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誰かがいる  作者: 祭月風鈴
3/8

体験3 祖母へ会いに来た叔父

 私が小学生の時、3人いる叔父の1人が事故死した。

足を踏み外して高い建物の屋上から転落。

頭を割って亡くなった。

それ以来、叔父が亡くなった月になると毎年

不思議と何の脈絡なく叔父の話が話題に上がる。

そして必ず家族の誰かが言う。


「きっと○○(叔父の名)が、自分の事を忘れるなよと言ってるのかもね」


 ああ、そうかもね。

今、私がこの話を書いてる12月は、叔父が亡くなった月。

まさかと思うが、脈絡なく思い出すのは

未だ成仏しないでさ迷ってる……って理由からではないよね?

と執筆しながら少し心配する。


 さて、この叔父の霊だが

私が高校生の時にハッキリと姿を現した事が一度だけある。

長期入院した母に代わり、祖母が家事を手伝いに泊まりに来ていた時。

早朝、東側にある台所で祖母が朝食の準備をしていた。

台所の隣は玄関で、朝日が差し込んでいた。

二階から降りてきた私は、階段降りてすぐ左にある洗面所で顔を洗おうとした。

玄関→廊下→洗面所の間取なので鏡を通じて玄関が見える。

人の姿があった。

最初に私が見たのはGパン。誰だろう?

一瞬、父かなと思った。

でも変だ。父はまだ二階で寝ている。

それでは、叔父が祖母に合いに来たのだろうか?

確かにその考えは正解だった。

私の視線はGパン→ベルト→シャツの順に上がる。

そして息を呑む。


「顔がない」


 朝日が逆光になって見えないのかと思って

しっかりと見たから、息を呑んだ。

叔父は叔父でも、亡くなった方の叔父だった。

亡くなった叔父は生前、祖母をとても慕っていて

困った事がある度に相談していた。

恐らく、この日も祖母を慕って我が家へ訪ねてきたのだろう。

高校生の私に亡くなった叔父を宥める度量は皆無で

ただただ、関わりたくない一心で物陰に隠れた。

暫くして父が階段を降りてきて、隠れるいる私を見て大笑いした。

当然、父が信じる訳はない。

祖母も呆れ返っただけだったが、祖母と同居してる叔父(祖母の息子)だけは

無言で頷いてくれた。


<終>

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