10話 出会い
伝令が帰還した翌日、準備が整ったので部隊の半分をこの地の防衛に回し、残りの半分で洞窟の奥を探索することにした。
いくら奥に進んでも相変わらず洞窟は一本道で、何の変化もなくただ道をたどっていくこととなった。
そうして5、6時間ほど歩いた頃だろうか遂に前方に開けた空間を見つけることができた。しかもそこは洞窟の中のはずなのに明るいようだ。
何か大きな発見があるのではないだろうかと俺たちが期待に胸を膨らませその空間に踏み入った時、そこには想像と違う光景が広がっていた。
半径1kmはあろうかという巨大な円柱状の空間が地上まで繋がっていたのだ。
地面には蜥蜴人が居を構え、壁には穴を掘り龍人が住んでいるようだ。
そして、俺たちが侵入してきた洞窟の反対側には一際大きな洞窟が見受けられた。
俺たちが足を踏み入れた瞬間、近くにいた蜥蜴人が奇妙な鳴き声を上げた。
すると他の蜥蜴人や龍人が一斉にこちらに集まってきた。
どうやら先ほどの鳴き声は危険を知らせるものであったらしい。
時間が経てば経つほどどんどんと集まってくるため、一触即発の雰囲気はどんどん大きくなっていた。
いよいよ戦闘が始まるかと思ったとき、不意に奥の洞窟から大音量の鳴き声が聞こえてきた。
ギャォォオオオオオとか鳴いていたのかもしれないが音量が大きすぎてよくわからなかった。
というか耳が壊れてしまうのではと思うほどの大音量だった。
何の鳴き声かは分からなかったがそれでも圧倒的な強者だということがわかる。
先ほどまでは何も感じなかった奥の洞窟から、とても強大な気配が感じ取れるからだ。
そして、その声を聴くや否やこちらを警戒していた蜥蜴人や龍人が奥の洞窟の周りに集まり一斉に平伏している。
どうやらここの主があの奥にいるようだ。
指揮官はどう対応したものか困っているようで特に何も指示をしていない。
いよいよ困り果てた指揮官が何かを指示しようとした時、奥の洞窟からズシン、ズシンと重低音と振動を響かせながら何かがやってくるのが分かった。
そしてしばらくすると、奥の洞窟からドラゴンが姿を現した。
周りからは伝説にしか登場しない初めて見たドラゴンに感動や驚嘆の声が漏れていた。
周りのそんな様子とは裏腹に俺は少し頭を悩ませていた。
一般的にドラゴンは人よりもはるかに高い知恵を持ち、時には会話にも応じてくれるという。
しかし、ドラゴンは家族愛や縄張り意識が強い種族としても有名で、下手に手を出すと痛い目に合うことも有名なのだ。
まぁ有名といってもおとぎ話などの中での話だが、だがもしその通りなら最悪な出合い方を俺たちはしたことになる。
彼が住んでいるところの周りには蜥蜴人や龍人がいる。
おとぎ話の通りなら家族と捉えているかもしれない龍人を俺たちは殺しているし、縄張りにも普通に入り込んでいる。
正直相当まずい状態なのではないだろうか。
そんなことを考えていると、洞窟から出てきたドラゴンがこちらを向いた。
『お前たちは何をしにここにやってきたのだ。あの忌まわしきアースという町の住人ではなさそうだが』
おそらくドラゴンがしゃべったであろうその言葉は念話とでもいうのだろうか耳に声が届くのではなく、頭に直接その声が届いた。
「我々はヴァント帝国軍の者です。此処へは新しい素材の入手とあなたへの面会にやってきました」
そう声を上げたのは指揮官ではなく、応援に駆け付けた部隊の将校だった。
『ほう…なぜ私に面会に来たのだ』
「それはあなたにアースという町のことを教えてもらうためです」
その一言を聞いてドラゴンの表情が変わった。
そして、先ほどまでの表情と打って変わり、ドラゴンは何か嫌そうな表情をした。
名前:デューイ
種族:ドワーフ
契約精霊:火(下位) 水(下位) 土(下位) 雷(下位) 風(下位)
職業:遊人Lv2 鍛冶師Lv38 上級調合士Lv8 狩人Lv5 釣り人Lv10 商売人Lv9 錬金術師Lv8 料理人Lv2
ユニークスキル:鍛冶Lv38 鎚Lv3 酒豪
スキル:調合Lv8 水泳Lv1 槍Lv1 釣りLv10 話術Lv14 取引Lv9 錬金術Lv8 料理Lv2
装備:作業服
投稿遅くなってすみません。
間違い等ありましたらご連絡ください。




