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神と仮面のスピリチュアル   作者: 和銅修一
クレイジーギア・ダンス
32/52

幼馴染

「まず何から話そうか…。そうだお前らこの町で連続殺人事件が起きていることを知っているか?」

 指輪…。名前はレック。京が名前なしだと何かと不便なので、ということでつけた。そしてここは京の家。あの後、何とか逃げてここまで逃げていたのだ。

「殺人事件?知らないな」

 京は殺人という言葉に驚きもせず冷静に答えた。そういうのがあれば噂になっているだろうし、京たちが知らない訳が無いのだが、それは聞いたことはなかった。

「そうか、さっき守護霊を発現させたばかりだから無理はないか」

 守護霊。京たちがついさっき見た不思議な力。普通の人は見れない特殊な力で京はそれを出すことができた。

 レックの話によると、それができたのは京にその潜在能力。ばかけた話だが神候補であるからと、あの中庭に入ったのが原因らしい。

 あの中庭にはある結界が張ってあったのだ。それが違和感の正体だろう。しかし、レックにもどのような結界なのかはわからないらしい。

「だが、あの木がこの町に来てから、いや正確には中庭に植えられてから神候補を狙った殺人事件が起こっている。あの木を植えたのは誰だか知っているか?」

「ん、ああ。理事長が直接取り寄せたらしいぜ。なんでも珍し木とかで…ってお前、理事長がその殺人事件の犯人だと疑ってるのか」

「紘。レックは妥当なことを言ってるだけだぞ。出入り禁止の中庭にある木、誰が張ったかわからない結界、これは怪しすぎるでしょ」

 紘一は何も言い返せなかった。

「よし。じゃあ、理事長が犯人と仮定してここからどうしたらいいレック」

「そうだな。まず、仲間を探そう。他にも守護霊を発現させた生徒がいるかもしれない。犯人にバレると殺される。早くを見つけて保護しなくては」

 頼みの綱であるレックはこの通り、何をすればいいのか教えてくれるが動けない為、何もできない。自分は最強の神具とほざいているが、今は守護霊の発現を手伝えるうるさい指輪だ。

 だがこのおしゃべりのいうことは最もであった。

 京たちは明日から守護霊探しをすることを決定して解散した。



 昼休み。

 守護霊探しの開始だ。やり方は簡単、レックを使う。相手に触れれば、レックが勝ってに判別してくれる。守護霊反応があれば小さな穴から光を点滅させ合図を送ってくれる。

 しかしそれだけでは不十分だ。それではこの千人以上いる学校から守護霊を見つけるのにかなり時間がかかっしまう。

 厳選する必要があった。なのでまず身近にあの木と関わりがある人を探してみた。

 すると同じクラスだけで三人も見つかった。その中には京の小学校からの幼馴染である鮫北 千冬ちふゆがいた。青い髪は腰まで伸びいて、目は海のように透き通っている。

 そんな千冬は一番に調べたかった。いつも迷惑かけているのに、これで反応があったら危険なことに巻き込むことになる。そんなことはしたくはない。そう思いながら京は軽く挨拶し肩を叩いた。

 しかしそんな京の願いは通じず、レックは穴から紫色の光を放った。




「な、なによ話って…」

 京は千冬を夜の中庭に呼び出した。

 もちろん殺人犯がここに来る恐れがあるが、今のところは学校から離れたところでの犯行が多いので大丈夫だとレックが教えてくれた。

「いや、落ち着いて聞いて欲しいんだが…」

「ちょ、ちょ、ちょっと待って。まだ心の準備が」

 千冬は胸に手を当てて深呼吸する。

「お前なんか最近変わったことないか?」

「別に…。いつも通りだけど」

 この場合、守護霊を発現させるほど上達していないか、それとも既に発現していて気づかないまま力を使っているかだが、様子からすると発現すらできていないだろう。

 レックの力を借りよう。京もそれで守護霊を発現させることができた。

 京は指輪を当てて守護霊を発現させようとする。

 百聞は一見に如かず。千冬も実際にみれば信じてもらえるし、説明しやすい。

 指輪はあと数センチのところまで近づいていた。

「また君か…いやちようといい。あの時の借りを返してもらうよ」

 燿堂だ。まだ学校の見回りを続けていたらしい。

「おいおい。どうやってだ燿。俺も昔と変わったんだ普通に来ても勝てねーぞ」

 というのも、この二人は中学校時代はよく喧嘩していた。どちらが多く勝ったか覚えてはいないが、いい勝負だったのは覚えていふ。

「ああ、だからこれでいく」

 燿堂は何も無いところから日本刀を出した。

「おい京気をつけろ。あれ守護霊だ」

 レックはあの刀から何かを感じ取ったのか、そう教えてくれるが、そんなことは誰でもわかる。

「銃刀法違法だろ…って守護霊だから見えないか」

 京にしか見えない刀はとても輝いていて、どんなものでも真っ二つにしてしまいそうだった。

「安心しろ。昔の吉見で峰打ちでやってやる」

 刀をもった知り合いがゆっくりと切る気満々で近づいて来るのだ。どう考えても危険だ。

「千冬、どこか安全なところに隠れててくれ」

 何か悟ったように千冬は頷き、中庭の奥の方へ逃げて行った。

「京、早速始めよう。じゃないと峰打ちやめて、普通に斬っちゃうよ」

 燿堂は刀の先を京に向け、挑発しながら笑った。

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