妙な双子
「あれ?あの先生、誰かに通せんぼされてるぞ」
「どうせ女子が噂を駆けつけて群がってるんじゃないのか」
クラスの女子だけでもあれだけ騒いでいたのだからその誰かが話すことは必然で、学校の中では噂が広まりやすいのでそれが一番可能性のあることだ。
「いや、違うな。二人とも男だし……ってかあれ双子じゃないか」
「ほんとだ。ありゃあ双子だな」
遠くからだとよくわからなかったが近くづくに連れて通せんぼをしている二人の男子がソックリなのが見て取れる。
「一年か?あんなの二年か三年にいたら絶対俺たちでも知ってるだろうに」
双子というのは中学ではいそうなのだが、高校となるとバラバラになることが多く一緒の高校いるのは珍しい。
そういった珍しいのには必ず引き寄せられるのが人間で双子が赤い髪の毛、青い髪の毛という変わった外見なのでさらき目立つ。
なのにこの二人を知らない。見た目はヤンキーみたいだがキチンと制服を着こなしいるこの二人を知らない。
そこからくる不安感に駆り立てやれて二人は通せんぼされているミリオの元へ向かった。
「先生、どうしたんですかそんなところで通せんぼされて?モテ過ぎてその二人に逆恨みされたんですか」
「そうだった方がマシだったね。こう見えてもこの二人は理事長の手下だよ」
「「違う!ただ協力関係にあるだけだ。あんな奴はうちらのボスに比べたらペーペーだ」」
双子は“手下”という言葉が嫌いらしく、息を合わせて激しく否定する。
「じゃあ誰がお前たちのボスは誰なんだ?」
「そいつは教えられないな!」「な!」
赤い髪の毛をした奴の後に青い髪の毛の奴が間を開けず、言い放つ。
「まあ、誰でもいいか。君らはやる気満々みたいだしさ」
ミリオが顎で指し示す双子はファイティングポーズをとって挑発してきている。
こんな馬鹿馬鹿しい挑発をしてくることから彼らの頭が悪いことは一目瞭然だが、なぜか強みのようなものが感じられる。
その得体の知れないものに二人は自然と苦しい顔になって後ずさりをするが前にいるミリオは何事もないように仁王立ちをしている。
「なるほど、ネルガルもようやく本気で殺しにきたってことか。俺が来なければ手遅れになっていたところだ」
「な、何言ってるかわかんねーよ。俺だって戦うぜ」
見下された感じがして頭に血が上った京は手から歯車を出して応戦しようとするが、ミリオが出した右手で投げようとしていたコースを塞がれてしまう。
「やめとけ。不完全な守護霊ではあいつらは倒せない」
「不完全……だと?」
「そうだ。まだお前は完全に守護霊を使いこなせていない。今日見てきた中で守護霊を完全体として出せていたのはお前のクラスメイトの鮫北 千冬ぐらいだった。まあ、一人でもできてるなら上出来なんだがな。師匠がなんて言うかな〜」
唸りながら頭を掻きむしって首を傾げていると、双子がイライラした感じで叫び始めた。
「おい!何喋ってんだ。俺はお前みたいな奴に用はない。頼まれたのは後ろの奴らだ。さっさとどけ!」
赤い髪の方はもう片方よりも短気らしく、見た目は赤いフグで頭に炎の冠がある感じで頬がパンパンに膨れ上がっている変な形の守護霊を出した。
「やっと、本気でくるか。今まで牽制の気を送ってきてたのに。俺がいるから無駄だって気づいたな」
「牽制の気?」
京は構え始めたミリオを見上げて、何のことかと疑問の顔を浮かべる。
「君でもあれは見えなかったか。無理もないな。あの双子はできるだけ気を薄めて見えないように放ってきたんだからな。俺が教室でお前見せた気とはわけが違う。一応俺が相殺してたんだが……気づいてなかったか?」
呆れ顔で問われた二人はお互いの向き合うがどちちらとも首を横に振った。
「そうか……。あ、君らが悪いわけじゃないから落ち込まないでくれよ。今こいつら倒して天界まで連れてってやるからそこで何もかも教えてやる」
平然としているが今は敵の前。その敵もずっと待ってくれるほど優しくはなく、ついに赤い髪の方が動き出した。
「先手必勝ファイヤー!」
ハリセンボンのように膨らんだ頬から吐き出されたのは火炎放射。堪らずミリオも軽やかにかわし、それに続いて二人は左右に別れてに飛んだ。
「あ、あっつ!あの赤髪野郎の守護霊、炎出しやがったぞ」
頬をかすった熱気に驚いた京は指差して大声を上げる。
「赤髪野郎ではない!俺は左義。そして守護霊はフヴィンドだ。お前たちを殺す男だからよく覚えておくんだな」
「そして俺は仁右。守護霊はグラソンだ」
目立てなくてウズウズしていた青い髪の毛方は横から割って入って左義の守護霊を青くして頭の冠を氷に変えたような守護霊を出現させて自己紹介をした。
「「俺ら炎氷ブラザーズに敵はいない!」」
片足立ちをして両手を広げてポーズをとって三人をポカンとさせた。




