える塔は騎士団の管理する訓練施設なのだそうだ。


「待てよ。じゃああの爆発の原因は何か分かったっていうのか? せめて反論するなら別の仮説くらい出せ」

「もちろん心得ておるわ」と騎士隊長はにやりとほくそ笑む。「魔術士ヤリグ師によると複数の人魂が集まった時に奇妙な火現象が起こるという。きっとあれはそれなのだ」

「魔術なんてあるの? 人魂ってなんだよ。そんなの見た事ないんだが」とオルミアに助けを求める。

「魔術というのはこの世界に起こりうる現象をひ、人の手で再現する技術の総称です。ま、魔術士ヤリグはこの国でも最も高名な魔術師です。人魂はその名のとおり人の魂です。死後祝福を得なかった者は魂のままこの世を彷徨うのです」


 参ったな。今回の事がそうだとは限らないが、この世界には火薬以外にも爆発する現象があるらしい。


「しかし何だって王座の近くに複数の人魂が集まるんだよ」

「それは国王陛下の徳の高さ故だ。救いを求めた人魂が集まるのは必至」

「じゃあお前は歴代の国王、ひいては女王アーレ陛下の徳は高くなかったと言いたいんだな?」

「な、何を馬鹿な。滅相もない」


 アーレ女王の視線に騎士隊長が怯えている。別に強く睨んでいるわけではないが。


「それなら滅多な事を言うんじゃない。同じ状況で同じ現象が起きないのは科学とは言えないんだよ」

「カ、カガク!? わ、私はただ真実を求めて」

「それは俺達も同じだよ。仮説が間違っていたのは謝るが、決めつけるものじゃないぞ」

「そ、そうだな。すまん」

「騎士隊長リューベルト」とアーレ女王が言うと騎士隊長は背筋を伸ばして傾聴の姿勢になった。「あなたを不敬罪で捕らえます。オルミア。彼を捕らえるの」


 命じられるがままにオルミアは絶望しきった騎士隊長を捕らえる。


「待ってください女王様。いくら何でも極端じゃないですか? 彼はやり方こそ間違ったものの王族の為を思ってこそですよ?」


 その俺の言葉にアーレ女王は睨み付ける。今度ははっきりと敵意をもって。


「いいですか。ビンセント。あなたがオルミアを動く鎧から救ったのでなければとっくに牢獄に戻っている事を忘れないで」


 そういうと女王アーレは自室に戻っていった。


 俺も与えられた部屋に戻る。既に太陽は沈み、俺の部屋の暖炉が灯されていた。

 ヒナタとピニャはこの城での仕事を得たらしい。

「どうしたのです? ビンセントお兄様。浮かない顔をして」


 ヒナタが心配げな表情で俺をいたわってくれる。


「いや、ここに来てから色々あったからな。少し疲れているのかもしれん」

「そうですね。お兄様は牢獄に囚われ、脱獄できたと思ったらあの女騎士を助ける羽目になり、なぜか鼠の化け物も倒し、女騎士を助けたら助けたで国王が爆死、新たな女王様は強権を振るわれる方だとか」


 俺が言ったのはこの異世界に来てからの事のつもりだったけど。確かにこの王都に来てからも色々あった。


「兄ちゃん。あの村には帰らないのか?」


 ピニャは暖炉の前で丸まっている。


「帰りたいところだけど今の状況をほったらかしにして帰るとまた因縁をつけられそうな気もするんだよな」

「因縁? 女王様か? 何で?」

「さあ何でだろうな。やはり王が死んだばかりで気が立ってるのかもしれん」


 そこへノックが鳴り、俺は客に応じる。入って来たのはオルミアだった。あからさまにヒナタとピニャが嫌な顔をしているが無視する。


「す、すみませんでした。ビンセント様。わたくしの恩人なのに庇う事ができず」

「いいさ。相手は女王様なんだから。少しきつい感じはするが俺の意見を聞いて迅速に対応してくれた。決断力の高い人物だよ」

「確かに女王様は幼い頃より帝王学をま、学んでおられますのでそこら辺はとても優れたお方なのですが。どうにも男性不信に陥っておられて」

「ほお。何かあったのか?」

「いえ、ぐ、具体的に何かがあったという訳ではございません。強いて言うなら王様の教育方針のせいでしょうか。次代の王となるべく男に負けないようにという考え方を刷り込まれ、殿方を軽んじるせ、性格になっておいでなのです」

「へえ。初めて見た時は何だかのんびりした人のように思えたもんだがなあ」

「あの時は王様の御前だ、だったからでしょう」

「まあいいさ。女王様の性格がどうだろうと今は爆発の原因を突き止めるのが先決だ。あれがもしも人為的なものだとしたら次は女王様が狙われるかもしれないしな」

「その件なのですが。ビ、ビンセント様に教えられたバクハツの仕組みを考えると玉座の近くにカヤクを仕掛けなければならないのですよね?」

「ああそうだ。明らかに爆発物は玉座に仕掛けられていた」

「遠隔地からの、呪いをかけるのとはわけが違うと」


 この世界は呪いまであるのか。


「ああ、そうだ。誰か人の手で直接仕掛けるしかない」

「だとすればそれがばれずに出来るのは近衛騎士団の誰かという事になります。それも常に複数人で行動をしておりますので犯人がいるとおすれば複数犯です」

「なるほど。しかし問題は火だな」

「火?」

「ああ。火種がないと火薬があっても爆発しないんだ。当たり前だが謁見の間で火なんてつけたらすぐばれる。一体どうやって火薬に火を着けたのか。何か時限装置でもあったのだろうか」

「ぎ、玉座の破片以外には何も見つかってませんわ。燃え尽きてしまったのかもしれませんが」

「あの時はとても驚きました。今でも思い出すと胸がドキドキします」とヒナタが自分の胸に手を当てて言った。「爆発とその後の青いガラスの雨はまるで嵐のようでした」

「違うよ。先にガラスが割れてから爆発したんだよ」とピニャが妙な事を言う。

「そんな訳ないでしょう。爆発のせいでガラスが割れたのに、爆発する前にガラスが割れる訳がありません」

「分かったぞ。オルミア、調べて欲しことがある」



 三度俺達は謁見の間に集まる事になった。

 俺にヒナタ、ピニャ、オルミア、アーレ、そして騎士隊長が一堂に会する。


「ビンセント。玉座をバクハツさせた犯人が分かったというのは本当ですか?」女王アーレは見下すような視線を俺に向ける。

「はい。本当です。犯人は騎士隊長。あなたですね」

「ば、馬鹿な。カヤクとかいう存在すら馬鹿馬鹿しいのに。あまつさえ国王を殺したのは私だと? 大体カヤクとやらは火を着ける必要があると聞いたぞ。あの時あの場にいなかった私がどうやって火を着けられるというのだ」

「それこそがあんたを犯人と同定した点なんだ。あの時、爆発より先にガラスが割れた事に気付いたものは?」


 俺とピニャが手を上げる。


「まあ一瞬の事だったからな。あの時ガラスが割れたのはもちろんステンドグラスだ。おいおい顔が青いぜ。まだ全部説明していないってのにな」


 騎士隊長が顔を震わせて俺を見ている。


「何か言いたい事があるなら申してみよ騎士隊長」とアーレ女王はいった。

「いえ。何もありません。しかし目的は果たしてみせようぞ」


 騎士隊長が抜刀する。剣を高々と掲げると同時に、オルミアによって斬られる。しかしその剣をまっすぐ掲げた動作、その剣が光を反射させたのを見て俺は嫌な予感がする。と同時に理解し女王の元に走り出す。

 女王は怯えたように何かを叫んでいるが俺には何も聞こえない。女王の横をすり抜け腕を広げて仁王立ちする。直後、火矢が俺の胸に突き刺さる。

 意識がふつりと途絶える。



 目が覚めた時俺はよく気を失うな、と考えた。前と同じベッドだが、傍にいるのは女王アーレだった。目を晴らして涙に濡らして俺を見ていた。目が合うと俺を抱き締める。胸が刺すように痛む。


「ご無事でしたか女王アーレ」

「どうしてこんな事をしたの。お前は臣下どころかこの国の民でもないばかりか男なのに」


 俺は思わず笑ってしまう。ほとんど洗脳のレベルに教育されているらしい。


「何か勘違いされているようですね。俺は男だからこそ飛び出したんですよ」

「嘘をつかないで。犯罪者のほとんどが男じゃない。そんな気高き行為をできるわけがない」

「確かにそうですね。男の中にはどうしようもない馬鹿がいる。それもやっぱり男だから、という部分もあるのでしょう。ですが女王様。大切なもののために身をかなぐり捨てられる馬鹿である事を俺は誇りに思いますよ」

「大切な……もの? そんな、わらわたちはまだ出会ったばかりなのに」


 女王は頬を染めてもじもじしている。何故か。


「ヒナタとピニャ、オルミアは無事ですか!?」


 俺の大切なもの達。もはや妹のように思っている。


「ええ。無事です。わらわが無事なのだから当たり前でしょう?」

「そっか。それもそうですねアーレ様」

「アーレと呼んで」

「いや、そんな女王様に対して」


 アーレは強く俺を睨み付ける。


「分かったよ。アーレ」

「わらわは男は嫌いだけれどもビンセントの事は信じてもいいかもしれないと思ったの」

「必ずその信頼に応え……」


 扉の隙間からものすごい形相でヒナタが覗いている。


「どうした。ヒナタ。怖い顔して」

「女王様にお客なのです。遥々海を越えてやって来たイイグルース王国の使節だそうです」

「そうか。ありがとうヒナタ」


 アーレは立ち上がると部屋を出て行った。それがアーレを見た最後の姿だった。

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