体験3 祖母へ会いに来た叔父
私が小学生の時、3人いる叔父の1人が事故死した。
足を踏み外して高い建物の屋上から転落。
頭を割って亡くなった。
それ以来、叔父が亡くなった月になると毎年
不思議と何の脈絡なく叔父の話が話題に上がる。
そして必ず家族の誰かが言う。
「きっと○○(叔父の名)が、自分の事を忘れるなよと言ってるのかもね」
ああ、そうかもね。
今、私がこの話を書いてる12月は、叔父が亡くなった月。
まさかと思うが、脈絡なく思い出すのは
未だ成仏しないでさ迷ってる……って理由からではないよね?
と執筆しながら少し心配する。
さて、この叔父の霊だが
私が高校生の時にハッキリと姿を現した事が一度だけある。
長期入院した母に代わり、祖母が家事を手伝いに泊まりに来ていた時。
早朝、東側にある台所で祖母が朝食の準備をしていた。
台所の隣は玄関で、朝日が差し込んでいた。
二階から降りてきた私は、階段降りてすぐ左にある洗面所で顔を洗おうとした。
玄関→廊下→洗面所の間取なので鏡を通じて玄関が見える。
人の姿があった。
最初に私が見たのはGパン。誰だろう?
一瞬、父かなと思った。
でも変だ。父はまだ二階で寝ている。
それでは、叔父が祖母に合いに来たのだろうか?
確かにその考えは正解だった。
私の視線はGパン→ベルト→シャツの順に上がる。
そして息を呑む。
「顔がない」
朝日が逆光になって見えないのかと思って
しっかりと見たから、息を呑んだ。
叔父は叔父でも、亡くなった方の叔父だった。
亡くなった叔父は生前、祖母をとても慕っていて
困った事がある度に相談していた。
恐らく、この日も祖母を慕って我が家へ訪ねてきたのだろう。
高校生の私に亡くなった叔父を宥める度量は皆無で
ただただ、関わりたくない一心で物陰に隠れた。
暫くして父が階段を降りてきて、隠れるいる私を見て大笑いした。
当然、父が信じる訳はない。
祖母も呆れ返っただけだったが、祖母と同居してる叔父(祖母の息子)だけは
無言で頷いてくれた。
<終>