体験8 生霊 vs 女の意地
新築したばかりの頃の話しです。
まだ幼かった子供が、2階にある旦那の部屋を
どうしても怖がって仕方がない時期がありました。
何故そんなにも怖がるのか分からなかったのですが
旦那の部屋の前を通らなければ寝室へ行けません。
なので夜は、2階の全ての明かりをつけて
子供が怖がらないようにしていました。
それでも子供は両手で目を覆いながら寝室へ向かいます。
同居している母も、子供と似たような事を言っていました。
どうしても2階にある旦那の部屋が不気味な感じがする……と。
困った事を言うなぁと思い、そういうモノは信じない旦那には
相談せずに黙っていました。
当の旦那が特に気にしていない様子で部屋を使っているので尚更です。
ある日の晩、旦那が仕事で留守にしていた時のことですが
私は旦那の部屋に置いてあるDVDを取りに行きました。
階段の明かりをつけて、他は消していました
自分しか上がらないから全部の明かりをつける必要がないからです。
というより、それが普通ですよね。
そういう状態で旦那の部屋を開けました。
すると、目の前に何かがありました。
最初は分からなかったのですが、よく見てみると
長い髪の女の大きな顔が浮かんでました。
ぼんやりしていて輪郭はハッキリしていませんが
部屋の中央にドンとありました。
ああ、これは生霊だな……と思いました。
どこかで見た事がある顔だったからです。
どういう理由で現れたのかも、おおよそ見当がつきました。
ちなみに私は、プライベートと仕事はハッキリ分けるタイプです。
家の中に仕事を持ち込みたくはありません。
さらに縄張り意識が人・物共にとても高いです。
私の家でしかも旦那の部屋。
自分の子供と母親を怖がらせられて黙っているわけがありません。
「出ていけ! ここは私のテリトリーだ! 二度と家族とこの家に近づくな!」
気迫って凄いですよね。
全身の毛が逆立てて追い払う感じでした。
もしも独り住まいで貸家だったら、こうは行かなかったと思います。
大切な家族と我が家を守りたい。
ただ、その一心でした。
<終>