やまない雨はない。やむまで待てるとも限らない。
とんたたた、とんたたた。とんたたた、とんたたた。
雨音が宿の屋根を叩く音と地面を跳ねる音が混じりあって、小気味よい旋律を奏でている。
荷物を広げて足りないものを紙に書き起こしている私の目の前で、ニケちゃんは椅子に座って窓枠に腕を置き、その上に顎を乗せて外の様子をじっと眺めている。
たまに足を揺らしているから寝ている訳では無いんだろうけど、私は夢現の状態だろうと見ている。こういう状態のニケちゃんにちょっかいを出すと、ものすごく怒るので放置するのが一番安全。
とんたたた、とんたたた。とんたたた、とんたたた。
そういえば、前もこんな感じで長雨になったんだっけ。あの時は大変だったなぁ。
初日は宿に駆け込んで慌ただしかったから何事も無かったけど、二日目にはニケちゃんはこの状態になった。三日目は買ってきてあげた本を読んで大人しくしていたけど、四日目に大爆発を起こした。
四日目のその日のお昼頃。
『飽きた』
その一言を残して、ニケちゃんは部屋から出ていった。
しばらくの後、近くで雷が落ちたような音がして慌てて窓から外を見ると、雲に穴が空いていてその向こうに青空が覗いていた。
『モモ、晴れた』
濡れ鼠になって戻ってきたニケちゃんに、なんと言ったのだったか。
ちらり、とニケちゃんを見る。
さっきと変わらずに足を揺らしてぼーっとしている。
流石にあの時よりは常識も身についたと思うし、同じような事にはならないだろうけど。
気も長くなったとは思うんだけど。
とんたたた、とんたたた。とんたたた、とんたたた。
買い出しのついでに本を置いてるお店、探しておこうかな。




