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神と仮面のスピリチュアル   作者: 和銅修一
ワールドデストラクション
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理科室の引きこもり

 篠原が仲間となり数日が経った。そして先日、篠原もオカルト研究部に入部することになった。

 剣道部との掛け持ちなので参加し始める時間は遅くなるがそれは仕方ないだろう。

そして今回も部室で牧田からお題が告げられる。



 理科室。普段はあまり使われていない場所だ。牧田から聞いた話によると、誰もいないはずの放課後に物音がしたという。そしてそれが一体なんなのかを突き止めるのがお題というか依頼。

 今まで諒がやってきたのは牧田の依頼。牧田は顔が広いのでよくそういうことを頼まれるそうだ。

 しかし守護霊も神具も持っていない牧田はどうすることもできない。なので諒たちに頼るしかない。

 今日は諒と篠原の二人に頼んだ。

そして誰もいない放課後、二人は理科室の前に立ち尽くしていた。

「こ、ここか」

 篠原はゴクリとつばを飲む。

鍵はあらかじめ牧田が開けてくれているのでいつでも入れる。が、いざとなると入れない。

「おい、入るぞ」

 こういうことに慣れている諒は迷うことなく扉を開ける。

「ちょ、待てよ」

 篠原も諒について行き理科室の中に入る。中は明かりがついていなかったので諒は電気をつける。

 目立ったのは人体模型。大きな机とその上に丸い椅子が上げられている。

 それにガスバーナーがそれぞれの机に一つずつ設置されている。なんの変哲もない理科室だ。

 取り敢えず理科室に何かないか探してみる。篠原は机の下を覗き込むが何もなかったのでそこから出ようとしたが頭を打ってしまった。

「大丈夫か?」

「ああ、大 (たい)したことはない」

 それを聞き、諒は理科室の探索を再開する。しかし、それは扉の開いた音で止まった。

開いた扉は理科室と理科準備室を繋ぐ扉。

 開けたのは白衣を着た妙な男だった。黒い髪の毛はボサボサで目の下のくまが目立つ。

 体つき筋肉質の篠原と比べると、とても細く押しただけで崩れそうな感じ。そんな感じの男が諒たちを睨んでいる。

「誰……」

 その男が一言そういうと頭を抑えていた篠原が立ち上がった。

「お前か物音の正体は。ここでなにしてる名前を言え」

「僕は飯山いいやまおさむ。ここに住んでる……」

「住んでる?この理科室にか?」

 篠原は驚いて大きな声でそう聞くと理はコクリと頷いた。

「寝るのはこの理科準備室だけど、それ以外はこの理科室を使ってる……」

「それ大丈夫か?先生とかにばれたらやばいだろ」

「大丈夫…許可とってる」

「そうなのか。でも他のやつに迷惑かからないようにしろよ」

 手をあげ諒に帰る合図をした時、ガスバーナーに当たってしまいそれは床に落ちて壊れてしまった。

「す、すまん。わざとじゃないんだ」

 篠原は手を合わせ理に謝るがその声は届かず、理は篠原を睨む。今度は殺意を持って。

「僕の城…壊した。報いを…受けろ」

 理の背後に守護霊が現れた。

「なっ、お前守護霊が使えるのか」

 諒と篠原は警戒態勢に入りそれぞれ守護霊を出す。理の守護霊は青人型の機械。

一目で機会だとわかったのは所々にネジが見えるからである。

「これは機械人形リモデル…僕を守ってくれる友達…」

 機械人形リモデルと呼ばれた守護霊は一番近い諒に数発のパンチを放つ。それを諒はもろに食らってしまう。

「くっ!」

 しかし、スピードと攻撃力もたいしたことはない。

「お、おい。諒、なんだよその体」

 篠原は何か怯えた様子で諒を指をさしてくる。気になった諒は自分の体を見る。

「な!なんだこれ」

 驚くことに諒の体は所々、機械になっていた。

「どう?驚いた…これが機械人形リモデルの能力。触れたものを機械に変える能力…そして機械化させたものは五分間だけこれで操れる…」

 理は白衣のポケットから昔使われていたと思われるコントローラーを取り出し、その真ん中には5:00と電子表示されていて、一秒ずつ減っていっている。

「覚悟…」

 理はポチポチとボタンを押して諒を操作する。

「おわっと」

 篠原は軽く避けるが反撃しようにも相手が諒だと、手が止まってしまう。

「くそ!どうしたら」

 悩む篠原に変わって、操られている諒は涼しい顔をして口を開けた。

「なぁ、理。お前はここが荒らされたのを怒っているだよな」

「え、そう…だけど」

 いきなりの言葉に理はコントローラーを動かしていた手を止めた。

「確かに、篠原は理科室のガスバーナーを壊した。だが、それを俺が直したって言ったらどうする」

「え?」

 理は慌てて篠原がガスバーナーを壊したところを見る。そこには傷一つないガスバーナーがあった。

「な、なんで…」

 暴れる理由がなくなった理は呆然と立ち尽くす。それを篠原は見逃さない。白銀アーモリーで理の顔面に蹴りをいれる。扉が開いたままだったので理科準備室の中まで飛んで行った。

 理はそのまま呆気あっけなく気絶してしまった。

「諒、一体なにしたんだ」

「ディスをガスバーナーにしただけだ。体は操られてたが脳までは無理らしいしな。脳さえ使えれば守護霊を使える。あいつは戦いを望んでいるようじゃなかったしな。理由をなくせばこうなると思ったんだ」

 その後ちゃんとガスバーナーを直して理科室と理科準備室を片付けた。理は途中で目が覚め一生懸命に後片付けをしている二人を見て、自分が誤解していたことに気づく。

「すいません…あなたたちはいい人ですね」

 そう言い残すと理はまた気絶した。

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