表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神と仮面のスピリチュアル   作者: 和銅修一
ワールドデストラクション
2/52

転校してきた神

 ディスガイズが守護霊になり、ルキナと知り合った次の日。学校へ行く準備をしてドアを開けると諒と同じ学校の制服を着たルキナが立っていた。

「諒、行こ」

「何処に?」

「学校」

 当たり前の言葉が帰ってきたが諒はそうではないことを願っていた。



 ディスガイズに追われていた通学路を歩き諒の通っている光銘こうめい高校へ向かうが周りからの視線が気になる。

隣に金髪美少女がいるから仕方ない。

学校に着くと玄関で牧田が待っていた。

「や、諒ちー☆」

 電話をしている時と雰囲気が違うのは今、オカルト系の話をしていながらだ。牧田はオカルト系の話をしている時は真面目になる特殊体質なのだ。

「その隣いる可愛い娘は誰?もしかして諒ちーの彼女?」

「違う違う。昨日話した女神だよ」

 牧田にはいろいろと世話になっているから本当のこと、神のことを話しておいた。

「そうなんだ。まぁ、僕は霊は信じても神は信じてないけどね」

 そんなことを言いながら、牧田はいつもの教室へとゆっくり歩いて行く。

ルキナは転校生なので校長室へ行った。

諒も教室へ行こうと上履きを履くと何か尖ったものを踏み鋭い痛みが走る。上履きを脱いで中をを確認して見ると画鋲がびょうがテープで固定されていた。

 幸いディスが体を持ち上げてくれたので根元まで刺さらず軽い怪我ですんだ。昨日、牧田と電話しながら守護霊を操る練習をした甲斐があった。

 諒は靴下を脱ぎ怪我をしたところに唾をつけながら違和感を感じる。

 ただの悪戯いたずらだろうか?誰かに見られている、そんな感じがしてならない。



 教室へ入り牧田としゃべっているとルキナが先生に連れられて入ってきた。

「えー多分知ってると思うんですが、今日ここに転校生で〜す。じゃあ、自己紹介お願いしますね」

 と、お茶目に説明するのは担任、の羽原はばら 京香きょうか先生。このクラスのアイドルでもあり、みんなからは京ちゃんと呼ばれ愛されている。その笑顔に癒されない者はいない。

「ユノ・ルキナです。よろしくお願いしますね」

 そう言ってにっこりと笑ってみせた。

ルキナの笑顔はその笑顔にも匹敵するものだった。諒も少し驚いた。

 そしてルキナは空いている諒の後ろの席となった。神だから何かしでかすのではないかとヒヤヒヤしたがルキナは普通の女子高生のように振る舞えていた。

 むしろ問題は悪戯。画鋲だけではなく消しゴムの角を丸くなっていたり、ノートに落書きがあったり、偽のラブレターなど陰湿な悪戯が続いた。

 昼休みになるとクラスのみんながルキナの元へ集まって来る。

 何処から来たの?とか、一斉に話しかけられてルキナは困惑するがある女の子が止めに入る。

「ちょっと、転校生が困ってるではないか」

 彼女はこのクラスの委員長であり、諒の幼馴染である鮫北さめきた 春芽はるめ。男勝りの行動力と強い責任感でできていて少し変わっているところがある。綺麗な栗色の髪と目、それはいいのだが胸だけが少し成長していない。諒は昔から春と呼んでいる。

「諒わお前仲が良さそうだったから学校の案内でもしてくればいい」

 そう言うと春芽は諒の背中を押し教室から出す。何故追い出されたのかはわからないがとにかく言われたとおりにルキナに学校案内をすることにした。



 といってもこの学校は特に変わったものは無く、特別なのは牧田がやっているオカルト研究部だけだ。しかし何処に何があるか教えておかないと後で面倒なので全部周ることにした。

 三階の廊下を進んでいた時、何もないのに何かに触れた感じがした。

 次の瞬間ロッカーの扉が開きその中に入っていた斧が諒へ向かって落ちるがそれはディスガイズで跳ね返す。

「きゃ、一体なんなの?」

 ルキナは驚きのあまり悲鳴に似た声をあげる。どうやらロッカーの取っ手と壁にかけてある消化器を透明の糸で繋いでいたようだ。

 諒は上履きの画鋲のことを思い出す。これをやったものも同じ人物なのかもしれない。そう思い周りを見渡すと見知らぬ男が階段を下りて行くのが見えた。

 このタイミングで動くのはこの殺しの悪戯に失敗した奴だけだと思いすぐさまその男を追いかける。

 階段を駆け下りると紫色の髪の毛をした女の子がいた。しかも驚くことに下は男子生徒が着るものだ。いや、人のことをとやかく言うのはやめよう。

「ねぇ、君。今誰か下りてこなかったか?」

 女の子は下へ続く階段を指差し一階に行ったことを教えてくれる。

「サンキュー」

 そのまま一階へ向かおうとしたのだが、諒はあることが気になった。彼女は上履きではなく奇妙な靴を履いている。日本人ぽくない髪色なので外人なのだろうか。いや、気にしていることはそうではなく、たしか逃げた男も似たような靴を履いていた気がする。

「そうだ名前教えてよ。見たことないけど一年生、それとも三年生?俺、この学校の生徒だいたい知ってると思ったんだけど」

 これは嘘ではない。牧田のオカルト研究部のおかげで顔が広くなり友達も多い。なのにこんな目立つ存在で可愛い女の子の話を今まで聞かなかったのはおかしいし、転校生はルキノ以外はいない。

特に牧田はそういうのに敏感だ。

「ええと、あの……」

 名前を聞かれ下を向きながらうじうじする。するとルキナが息を切らしながら追いついき彼女を見て目を丸くする。

「あ、あれ?ロ、ロキさん?」

「何だルキナの知り合いか?」

「はい。ロキさん私を襲ってくる悪い神から守ってくれるいい神の一人です」

「は?守ってくれる奴いるんだ。なら何で俺のとこなんかに来たんだよ」

「それは諒は絶対裏切らないからって母が…」

 そこで話すのをやめる。つまりルキナの母はそのいい神に裏切るものがいると踏んでいるらしい。

「で、何でロキさんはここに。てかさっきの男は?」

「は〜、ばれたら仕方ない。こっそりお前を試そうと思っただけなんだ許してくれ。ちなみに俺は女じゃない男だ」

 そう言うとロキの胸がしぼんでいく。

「どうだ。俺は女に化けることがてきるんだ」

 なくなった胸を張るロキだがすごいとは思わない。むしろ残念だよクソ野郎。

「で、実際どうなんでんだ?俺にルキナを任せる気になったか?」

 諒はロキに挑発的態度をとるがニヤリと笑われる。

「おいおい。まだお前の力量を確かめてないだろ」

「じゃあ、どうればいい」

「俺と戦って勝てばいい。まぁ、もう無理だろうがな」

「は?何を……!」

 次の瞬間、諒の目の前が回る。諒の足元はふらつき頭も痛い。

「やっぱり毒が回ってきたようだな」

 諒は朝の画鋲のことを思い出す。あれに毒が塗られていたらしい。ロキがあざ笑いながらゆっくりじっくりと近づいて来る。諒は地面に倒れそうになるがルキナが頭に浮かび踏みとどまる。

 自分が守ると決めた。それに責任は持つし、諒には信念がある。それは何もかも守ること。いい奴も悪い奴も自分が大切に思っている奴も知らない奴も。

 その為には力がいる。

力が欲しい。諒が強くそう願うとディスガイズがそれに応えるように筋肉隆々の体に変化する。

 ロキはディスガイズの変化に気づき諒を倒す為走り出すがディスガイズの鉄拳にあえなく返り討ちにあった。



 諒が目を覚めると見慣れた天井があった。

あれからどうなったかわからないが自分の家のベットに寝ているようだ。

 隣にはルキナと眼鏡をかけた大人の女性がいた。

ルキナにも負けない胸と透き通った黄緑色の髪などに目がいく。特に胸に。

「ルキナこの人は?」

「この人はアスクレーピオスさん。諒の毒を抜いてくれた医神だよ」

「よろしくね。アスクレって呼んでいいわよ」

「はい。治してくれてありがとうございました。アスクレさん」

 なぜかルキナの冷たい視線を送ってくるので肝心なことを思い出した。

「ルキナ!ロキはどうなった」

「ロキさんは諒に負けたから帰って行ったよ」

「俺、あんまり憶えてないんだけど勝ったのか?」

「うん、ディスがムキムキになって吹き飛ばしたんだよ」

「それからはルキナさんが連れていたあなたを私が治したのよ」

 アスクレ姉さんは自慢の為、胸を張る。

これはロキ(女バージョン)とは違いものすごい。その後アスクレは諒に薬を渡し帰って行った。

「そうだ諒、ロキさんがこれを渡してくれって」

 ルキナが背中に隠していたものを諒に渡す。それはロキが履いていた奇妙な靴。

「これは神具って言って、特別な力をもっているものなんだよ。そしてこの靴は空中や海の上が走れるようになる靴なんだよ」

ロキがあの時、この靴を履いていたのはいつでも逃げられるようにするためだったのか。

「でも、なんでこれを?」

「ロキさんは諒のことを認めてくれたんだよ。多分今はその報告をしていると思うよ」

 なるほどとにかくルキナをまだ守れるんだ。諒はその靴を棚の上に置いた。

「よし、今日はなんか気分がいいから自分で料理するか」

 いつもは弁当なのだが、節約の為に自分で作ったりするので料理には自信があるのでルキナにも料理を振る舞った。

「諒、ありがとうね」

「何が?」

「私のために頑張ってくれて」

「当たり前だろ。お前は俺が守るって約束しちまったしな」

 諒は照れくさそうにご飯を頬張ほおばった。ご飯はとても暖かくいつもより美味しい。

 そんな感じがした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ