仮面VS仮面
「さあ、見せてやろう。本当の仮面を」
燈葉は手に持っていた仮面を高々とあげ、そのままかぶった。
瞬間、仮面から凄まじい光が放たれ燈葉の中へと消えて行った。というより、吸収されて行った。フラフラしながら地面に置いてあった愛用のツルハシを肩に担いだ。
「この仮面はその人の能力を何倍にもしてくれる優れものだ。これに変身しかできない守護霊で勝てるか?」
「おい燈葉。盛り上がっているところすまないがお前は俺に倒される。進化したディスを見せてやる」
「おいおい。くだらないおしゃべりは終わりだ」
燈葉は呆れた顔をしてツルハシで地面をつついた。するの地面が揺れ骨の塊が出てきた。骨の塊はそれぞれ動いて形を形成していき、最終的には恐竜の形となった。
「もはや前の俺とは格が違う。何処からでもどんなものでも引き出せる」
「それがお前の本気か?対したことはないな。じゃあ今度はこっちの番だな」
諒はディスを出し自分へと巻きつけた。言わば合体。体全体を覆う包帯、奇妙な絵柄をしたパーカー、オレンジ色で真ん中に四角い穴が空いている仮面。それらが諒の体の一部となり、合体した。
その異様な姿に燈葉は驚きもせず、腹を抱えて笑って見せた。
「ははは、なんだそれは?滑稽だな俺に勝てないからそんなことをするなんて、いやいや本当に滑稽だ。そんなお前だからこそ仮面をもった守護霊が現れたのかもな。面白いぞやはり貴様の臓器だけはなんとしても味わってみたいも…ぐはっ!」
「それは無理な相談だ」
諒はその包帯だらけの拳で燈葉の腹を的確に殴っていた。
「なっ!いつの間に」
「知りたきゃ俺の足をよく見てみろ」
「足だと?」
諒の足は包帯に巻かれおらず黄色に変色し人の足ではなくなっていた。
「イエロー・フットの足だ。部下の守護霊ぐらい知ってるだろ」
「まさか貴様、変身した守護霊の能力をそのまま使えるのか」
「ご明察」
「くそ、何をしてるやれ!」
恐竜の骨は燈葉に従い噛み付いてくるがイエロー・フットの素早さを手にいれた諒には当たらない。
後ろをとった諒は恐竜の骨に向かって左手の人差し指を刺しそこから赤い玉を発射させた。図体がでかいのでそれは難なく当たり、続けて天井に青い玉を発射させるとそれに連れられて恐竜の骨は空へと飛んで行った。
「三雲の磁石玉。違う色の玉は引かれ合う」
「味方の守護霊まで…。こうなったら直接俺が臓器を取り出してやる」
ツルハシを構え、一歩踏み出そうとするが足元に違和感に気づいた。
「春の泥鮫。お前の足元を泥に変えた」
泥にはまった足を引き抜こうとするが
「ぬ、抜けん」
深くはまっていたので簡単には抜けない。
その隙にイエロー・フットの俊足を借りて、燈葉の目の前へと接近した。
「今までの分きっちり返してやる」
「させるこの猿が〜〜〜!!!」
燈葉がツルハシを振り下ろす直前、機械のような青い腕が二発の拳を叩きつけた。
「理の機械人形の能力。お前には俺の人形になってもらう」
諒はポケットから理から借りたコントローラーを取り出し、機敏に操作すると燈葉の機械化したそ 両腕がキシキシと金属音を響かせながら首を締め始める。
「かっくぅっっ」
息苦しさに悶える燈葉だったがそれは十秒ほどで収まった。
「かはっ!」
「グロウ・グリーンのパワーラッシュ」
有無を言わせず、すかさず腕をグロウ・グリーンにして攻撃する。
「これでラストだ。白銀の圧倒的攻撃力」
仮面の力で白銀と化した腕は燈葉の腹を貫きそれ以降、燈葉が動くことはなかった。
「本当にこんなことを頼んでしまってすまない」
ヘラクレスは消え変えている諒に頭を下げる。今の戦いで霊力をすべて使い切ってしまったのだ。もうこの世に存在することはできない。
「ヘラクレスさん頭をあげてください。これは俺が望んだことなんです。これだけお願いします」
そっと花子さんの霊力が石になった青い石を渡した。
「ああ、わかった。これは大切にする。そしておめでとう。君は正式な神となった」
「え?それってどういう」
「燈葉と戦っている最中になったんだよ。つまり、転生するチャンスができたというわけだ」
「はは、カブトムシにならないことを祈っていますよ」
「ふっ、そうだな。何か仲間に言い残すことはないか。伝えておく」
「そうですね。取り敢えず、“ごめん”とだけみんなに伝えてください」
「了解した。では安らぎの旅を…」
諒の体は青い玉となり空へと消えて行った。その光は街のみんなに届き魂の火を灯し続けるだろう。そして火は熱を帯び、燃え盛る。白く、透き通った美しい色で。




