表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちぐはぐ世界政治  作者: 38音
9/9

協力

皆が呆然とする中、真っ直ぐ見つめ返してくる少女。唖然とするサクラ、目を見開き固まるコウ、理解が追いついていないヒイラギ。そして――

「…っく、ははっ!はははっ!」

一人爆笑するハク。

「あー、面白いなぁ……。ねぇ、ヒイラギ君?」

「え……あ!貴方、兵士の……!」

声のするほうを見ればいなかったはずの青年、ハクが扉にもたれかかってキリクを見てくすりと笑った。キリクも予想外だったのだろう、目を丸くして驚いている。そんなキリクを見て、安心させるかのように微笑みかける。

「ハクと申します。以後、我が名をお忘れなきよう姫」

「……兵士である貴方までもが裏切り者だったというわけね」

その微笑に取り合わず、冷たく言い放つ。しかしそこにあるのは怒りでも悲しみでもない。ただ冷静に分析しているだけ……。淡々と、現実を受け止めている。

「裏切ったつもりはないけど……軽蔑しますか?」

「いいえ、何も知らない私が貴方を軽蔑するのはおかしな話でしょう?」

「ヒイラギ君、君の誤算はここにあるんだよ」

ハクはまるでキリクの話を聞かずにヒイラギにからかうように話を振った。半分挑発するようだったが、ヒイラギはそんな挑発をさらりと無視してキリクを見つめなおす。

「姫さん、君には詫びないといけないね。君は僕が思っていた以上に強い女性のようだ」

「それは、どうも……」

「君がいいのなら、是非協力してもらいたい」

唐突にキリクの協力を申し出た。言い出したのはキリクとはいえ、本当にいいものかと疑ってしまう。

「ヒイラギ……?でも……」

「サクラ、僕の力が信用できない?」

不安げなサクラをなだめるように聞くと、サクラはふるふると首をゆるく振った。しかし、リーダーだとばかり思っていたコウの確認もなしに、ヒイラギは勝手に話を進めていく。部外者のはずのキリクのほうがオロオロするほどにあっさりと。

「コウ」

「……あぁ」

「協力してもらうといっても君の立場は変わらない。そこんとこはよろしく」

キリクはコクリと頷いた。

「キリク、お前はこの国を背負う覚悟はあるか」

何も喋らなかったコウが質問を投げかけた。キリクはさも当然のようにはい、と答えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ