表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/42

影の思惑

セリーナの提案によって、持ち回りで開かれるお茶会が続いた。

お茶会が軌道に乗れば、必ずしもアリシアが参加することもない。元々、シュバルツと姫君たちの親睦を深めるための催しなのだから。むしろ、アリシアは、いない方がいいのではと思うようになっていた。

アリシアは、最後の舞踏会に向けて、細々とした主催者側の準備を進めていた。空き時間は愛馬に乗って出掛けたりして過ごすことが増えていた。

相変わらず、ライアンの好意の押しつけがあり、かわすのに苦労することもあったが、できるだけ城にいないようにすることで、煩わしさを緩和していた。

シュバルツの方は、お茶会を無視したりせず、かかさず参加していた。彼がいないと意味がないので、当然ではあったが、文句のひとつもこぼさない。

そしてシュバルツは、何故か常にセリーナの側にいるので、花嫁候補の本命はセリーナであると囁かれ始めていた。



「いかがですか?」

城のほとんどが寝静まった夜のこと。サラザールは、主の部屋へ飲み物を届けた。シュバルツが頼んだ紅酒は、彼等の力を活性化すると言われているものだった。

「いかが、とは?」

シュバルツは、サラザールに差し出されたグラスを手に取り、一口飲んで、無表情に言った。

「セリーナ姫です」

「何か感じたのか?」

「同じような匂いがしますが...」

サラザールが気づいていることを、誰よりも能力の高いシュバルツがわからない訳がない。

「似ているが、同じ、ではないな」

と、シュバルツは、良くできる弟子に諭すように言った。

「あれは、我らとは違う」

違うが、只のヒトではない。言外に、含む言葉。シュバルツは、グラスを干して、サラザールに返した。

「目的は、なんでしょう?」

サラザールはグラスを恭しく受け取り、持っていた盆に乗せつつ聞いた。

「...さて。ゼクストンの動きに伝説が絡むと感づいて、出てきたか。それとも、ただ政略のうちか。...当初の思惑はどうあれ、あれが近くにいるときに影を使ったからな。今はおそらく、こちらの正体を察している。その上で、アリシアを牽制しながら、あれの敷いたレールをそのまま利用しようとしているからな」

シュバルツにしては、珍しく饒舌だった。お茶会という、セリーナの茶番に付き合うのにも、いい加減辟易としてきていたのだ。

「しっぽは、出ませんか?」

「なかなか、な。こちらには気取らせないようにしている」

「猫でも、使いますか?」

サラザールは、微笑とともに提案してみた。

「...そうだな」

アリシアに、もう随分永く会えていないような気がした。

実際には、食事の際などに時おり顔を合わせるのだが、セリーナが出てきてからは、挨拶以外の話をしていない。

「では、仰せのままに」

サラザールは、いつものように優雅に礼をして主の部屋を辞した。














評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ