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オレと吾沙那(あさな)は、同じ学年の兄弟であっても双子ではない。

どういうことかとゆうと、オレが4月生まれで、吾沙那が次の年の3月生まれ、ということだ。

同じ学年だけど、一つ下の弟・・・ってゆったら余計意味が分からんなぁ。

双子じゃないオレらは勿論瓜二つの顔を持ってはいないし、性格だって趣味だって違う。

けれど血を分けた兄弟。あまり違いすぎてもいけない気がするんだけど。


実は、オレと吾沙那は正真正銘の兄弟のはずなのに、小柄で童顔ってところ以外は全く似ていない。あんたらまぢで兄弟なの?って思わず口に出してしまいそうになるほど似ていない。


例えば成績、弟の吾沙那は特別頭が良い。元々理数系のくせに文系の方が好きだから理数文系両方できるんだ。一方オレは、弟と違って特別頭が悪い。理数系も文系もてんでダメ。一生懸命勉強したつもりでも、赤点ギリギリだったりする。


例えば運動、弟の吾沙那は華奢なくせに運動神経抜群。特に足が滅茶苦茶速い。中学んときの長距離走ではいつも一位だった。一方オレは、体力が全くといって良いほど無くて、しかも物凄くトロくて・・・はい、何もないところでよくこける人です。


例えば手先、弟の吾沙那はすごーく手先が器用。料理や裁縫は母親よりも遥かに上手にできる。(母さんには失礼だけど・・・)しかも綺麗好きで掃除上手だったもする。一方オレは、・・・すごーくすごーくもう一個オマケで、すごーく不器用。料理や裁縫はおろか、掃除もろくにできなかったりする・・・しかもよくお皿を割って母さんに怒られる。実はネクタイも結べません。


例えば性格、弟の吾沙那は要領が良く、優しく大らかで、社交性もあり人見知りを全くしない、所謂可愛がられるタイプ。現に吾沙那はそこらの女の子よりも可愛い。目が大きくてクリクリしてて、髪質が柔らかくフワフワ、触り心地抜群。声も丁度良い高さでゆったり喋ってくれるから聞いててとっても落ち着く。人付き合いも上手くて、男女先輩同輩後輩先生問わず人から慕われる。身長なんか160cmしかないオレよりも3cmくらい小さくて。まだ入学して間もないけど吾沙那は、ウチの高校のアイドル的存在になってしまった。一方オレは・・・、ものすごく言いたくないんだけど、要領が悪くて消極的で内気で人見知りで、しかも気が弱い、すぐ泣くし。お喋り上手の弟にくらべオレはてんでダメダメ、声を出そうとしても上手くいえず、いえないから相手に伝わりにくい。性格も明るい弟とは違い暗い方だと思う。童顔っとゆっても特に可愛いってわけでもなく、髪は直毛、声は少し高いくらい。友達は少なく(てゆうかいるのか、そもそも)、オレを慕う人はいないといって良いほどだ。


っと、ここまで紹介すればだいたいは分かってくれただろう。

血は繋がってるはずなんだけど、全然似てないオレら。時々、オレの方が養子なんじゃないかと噂される。なんで、オレかとゆうと、オレは実の母親父親にも全く似てないからだ。

んー・・・と、

吾沙那の可愛い容姿や髪質、それに優しく大らかな性格や器用さは母さん譲り。

吾沙那の明るく社交的な性格や運動神経や足の速さ、そして成績は父さん譲り。


吾沙那は正真正銘の父さんや母さんの息子だってすぐ分かる。

けどオレは・・・、父さんにも、母さんにも、弟にも似ていない。

吾沙那が出来の良すぎるんじゃない、オレが悪すぎるんだ。

なんでだろう、なんで吾沙那は全部持って行っちゃったんだろう・・・。


あ、・・・違う。

オレが何も持たずに生まれてきちゃったからいけないんだ。

何も持たずに生まれてきちゃったから、代わりに吾沙那が色々持ってきて生まれてきたんだ。



母さんの態度が変わったのは中学入って少し経ってから。

小学校までは、少し弟贔屓なところがあったにしてもオレにも優しく接してくれた。

けど中学入ってからは弟贔屓が強くなり、オレに必要以上関わろうとしなくなってしまった。

そりゃそうか、オレは出来が悪すぎるからね。母さんだって嫌になるだろうし、弟の方がいいに決まってる。そりゃそうだ。

父さんは昔も今も変わらずに接してくれる。贔屓もしないし。

吾沙那も、当たり前のように慕ってくれる。


それから、あと、あともう一人だけ。

オレと仲良くしてくれる青年がいる。


その青年の名前は永瀬勇人(ながせゆうと)

オレと吾沙那の幼馴染であり、同い年でもある、そして・・・


オレの初恋の相手でもある。


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