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出会いは遭難の後で

住み慣れた街を出て三ヶ月が過ぎた頃。私はある意味、人生始まって以来の危機的状況に陥っていた。

「緑色はもう飽きたよー。ここどこー」

次の目的地までの近道と聞いて立ち入った森の中。真っ直ぐ歩けば半日も掛からずに抜けられると聞いていたのに、気付けば丸一日さ迷っている。なんでだろう。道を教えてくれた軽食屋の旦那さんの顔を思い浮かべる。

「おじさんの嘘つきー。お店潰れちゃえー」

意味もなく悪態を吐きつつ、地面から突き出た木の根を跨ぐ。これもう、明らかに人の入っていい場所じゃないよ。独り言だって止まりませんよ。

「これも全部師匠のせいだー。何処にいるんでしょうかねあの鬼畜生ー。絶対殴るー。いっぱいなぐるー……ん?」

やさぐれつつある私の頭に冷たい感触。

見上げると、灰色だった空模様が鈍色に変わっていた。明らかな大雨の予感。

「雨が降るとも聞いてないよー」

背嚢を下ろして天幕を張ろうにも、こんな開けてもいない場所に天幕は張れない。しかも張っている途中でずぶ濡れになること間違い無し。

とりあえず背嚢の被せ布にしていた外套を剥がして頭から被り直す。傍から見ると巨大蝸牛みたいになるけど誰もいない森の中で気にしても仕方ない。あとは雨宿りできる場所か、天幕を張れる開けた場所を見つけないと。

「あーるー、きっとあるー、あまやどりーのばしょー」

ぽたぽたと外套が鳴る音に合わせて適当な歌を歌う。

そうして雨音が打楽器を打ち鳴らすような激しさを露にし始めた時。

「………………」

「………………」

私は妖精と出会った。

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