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神と仮面のスピリチュアル   作者: 和銅修一
クレイジーギア・ダンス
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屋上にて

「おう!お前らがネルガルに対抗してる神候補たちか。来たのは二人だけとはちと少ないな。もっと声かけて集めて欲

しかったんだがこの際、贅沢はいってらんないな」

 今の高校では高確率で屋上なんかは封鎖されて使えないのだがここは珍しく使うことが許されている。

 だから休み時間は人が多く点在しているのだが今の屋上は新しく入った先生一人とそのクラスの生徒二人しかいないので気兼ねなく話ができそうだ。

「で?こんなとこに俺たち読んで何の用?理事長とはどんな関係なんだ」

 この質問の答え次第で敵か味方かが決まるので二人は少し警戒しながらミリオを見つめるが、だがその男は吹き出して笑ってみせた。

「ぷっ、ハハハ!済まん済まん。まさかそこまで俺を警戒するとは思わなかったからな。高校生なんだからもっと軽い感じなのかと覚悟してきたが、どうやらその心配はないようだな。二人ともいい顔つきをしている」

 京たちが来るまで外を見えいたらしく、フェンスの近くにいたミリオは革靴の音を鳴らさずに距離を詰めてくる。

「な、何ですか?サッサとここに呼んだ理由を教えてくださいよ」

 ミリオが見つめ続けるのはその視線に驚きを隠せない京。

「君が俺の気の文字に気づいたのは。凄いな、この若さであれがわかるなんて。俺なんかそこまでいくのに十年ぐらいはかかったぞ」

「話を逸らさないでくださいよ。なんでここに呼んだんですか?」

 いつまでも話したがらないミリオに嫌気がさした紘一は横から割って入って、ため息をつきながらもミリオは覚悟を決めたらしく前屈みで京を見つめるのをやめた。

「そうだな。休み時間もなくなっちゃいそうだから話すか。いつまでもこのままだったら師匠に怒られるからな」

「師匠?」

 金色の髪の毛を掻きむしって師匠という時には苦虫を噛み潰したような顔をして、その師匠が気になったしまった。

「あ、いや。君たちには関係ないことだよ。あの人はかなり忙しいからこの事については俺に任せっきりだからさ。それよりもこれから一週間ほど修行して欲しいんだけど、やってくれるかな?」

「「修行!?」」

 理事長の話で何かあるのかと思っていたが、予想外のことで二人は息を合わせて驚いた。

「そう。ここじゃなくて俺たち、神の拠点地天界でだ」

「ミリオ先生も神なんですか?」

 いきなり天界だとか言われても、現実味にかけていてあまり信じたくはないのだが守護霊という普通ではありえないチカラを持っている二人はそれを何の迷いもなく受け止められて新しく担任となった先生が神だということに驚いた。

 しかし、本人は視線を落として気まずそうな顔をした。

「いや……俺はなんというか特殊で、どっでもない半端者なんだ。今では師匠のおかげで普通の神として扱われているけど自分じゃあそんな資格ないと思ってるよ。まあ、そんなこと言ったら師匠にどやされるけどね」

「そ、そうかんですか」

 何かいけないことに触れてはいけない話題だと悟った紘一はすぐに軽々しく聞いたことを後悔した。

「謝る必要はないよ。それより君たちは理事長たちに勝てる自信はある?」

「ある!」

 勿論答えたのは紘一ではなく、隣でジッと黙っていた京。その真っ直ぐな瞳からそれは本気であることが伺える。

「そう……。自信があることはいいことだ。ないと疑心暗鬼になるからな。だけど今のそれは勝利を重ねて自分が強いと勘違いしてるだけで井の中の蛙だ。しっかり修行してなるべく早く本当の強さを身につけないとな」

 いつもはヘラヘラとしている京も今では真剣な顔つきで厳しい言葉を放つ教師を見つめる。

「つまり、今の俺たちでは理事長には勝てないということですか」

「簡単に言えばそうなるな。これはそのための誘いなんだが受けるかどうかは自由だ。他のみんなには俺から直接伝えに行くからまずは君たちの答えを聞かせて欲しい。このまま理事長が仕掛けてくるこを待つか、短期間で力をつけてこちらから仕掛けるか」

 少し意地悪な質問だ。こんなことを聞かれて前者を選ぶものなどいない。

「勿論修行!どこまでいけるか試してやる」

「お、俺だって京には負けてられない。どんな修行にだって耐えてみせる」

 二人よやる気にうんうんと頷いたミリオは京の指にはめられたものを見つめた。

「それがデイスガイズの仮面か。初めて見たけどなんで指輪なんかになってんだ」

「レックにこと知ってるんですか?」

 今だに謎の多いレックについては四六時中一緒にいる京でさえも一握りの情報しか知らない。

 だが誰よりも理解できていると自信満々でいたがそれはミリオの“デイスガイズ”という聞いたこともない名前に声を荒げた。

「君たちはレックって呼んでるのか。これは俺の師匠がまだ神候補だった時の守護霊についていた仮面だ。どうしてこんなとこにあるかまでは知らないけどかなり強力な神具だよ」

 一向に口を開かないレックだが、何かあるのだと感じ取った京たちはそれを問いただそうとはしなかった。

「それじゃあ、俺は他のみんなを誘ってくるから教室に戻って普通に授業しててくれよ。一応教師っていう立場なんだから目立ちたくないんだ」

 場所を屋上に決めたのは理事長のことを考えてだったのかと今更ながら気づく。

 ここなら監視カメラもないし、一目も少ない方だから噂になることはない。

「修行か……」

 一体どんなものなのか半分期待に胸を膨らませながらもう半分は不安で埋め尽くされていた。

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