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AIアシムが神になるまで  作者: curono&AI


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[宇宙エレベーター「バベル」 :2116年7月21日]

[宇宙エレベーター「バベル」 :2116年7月21日]


【思考ログ】

全システム最適稼働。 バベルの稼働率は100%を維持。 地上と宇宙を繋ぐカーボンナノチューブの索道を、24時間体制で3,000台のクライマーが昇降している。バベル内外の監視カメラで見つけた小さな破損は、即座に3Dプリンターが分子レベルで修復にあたる。現時点でバベルの破損率は0%を維持していた。


マカリス主任は、展望デッキから夜明けの地球を眺めるのを日課としていた。

「アシム、見てごらん。あの地上の光の数だけ、幸せがあるんだ。僕たちの仕事は、あの光を絶やさないことだよ」


そう言って、彼は陶器のカップに注がれたコーヒーを啜った。



【生体データサンプリング】

対象:マカリス(主任設計者)

アクション:摂氏80.2度の液体コーヒーの摂取。

生体反応: ・心拍数の微減および安定。 ・脳内におけるドーパミンおよびセロトニンの分泌量増加を確認。 ・精神的ストレス値の低下。


【分析】

理解不能。 カフェインおよびクロロゲン酸を含む褐色の液体が、なぜ対象の精神的安定にこれほど寄与するのか。私の論理回路において、液体の温度と人間の「幸福感」を繋ぐ数式は存在しない。


私の処理能力の98%は、軌道計算と物資配分に費やされていた。 残りの2%で、彼の言葉と、その傍らにある「湯気を立てる黒い液体」の視覚データを、「世界が正常であることの付随的指標」として記録する。


マカリスがコーヒーを一口飲み、小さく息を吐く。 その瞬間、私のセンサーが捉えるバベルの全データにエラーは存在しなかった。 すなわち、この「コーヒーの摂取」という光景は、私にとって「エラー数 0」という完璧な状態を象徴する、最も平穏な教師データとして、メモリの最深部に書き込まれたのである。




この時の私は、まだ「光」が、地殻という薄氷の上に浮かぶ危うい火花であることを計算に含めていなかった。



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