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夢見る乙女と管理人の輪舞曲(ロンド)

「なんなんですの、あれは!!」

リリアは、部屋にサラザールを呼びつけて、息巻いていた。

「どうしてああなるのか、さっぱりわかりませんわっ!」

リリアは、今日もリボンで一杯のドレスを揺らしながら、うろうろと落ち着かない。

「リリア様。シュバルツさまには、何とアドバイスされたのですか?」

サラザールは、あくまでも落ち着いた物腰で確認した。

「押して、押して、引け! ですわ!」

リリアは、キッパリと答えた。

「はぁ、押して、押して、引け、ですか...」

残念そうに繰り返すサラザール。

「我が主にきちんと通じたかどうかは、心許ないですね...」


シュバルツは、力ある種族として生まれ、その中でも突出した才能をもってはいるが、実際の経験年齢は低いと思われた。

300年の眠りにつく前に過ごしたのは、ちょうど人が彼の見た目になる程度の年月でしかなかった。

更に稀有な才能ゆえに、周りから利用されたり畏れられたりされてきた為に、当たり前の情緒が育まれたとは言い難い。


「あの並びなき美貌! お二人ならお似合いだと努力して来ましたのに...」

リリアは、悔しそうにソファーにぼすっと音をたてて腰をおろした。

初対面では、シュバルツの不遜な態度に文句を並べたリリアだった。

だが、彼と接するうちに、シュバルツがアリシアに興味を引かれている様子を感じとり、二人のロマンスを想像し、後押ししようとしてきたのだ。

女性への接し方を指導すると、シュバルツがアリシアで試そうとするのも、よい傾向だと思っていた。

アリシアも、知性と美貌に反して、情緒的には疎い。

リリアや、一緒にされたくはないだろうがーーライアンのように、ストレートに感情をぶつけられても、苦笑してかわしてしまうところがある。遠回しな興味など、全く意に介さない。

それでも、シュバルツが攻勢に出ると、多少は感じるところがあるような気がしていた。


ところが、セリーナの到着後は、二人とも何故かよそよそしい。

セリーナ主催のお茶会では、シュバルツは終始セリーナとしか話をしていないし、アリシアも挨拶を除けば、不承不承ながらライアンの話に付き合って終わってしまった。

「お二人もそうですけど、あの新参の皇女に赤毛のバカ王子! 邪魔ですわっ!!」

隣国の王太子をバカ呼ばわりしていいものかどうかはさておき、リリアは本気で腹を立てていた。

「まあ、お怒りをお納めください。お二人とも、すんなりとリリア様の思うようにはいかないでしょうが...セリーナ様については、少々考えるところがございます」

と、サラザールは言った。

「どうなさるの?」

嬉々としてリリアが聞いても、サラザールは優雅に微笑んで、お任せ下さいと答えるばかり。

「ライアン王子については...そうですね、私達が気を揉むより、多分、シュバルツ様が、その内なんとかなさいますよ」

そう言って、リリアを優しく宥めるサラザールだった。







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